【第九】※筆者註

※関心のない方は読み飛ばして【第十】へ——


●検非鷧使

 洛中の治安を取り締まった令外官りょうげのかん検非違使けびいし」のパロディー。

 ちなみに、ここでの「検非鷧使」の「」とはトリの「」のことであり、本作では、洛中の鴨河や桂河などの水辺の治安を司る「鵜」による刑事組織「検非鷧使庁」の役禽(役人)、と云う設定にした。


●ユスリカのかき揚げ/ゴカイの煮しめ/バッタの串焼き/カエルの開き/ザリガニの塩茹で

 雪透姫一行の花見の際の重箱弁当の中味。ユスリカのかき揚げとゴカイの煮しめはコチドリのための料理、バッタの串焼きはアマサギのぶん、カエルの開きとザリガニの塩茹ではダイサギのための料理。

 アマサギはハエもよく食べるらしいが、インテリでしとやかな月清尼がハエのツクネを食べる姿は絵にならぬ、と思い控えた。


●「ウグイスでなくメジロでした」

 冬若丸の証言から。

 メジロとウグイスはよく間違われる。「梅にウグイス」と云うのも、実はメジロと間違っていたのだろうと云われている。筆者の個人的経験だが、じっさい梅に止まっている小鳥もウグイスよりメジロであることのほうが多い。ウグイスが主に昆虫食なのに対し、メジロは果実や花の蜜もよく食すので、これは当然か。

 歌に詠まれるのはウグイスであるのに、羽の色はメジロのほうが鮮やかだから、ヒトはどうもメジロをウグイスと嫌いがある。



◆参考文献

 叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』山と渓谷社 2016年

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