42、続・小屋を建てるぞ!壁をドーンと

昨日は、夕方前に小屋作りの作業を終え、近場でキノコと葉っぱ類を取りにいき、魚とキノコの蒸し焼きを作った。

作業に集中するために、今日の食事にするハーブとキノコたっぷりのシーフードスープを仕込んだので、今日は一気に壁を作るぞ。



と、その前に。

罠の魚をチェックする。

三匹ゲット。今日は内臓を抜いて水分を拭き取ったら丸のまま干しておく。

昨日干した魚は半分は食事で消費したが、残りは冷蔵庫ボックスへ入れて保存しておく。

節約すれば数日食べれる分は魚を確保できたぞ。

あとは美味く保存していく方法が必要。今のところはよく干すか、冷蔵庫が無難だよねえ。



さて、怪我をしないように十分に身体を解してから作業に取りかかる。

まずは昨日のやり残しの柱から。

四カ所、八本を建てるのだがまだ実物を使った実験をしていないのが気になっている。

一生懸命柱を立てても、考えている方法で壁が作れなかったらやり直しだ。

とりあえず、一方向だけ壁を作ってみることにする。



二カ所四本の柱を穴をしっかり掘って立てていく。

昨日たてた柱も一晩経ってしっかり立っているので問題は無いはず。


並んだ柱と柱の間にちょうど竹一本分の隙間が出来ている。

そこに同じくらいの太さの竹を積み重ねていく。

壁の構造はこれだけ。少しでも匠の技の要らない方法にしてみた。もっと良い方法が思いついたら、ゆくゆくはそれも取り入れてもいい。

まあ、なるようになるでしょ。出来る出来る。


五メートルに切った竹を五本横倒しにして積んでいき、一旦向かい合う柱同士をしっかりと縛る。

その上にまた五本並べて、また柱を縛る。

今のところ柱が撓んで崩壊する様子は無いけれど、補強するために壁の内と外に大きな石を置いていく。

一つ一つが泊まりの出張に行くときに持っていくキャリーカートくらいある。


これは三輪山さんの許可を得て、ネモさんの家の跡地だと思われる所から集めた大きな石。基礎だったのかな?木造だった部分はもう残っていないけれど、石はたくさん残っている。

山で集めてもいるし、その中でも使い勝手の良さそうな大きさ、形の物はより分けて置いてある。

選んで持ってきているので、元々わりと良い大きさ形の物が多いけれど、それでも出来てしまった隙間には粘土を混ぜた泥を入れて石を楔のように組んで固めておく。


石で内外から支えたこともあって、竹の柱と途中まで組んだ壁はよく固定されている。と思う。

これなら予定通り作っていっても大丈夫かな。

残りの竹も全部五メートルで切ってしまおう。


片側の壁の四段分二十本を固定して、自分の目線上くらいまで高さが出来た。身長くらい、百五十セントメートルくらいか。

水侵入防止の為に床を付けるつもりだから、頭を下げずに入るためには、もう少し高さが欲しいところ。

ちょうど柱も立っているんだし、二メートルちょっとの高さを目指そう。

でも手がそろそろ届かなくなってしまうんだよな……石を足場にして、上に載せようか。

考えているとパジェ君が裾を引っ張った。


「ご主人、乗りますか。石よりよほど高さが出せますよ。安心安全のイノシシ足場、いかがですか」


うううううん……

確かに有り難い申し出だけど、パジェ君の上で両手を離すのが恐い……

あぶみとか何も頼る物が無いから……


「ふふふ、スラちゃん、アレ、やってみるっす!」

「ぴゃー!」




「ほらほら、この大きさなら恐くないでしょ」

言われて大型犬と中型犬の間くらいの大きさのパジェ君に跨がる。

まだ地面に足も付くし、恐くは無いんだけど、潰しちゃいそう。

「ご主人が重いのは、良ーく知ってますから。今更ですよ。遠慮は要りませんよ。さあ、スラちゃん、やってください」

「ぴゃーーー」


スラちゃんが伸びて、私の下半身とパジェ君の胴体を包み込む。

弾力はあるがしっかりホールドされて動かせない。

「竹、しっかり持っててくださいね」


そのまま大きくなるパジェ君。スラちゃんは上手く伸びて大きさを調整している。確かにこれなら安定していて、両手が自由になる。

とは言ってもおっかなびっくりではあるが。

竹を五本、上に載せてしっかり縛っていく。

これで壁は竹二十本、約二メートルの高さが出来た。


片側できあがり。

さあもう片方も作りましょうか。


簡単にスープで食事を取り休憩してから作業再開。


あらかじめ切っていたので、片側の壁の作業は問題なく進んでいく。

が、分かってはいたが十五本乗せたところで残りの竹が少なくなってきた。

まだしばらく明るいし、今日の内に調達しに行こうか。

早めに終わらせたいもんね。



前回竹を取ったときは、引きずって持って帰ることになると思っていたから、長さもだいたい十メートルと決めてその場で切っていたが、今回はパジェ君の能力を借りられることが分かっているので、長いまま枝だけを払っていく。

先端は邪魔だから一応切り落としたけれど、切る回数が少なく済む分作業が早く進んでいく。


まあここで楽した分、組み立てる前に切る回数は増えるんだけどね。

それは考えないようにして、どんどん切っていく。


もいだ枝はある程度溜まるとパジェ君がキャンプに吐き出してくれる。

竹は乾かすと良い燃料になるし、冬越えの蓄えはいくらあってもいい。寒いときに薪集めはキツいし。

たくさん貯めておきたい所。


二十九、三十!

二時間近くかけ、三十本の竹を切り終えて最後の先端を切り落とす。

薄暗くなってきたので急いで戻らないと。


「薄暗い中待つの恐くない?」

「全くっす。ご主人の帰り道の方が心配っす。スラちゃん、護衛お願いします」

「ぴきー(まかせて)」


ほら早く行ってください、の声に押されて走り出す。

ああスラちゃん、ランタンは持っているけれどそんなスピードで行かれるとただでさえ日の入りにくい山の中、足元が……


べしゃん


木の根につまずいてこけました。

幸い怪我は無いけれど、服が泥だらけ。ちょっと泥食べた。


慌てて戻ってきたスラちゃんに水を出して貰い、手を洗って軽くうがいをした後にトレイルランニング再開。


今度は気を使って鬼教官スラちゃんがゆっくり走ってくれましたよ。

なんかごめんね、身体能力が付いていかなくて。

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