第13話 メルティキッスと巨大剣

「うぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉっ‼︎」


巨大剣の重さも加わり、もの凄い勢いで崖を下る!


「ソウターーーッ⁉︎」


「キャアーッ!凄いわ、ソウタ!」


崖下には岩がコブとなって盛り上がっている箇所がある。


「シャーーーーーッ‼︎」


滑り落ちてくる俺に向かって、ジュダが糸を吹きかけてきた!


「どぉりゃっ‼︎」


オーリーよろしく、巨大剣ボードはコブで大ジャンプ!そして、その糸の網を突き破る!


空中でバランスを崩して巨大剣から落ちたが、今度は、落下する巨大剣のつかを握って、そのままジュダの頭上に落ちてゆく!


「はぁあぁあぁあぁあぁッ‼︎」



斬‼︎



頭から胴体まで、真っ二つに斬り裂く!


「ギャアァアァアァアァーーーッ‼︎」


ジュダは断末魔の叫びを残して倒れた。



巨大剣は地面に突き刺さり、俺はそれにぶら下がって着地!


「やったか・・」


「「ソウタ!」」


ユイとレイナが駆け寄ってくる。


「二人とも無事だったか⁉︎・・うぉっと!」


二人は一心不乱に抱きついてきた。ユイもレイナも、その瞳には安堵の涙が浮かんでいる。


俺の名前は、スズキソウタ。この世界では、魔法も使えなければ、凄いスキルも持ち合わせていない。使える手持ちの武器といえば、ミニマムダガーだけだ。そんな最弱の俺だが、このバカバカしい大きさの大剣を振った時、最強の存在になる。



子供たちを解放した俺たちは、建物の地下で、幽閉されていた本物のジュダ13世を発見した。実は、あの化け物は、偽の教皇だったのだ。


「助かりました!あなたたちのおかげで教皇領は救われました!」


アークドラゴン討伐に対する『神殺し』の罪は、あの偽教皇が出した勅令ちょくれいで、本物のジュダ13世は一切関与していないとのことだった。






翌日、俺たちは酒場にて街の人々から感謝のおもてなしを受けていた。


「ウチの子を救ってくださり、ありがとうございます!この御恩は一生忘れません!」


「教皇さまも助けてくださったそうで、あなたたちこそ、まさに、守護天使です!」


『神殺し』から『天使』か・・ははは、出世したもんだ。


「それにしても凄い剣だったな」


そう言って、俺に酒を注ぐのは、あの時の牢屋の守衛だ。


「あんたほどの『剛の者』、見たことないぜ!」


『剛の者』か、いい響きだ。でも、ごめん、正直に言おう。全て偶然が重なっただけで、俺の実力じゃない。


両脇に二人のプリーストがやってきた。


「ソウタさま、わたしをお供に加えてください。お願いします!そして、身の回りのお世話をさせてください」


「わたしも連れていってください!ソウタさまの、その、あの・・、下のお世話もさせていただきますので♡」


はい、『下のお世話』いただきましたーーーッ!


「ちょ、ちょっと、どいてください!ここは、わたしの席ですよ⁉︎」


「プリーストともあろうものが、なんて、はしたない!あっちへ行くのよ!ビッチ!」


ユイとレイナが割って入り、プリーストたちを追い払ってしまった。


「お、おまえら、強引だな・・。もしかして、俺のこと好きなのか?」


「バ、バカ言わないでください!誰が、ソウタのことなんか!こんなエロ男爵、ぜんっぜんっ、好きじゃありませんから!」


こいつ、なんて可愛げのない・・。そんなやつには・・・。


「『メルティキッス』!」


ポヨヨヨン、パッ!


「おぉ!ユイにヒットした!」


実は、《メルティキッスの呪文書》が、あと一つ残っていたのだ!


「へ?」


「どう?俺のこと好きになった?」


「だ、だから言ったでしょう!ぜんっぜんっ、好きじゃありませんって!」


「あれ?全然効いてないけど・・。レイナ、どうなってんだよ!」


「おかしいわね・・」


「不良品だったんじゃないのか⁉︎金返せ!今すぐ返せ!」


「なんて見苦しい・・。悪質なクレイマーだわね」




その夜は、この街の宿屋に泊まらせてもらった。


「結構、飲んじゃったな。明日もあることだし、そろそろ寝るか」


コン、コン。


こんな夜中に、誰だ?


「・・ソウタ、起きてますか?」


ユイの声だ。


ガチャ。


「どうした?こんな夜中に・・」


「ちょっと眠れなくて・・。部屋に入っていいですか?」


「あ、あぁ・・かまわないよ」


んんっ?なんだ、この展開は?


突然、部屋に入ってきたパジャマ姿のユイは、俺の隣に座った。ベッドの上で男女が二人で座っている。お風呂上がりだろうか、ユイの身体からは、女の子特有のイイ匂いが漂ってくるじゃないか。


・・・だ、だめだ、いざとなると、心臓がバクバクして口から出そうになる!こんな美少女と部屋で二人きりなんて、童貞には荷が重すぎるんだよ!


「あ、あの、先ほどのことなんですが、・・あの、その・・」


「先ほど?」


「ソウタのこと好きじゃないって言ったことです」


「あ、あぁ、あれね。ははは、気にしてないよ」


「き、気にしてください!」


「えっ⁉︎」


「わ、わたし、ソウタのこと、す、す、す・・」


おぉ!これは、もしや⁉︎


「好きな気持ちも少しはあります!」


ズコーーー!少しかよ!嫌いじゃないってくらいのことか・・・。


「す、少しね。はははは・・」


「そ、そうじゃなくて・・」


ハッとした表情で俺を見つめ直して、唇を噛み締めている。そして、パジャマのボタンを外し始めたのだ!パジャマはワンピースで、すべてのボタンを外すと下着だけの姿になる。


パサッ


「・・・・・‼︎」


ユイのプルプルの肌は、とても柔らかそうで張りがある。豊かな乳房は、ブラに収まりきらず、はち切れそうだ。そして、曲線美を誇る腰は、将来の安産を約束してくれているかのようだ。


「あ、あの、も、もしよかったら、抱きしめてくれませんか?」


ユイは、顔を赤くして視線を逸らしながら、恥ずかしそうに言った。


・・って、おいおいおい!きちゃったよ、この時がッ!・・い、いいのか⁉︎まだ、未成年だろ?条例とか大丈夫かな?


・・それにしても、なぜ、急に?どういう心変わりなんだ?


「ハッ‼︎」


そうか!あの時の《メルティキッス》が効いていたんだ‼︎つまり、ユイは、今、【魅了状態】てことだーーー‼︎

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