ツンデレ幼馴染から偽装彼氏になれと命令されたので仕方なく彼氏のふりをしていたが、実は全部策略で気付いたら完全に逃げ道が無くなっていた話
第4話 あっ、もしエッチするならちゃんと避妊だけはしっかりしてね
第4話 あっ、もしエッチするならちゃんと避妊だけはしっかりしてね
四人での夕食を終えた後、俺は真里奈を家まで送るために夜道を歩いていた。彼氏なら彼女を家まで送るのが普通との事で母さんと歩美から強制的に家を追い出されたのだ。
「なあ、どうするんだよ。完全に母さん誤解してたぞ」
「別に誤解させたままで良いんじゃない?」
結局、偽装彼氏である事を母さんには話せなかったためマジで付き合っていると思っている。絶対誤解を解くのがめちゃくちゃ大変そうな気しかしない。
「それだと俺がめちゃくちゃ困るんだけど、そこのところはどう思ってるんだ?」
「いちいちそんな細かい事を気にしてたら負けよ」
「いやいや、気にするなって方が無理だろ。てか、真里奈は母さんに俺の彼女だと思われたままで良いのか?」
「私は全然構わないわよ、別に困る事なんて何も無いし……それにどうせ遅かれ早かれ私と才人は本当に付き合う事になるんだから」
後半は声が小さ過ぎて何を言っているのか全く聞こえなかったが、真里奈は誤解されたままで特に問題ないと思っているらしい。
「それより今日は久々に才人と話せて嬉しかったわよ」
「ああ、 俺の方こそありがとう」
もう二度とこんな風に真里奈と話す事は無いと思っていたため、俺としても嘘偽りなく嬉しかったと言える。それからしばらく歩き続けて一軒家の前に到着した。
「真里奈の家も相変わらず昔のままだな」
「別にリフォームとかはしてないから当然よ、とりあえずここまでで良いわ」
「ああ、じゃあまた明日」
俺は真里奈と別れて家に帰ろうとするが、突然玄関の扉が開かれて現れた真里奈とそっくりの顔立ちの人物に声をかけられる。
「真里奈おかえり……あれ、ひょっとして才人君!?」
「あっ、真里奈のお母さん。お久しぶりです」
真里奈のお母さんは昔から美人だったが、今でもめちゃくちゃ美人だ。
「真里奈と一緒にいるけど、ひょっとしてまさか二人は付き合い始めたの?」
「そのまさかよ、ママ」
俺が否定するより前に真里奈は自信満々にそう答えた。すると真里奈のお母さんは嬉しそうな表情になる。
「真里奈、やったわね。昔から才人君のお嫁さんになりたいって言ってたから夢に一方前進よ」
「ち、ちょっとママ。大声で余計な事は言わなくていいから」
俺の母さんの時と同様俺をそっちのけで盛り上がり始めてしまったため否定するのが難しくなってしまった。もはや諦めるしか無いようだ。
「じゃあ俺はこれで帰りますね」
「あっ、せっかく真里奈を家まで送ってくれたんだから才人君にコーヒーくらいご馳走しないと」
「そうね、せっかくだから家に上がっていきなさいよ」
帰ろうとしていた俺だが二人から引き止められてしまったため真里奈の家へとお邪魔する事にした。ダイニングテーブルに着いてコーヒーを飲んでいると真里奈のお母さんが興味津々な顔で口を開く。
「それで二人はどっちから告白したの?」
「才人が情けない声で私に付き合って欲しいって告白してきたから仕方なく付き合ってあげる事にしたのよ」
「え、ええそうなんですよ」
「そっか、才人君から告白したんだ。もしかしたら真里奈から告白したんじゃ無いかって思ってたからおばさんちょっと意外だわ」
真里奈は事実無根の完全に適当な事を言っているが下手にツッコミを入れるとややこしくなりそうだったので話を合わせる。
「ちなみにもう才人君と真里奈はキス済ませた?」
「き、キス!?」
「流石にそこまではまだやってないですよ」
思いっきり動揺する真里奈を横目で見つつ、俺は冷静にそう答えた。本当のカップルでも付き合った当日にキスはいくらなんでも早いのではないだろうか。
「あっ、もしエッチするならちゃんと避妊だけはしっかりしてね。やりたい盛りの二人にやるなとまでは言わないから」
「ち、ちょっとママ急に何言い出すのよ!?」
真里奈は顔を真っ赤にして声を張り上げた。流石の俺もこれには激しく動揺している。さっきのキスの話とは破壊力が桁違いだ。結局俺達が落ち着くまでしばらく時間がかかった事は言うまでもない。
「じゃあ今度こそ俺は帰りますね」
「ええ、才人また明日」
「才人君、またいつでもおいで。おばさん大歓迎だから」
俺は二人に見送られながら真里奈の家を出た。そして夜道を歩いて帰り始めているとポケットに入れていたスマホが振動する。
スマホを取り出すと画面にはチャットアプリであるLIMEのメッセージ通知が来ていた。どうやら送り主は真里奈からのようだ。
「明日は朝から家まで迎えに行ってあげるから楽しみにしてなさい……って、本気で言ってるのか!?」
ただの偽装彼氏にそこまでする必要が本当にあるのだろうか。いや、真里奈の事だから登校中に告白されるかもしれないから守れという理屈なのだろう。
「おいおい、俺の平穏な学校生活はどうなるんだよ……」
完璧美少女な真里奈と平凡を絵に描いたような俺が一緒にいたらめちゃくちゃ目立ってしまうのは目に見えている。明日からの事を考えると胃がめちゃくちゃ痛かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます