第9話貧乏時代を思い出せ!

多少、生活にゆとりが出来てきた。

だが、昔の貧乏時代を忘れてはいけない。

タバコが買えず、道路に落ちているタバコの吸い殻を拾い吸っていた。

どうしても、タバコは辞められなかった。

飯も食えなかった。社会福祉協議会にお願いして、食料支援を2回受けた。

中国人アルバイトから、コンビニの廃棄処分のおにぎりや弁当を貰い食べていた時代もあった。

働いても働いても、病気で仕事を辞めなくてはいけなくて、あの頃が人生のドン底であった。

幸い、家賃、光熱費、水道代は支払えていたので、食費しか削ることは出来なかった。

もちろん、タバコは買えない。拾って吸うだけ。


しかし、今は腹一杯飯が食えて、挙げ句タバコも不自由しない。

でも、これが当然だ!とは思ってない。また、働けなくなることを恐れている。

多少の体調不良はあるが、会社を休むことは無くなった。

僕みたいな障がい者に、働くチャンスをもらえたこの会社をありがたいと思わなくては。

そして、僕は過去の不幸を知っているから、今の幸福を噛みしめる事ができる。

ホントに苦しかった。

いつも、空腹だった。それを、水を飲んで誤魔化した。

キャベツを一玉買ってきて千切りにして、塩コショウを掛けて食べて、後は水ばっか。

米が実家から届くと、米を炊いて水道水を掛けて水茶漬け。

それで、生き延びた。楽しみは過去に読んだ小説を読み返す事。

早朝に起きて、夕方には寝た。

それが、今はカクヨムを知り執筆することが趣味になった。

それまでは、なろうだったが、誤字脱字ばっかり指摘されたり、200文字以下は書けないので、カクヨムに鞍替えしたのである。

今もどちらかと言えば貧乏だ。

しかし、あの頃と比べたら随分楽な生活になった。

だが、忘れてはいけない。貧乏時代を。

今の幸福感を味わえるのは、過去に清貧だった事を忘れてはいないからだ。

多くの人間が下積み時代を過ごす。

僕もそうだった。だから、今があるのだ。

財産を残してもしょうがない。ただ、葬式代とお世話になった家族にお礼程度のお金は欲しい。

僕はこの生活に満足している。

欲望は有り過ぎると失敗する。

中庸の精神が必要なのである。

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