【第十一】※筆者註
※「総排出腔」に関心のない方は読み飛ばして【第十三】へ——
●「ハシブトガラスの居並ぶなか、見劣りしない威風…」
ミヤマガラス、兼門勘太郎の登場シーン。その堂々たるさまを表現しようと試みてみた。じつはミヤマガラスはハシブトガラスより一回りほど小さい。全長は前者が約47㎝、後者が約57㎝ほどだという。それだけ勘太郎の威風堂々たるさまは立派ということなのだが、じっさいにミヤマガラスのなかでもリンゴ半個分くらいはおおきい、ということにしておこう。
ちなみに、ミヤマガラスは冬鳥である。だから、この物語のクライマックスとなる9月頃にはいない可能性が高い——が、ミヤマガラスのみならず、この物語に登場するすべてのトリについて、個々の渡りの習性をバカ正直に反映させてしまうと、物語がまったく立ち行かなくなってしまう。であるからして、一部例外を除き、渡り鳥それぞれの習性は今後も完全無視するのであしからず——
●「
「尻の穴から指突っ込んで奥歯ガタガタいわせたろかい!」というニンゲンの慣用句を、トリ真似していおうとしたのだろう。語尾は聞き取れない。ただ、トリには歯がないので「奥歯——云々」は間違い。
ちなみに本段でも触れたが、トリの「総排出腔」からは糞尿が入り混じって排泄される。メスからはまた卵もここをとおって産み落とされる。そしてまた、排泄されるばかりでなく交尾器官としても使用され、ペニスを持たない97%のトリは雌雄でこの総排出腔を密着させて精子のやり取りをする。ヒト呼んでこれを「
●ニライカナイ
沖縄や奄美地方に伝わる、東方の海の彼方にあるという理想郷——というか、あの世だろうか… たしか、死者の魂がたどりつく場所だった。違っていたらメンゴメンゴ… それがニューカレドニア的な島なのか、海の底の竜宮城的な楽園なのか説は色々らしいが、筆者のイメージは五十嵐大介の『魔女 第2集』にある小編「ビーチ」に出てくる「
本土の——所謂、ヤマトんちゅは、極楽浄土は西方にあると信じていたから、この相異はなんだかおもしろい。
◆参考文献
エミリー・ウィリンガム『動物のペニスから学ぶ人生の教訓』(的場知之 訳)作品社 2022年
ヴィンチェンツォ・ヴェヌート『生きものたちの「かわいくない」世界 動物行動学で読み解く、進化と性淘汰』(安野亜矢子 訳、株式会社リベル 翻訳協力)ハーパーコリンズ・ジャパン 2021年
五十嵐大介『魔女 第2集』IKKI COMIX(小学館) 2005年
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