ツンデレ幼馴染から偽装彼氏になれと命令されたので仕方なく彼氏のふりをしていたが、実は全部策略で気付いたら完全に逃げ道が無くなっていた話
第39話 俺も真里奈の事が好きだ、だから今度は偽装じゃなくて本物の彼女になって欲しい
第39話 俺も真里奈の事が好きだ、だから今度は偽装じゃなくて本物の彼女になって欲しい
「ほ、本当に好きってどういう意味だよ?」
「そのままの意味に決まってるでしょ馬鹿」
「じゃあ昔から好きな人がいるっていうのは……?」
「才人の事に決まってるじゃない」
真里奈は相変わらず顔を真っ赤にしたままだ。まさか真里奈の好きな相手が俺とは夢にも思っていなかったため正直驚きを隠せない。
「……ひょっとしてドッキリとかじゃないよな?」
「そんなわけないでしょ、これ以上そんなくだらない事を言う気なら本気で怒るわよ」
そう口にした真里奈の顔は真剣そのものだった。どうやら本当に俺の事が好きらしい。その事が分かっただけ安心だが、ここで新たな疑問が生まれる。
「じゃあどうして偽装彼氏になれなんて回りくどい命令してきたんだよ?」
「逆に聞くけどしばらく疎遠になってた私からいきなり好きだから付き合えって言われてたら才人は信じてたかしら?」
「それは……」
絶対に信じていなかったと思う。多分いたずらか何かだと思ったに違いない。そんな事になっていたら余計に距離が出来ていたはずだ。
「だから一旦偽装彼氏になって貰ったのよ、それにその方が私の事を意識してくれるとも思ったから」
「なるほど」
まさに真里奈の思惑通りになったらしい。現にここ最近の俺は真里奈の事で頭がいっぱいになっていたわけだし。
「分かってくれたかしら?」
「ああ、よく分かった」
「じゃあ本題に戻るわ。私と……」
「ごめん、ちょっと待ってくれ」
俺は何かを話し始めようとしていた真里奈の言葉を遮った。その理由は真里奈が何を話そうとしているか容易に想像できたからだ。
話を遮られるとは思ってなかったらしい真里奈は驚いたような、それでいて少し不安そうな表情を浮かべていた。そんな真里奈を無視して俺は話し始める。
「俺も真里奈の事が好きだ、だから今度は偽装じゃなくて本物の彼女になって欲しい」
俺は真里奈に告白をした。先程言葉を遮った理由は真里奈からではなく俺の方から告白をしたかったからと言える。
告白は男がするべきという俺の中の信念に基づいての行動だ。俺の言葉を聞いた瞬間、真里奈は胸に抱きついてきた。
「勿論オッケーに決まってるわ、私以外の女に浮気したら絶対に許さないんだからね」
「ありがとう、これからもよろしくな」
俺はそう返事をしながら真里奈を思いっきり抱き返す。駅前で人の目もあったが不思議と全く恥ずかしくない。こうして俺は彼女持ちにランクアップを果たした。
それから満足するまで抱き合った後、俺達は電車に乗って帰り始める。もう花火大会が終わってからそこそこ時間が経ったためあまり混雑はしていなかった。
「あっ、そうだ。忘れないうちに歩美に連絡しとかないと」
「一体何をだ?」
「今回の件は歩美に色々と協力して貰ったのよ、だから結果の報告をね」
「そっか、歩美が絡んでたのか」
何となくそんな気はしていたがやはり歩美が色々と裏で暗躍していたらしい。前々から思っていたが歩美は本当に頼りになる妹だ。
これではどちらが歳上なのか分かったものじゃない。俺がそんな事を思っている間に真里奈は歩美へとLIMEでメッセージを送っていた。
「あっ、もう返ってきた」
「いくら何でも早過ぎるだろ」
まあ、歩美もそれだけ俺達の事を気にしていたという事だろう。きっと真里奈からの結果の報告連絡が来るのをそわそわしながら待ち侘びていたはずだ。
「それで返信のメッセージには何て書いてあるんだ?」
「えっと……真里奈さん、おめでとう。お兄ちゃんと末長く爆発してくださいですって」
「いやいや、どんな反応だよ」
そんな事を口にしつつも歩美が俺達を祝福してくれている事がよく分かったため本当に嬉しかった。
「歩美には感謝してもしきれないわね」
「そうだな、あいつがいなかったら俺達の関係は多分何も進展してなかっただろうし」
「まさに恋のキューピットってところかしら」
家に帰ったら間違いなく歩美から色々とご褒美を要求されそうだが、どんな無茶な内容だったとしても可能な範囲で叶える事にしよう。
「そう言えば真里奈はいつ俺の事が好きだったんだ?」
「具体的にいつだったかは思い出せないけど小学校高学年くらいの頃にはもう好きになってたと思う」
「あの頃からか」
小学生高学年の頃は真里奈を虐めていた奴らと毎日のように殴り合いの喧嘩をしていた事を今でもよく思い出せる。
「私の事を必死に守ろうとしてくれて嬉しかったんだから」
「そんな事もあったな」
ちなみに真里奈を守っていた理由は言うまでもなく好きだったからだ。その気持ちは思春期を挟み疎遠になった事で一度風化してしまったが、再び真里奈を好きになれたのだから結果オーライと言えるだろう。
「これからもせいぜい私の事を守りなさいよね」
「当たり前だろ、真里奈の事をずっと守ってやるよ」
「その言葉絶対忘れないから」
そんなやり取りをしているうちに家の最寄り駅に到着したため俺達は電車を降りる。そして真里奈を家まで送り届けるのだった。
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