【第十四】※筆者註

※関心のない方は読み飛ばして【第十五】へ——


●チリコンカン/トルティーヤ

 チリコンカンはトマトやチリパウダーを使った、メキシコの煮込み料理。トルティーヤも、おなじくメキシコの、トウモロコシ粉や小麦粉で作った揚げ煎餅で、たいていチリコンカンをディップして食べるイメージ。

 筆者はあまり食べる機会がないが、チリコンカンにトルティーヤが添えられていなくてもべつに困らない。白飯があればヨイ。反対にトルティーヤだけ出されても困る。それならポテチだけのほうが嬉しい。


●サギへの嫌がらせ

 カラスはいろいろなイタズラをする。奈良公園のカラスは、公園内にいるシカのあとをつけて行って、尻尾の毛を毟ってはシカの反応を見て楽しんでいると云う。本段でカラスがサギの飾り羽を毟る嫌がらせは、このイタズラにヒントを得た。

 ちなみに金華山のカラスは、島内に生息するシカの糞を拾っては、それをシカの耳の孔に入れて遊ぶと云う。シカはさぞ迷惑だろうが、サギの場合、鳥類の例に漏れず糞が粘液状なので、このイタズラをするには向かない。そもそも糞を耳に入れるにしても、サギの耳がイメージしにくかろうと考えて採用しなかった(替わりにイヌの糞を総排出腔に突っ込むというのは考えたが…)。

 また、カラスがクルミを落とすのは殻を割って中味を食べるためで、じっさいにはイタズラではない。ちなみに、ハシボソガラスのなかには、クルミを交通量の多い交差点などに置き、車に轢かせて割るものがいる。さらに、ごく稀だが、クルミを確実に割るため、わざわざ信号待ちの車のタイヤのまえに実を置くものまでいると云う。ハシブトガラスはふしぎとそういったクルミ割りはしないと云うが、そうしてハシボソガラスが割ったクルミの実を、待ち伏せしていて横取りすることがあるらしい。利口なのはいずれか——?


●「近江あふみなる伊香具いかごの海は如何いかがかと、海松布みるめもなきに思へども…」

 本段では冬若丸の心情を表すのに引用したが、底本では「正素ただもとの息女」に宛てた真玄の「仮粧文けしょうぶみ」(恋文)の冒頭となる一文。ただしくは、「近江あふみなる、伊香具いかごの海のいかなれば、見るめもなきに思へども…(後略)」で、この元歌がまた『今昔物語集・巻十六』「第十八」にある。「伊香具の海」とは滋賀県伊香郡にある余呉湖の旧称と云う。「海松布」は緑藻類アオサ藻綱ミル目の海藻「海松みる」のこと。広辞苑には食用だとあるが、いまはあまり食べられていない様子。


●「白妙しろたへの そでかづきし さぎ立てば」

 あ●みょん氏の大ヒット曲に似ていると評判の、雪透姫に詠んだ冬若丸作の恋歌。あくまで偶然の相似、としておこう。そこで試みに、♪「マ●ーゴ●ルド」サビ部分をまじめに古文訳してみた。

 〽麦わらの 編笠あみがさかずきし かの君に

  千寿せんじゆの菊の ゆれるを想ふ

  はいまだ空れし夏のころほひにて

  いや懐かしと笑ふた かの日の恋

  「ゆめ離れなで」とや

  うちひそまなこにてまぼりし君を

  わた雲のごときやわらぎで やをらにしか

  かきいだきて かきいだきて 離れがたし



◆参考文献

 樋口広芳『鳥ってすごい!』ヤマケイ新書 2016年

 池上洵一 編『今昔物語集 本朝部(上)』岩波文庫 2001年

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る