【第二十一】※筆者註
※「男色」に関心のない方は読み飛ばして【第二十二】へ——
●南都六宗/平安二宗
前者は奈良時代に成立したという仏教の学派・宗派。南都は平城京のこと。後者は平安時代になってから盛んになった代表的な宗派。これらを合わせて八宗と呼ぶ。
現代では、真言宗で出家したら真言宗の、浄土真宗で出家したら浄土真宗のお坊さんで終えるのがふつうだが、かつては一人の僧侶が複数の宗派を学んだり、修行したりする兼学が珍しいことではなく、むしろ尊敬を集めることであったらしい。
●
「日吉神道」はよく「山王神道」「天台神道」と呼ばれる、天台教学に基づく神道。比叡山の地主神である日吉神社を中心に広まった。「
「インドの使徒」はフランシスコ・ザビエルのこと。
「ミヤコ教団」は「福助婆ァ」が教祖の新興宗教。「28号」の奪還を狙っている。
●トレイシー・ローズの裏ビデオ
重ね撮りされたのだから、これはおそらくVHSテープであろう。βマックスの可能性もあるが、同時代であっても、筆者はβマックスの実物をついに見ることはなく、VHSとの普及率にはよほどの差があったに違いない。
●カワセミやヤマセミの
「雛僧」とは所謂「小僧」のこと。トリなら「雛僧」がふさわしいだろう。
鴨大夫を押し止める役をカワセミとヤマセミにしたのは、いずれも留鳥であるところからだが、カワセミは金属光沢のある青く美しい翼を持ち「渓流の宝石」の異名を持つトリであり、ヤマセミもまた羽衣の鹿子模様の美しい「渓流の女王」と呼ばれるトリである。そして、この美しい二種の雛僧を、比叡山法師の最高権力者たるトビの定覚が身近に
本作「【第五】鳥真似禅の事」などでも中世における宗教の腐敗について触れたが、性的堕落も目に余るものがあった由。
水上勉は評伝『一休』のなかで、官寺の高僧たちが「本来なら、監視の目を怠らず、修行徹底させねばならぬ喝食、童行にも華美な衣装をつけさせ、前髪をたれさせ、白粉をぬらせ、寵愛用の少年にしたてた」と記し、「庫裡王国に隠花を咲かせた伝統はここに根がある」と禅林の「男色」について述べている。
また水上自身が、9歳から京都の等持院に預けられ童行、喝食、沙弥を経験しており、「男色は十五、六歳からはしかのように襲った」とみずからの体験を綴っている。また「兄弟子は一つ床に下弟子を導き入れ、手淫を強制した。」「これは他寺の徒弟だったが、誰かに無理矢理鶏姦をうけたとみえ、ガーベラの花のように肛門をただれさせていたのをみている」と眼にしたものについても記している。
「ある期間外界から遮断された場合、隠花のような男色の性を咲かせるのを私は知っている」という、かれの知見はそのまま、大杉栄が陸軍幼年学校で体験した事柄に当てはまる。
「これは見つかれば軽くて営倉、重くて退校の処分にあうのだが、夜みんなが寝静まってから左翼のほうの寝台へ遊びに行くこともやはり東京からきた先輩に教わった。「仲間」の仕事というのは、これが一番主なことであったのだ。」(大杉栄『自叙伝』より)
●「赤児さらいの謂れ…」
『日本霊異記』上巻「第九」に「
ワシの
◆参考文献
叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』山と渓谷社 2016年
水上勉『一休』中公文庫 1978年
大杉栄『自叙伝』土曜社 2011年
ミダス・デッケルス『愛しのペット 獣姦の博物誌』(伴田良輔 監修、堀千恵子 訳)工作舎 2000年
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