第9話 ダンジョンへの思い
「こうして我らは今ダンジョンという空間で生きている。」
そう魔神は締めくくった。
「なぜ、まだ魔族と人間が争い続けているか、そう思う者もいるだろう。」
そう魔神は俺たちに問い掛けてきた。何人もが首肯する。
「1番の理由は人間が、ダンジョンからモンスターが這い出てくるのを恐れ定期的に間引いているからだ。
2つ目に、魔族の素材が人間にとって有用だからだ。
最後の理由としてダンジョンをこの世界から消すためだ。しかし、この動機はもうとうの昔に忘れ去られ、今は女神を厚く信仰する者しか信じてない。」
「我はあの美しい世界が好きだった。だからこのダンジョンという空間で、お前達ダンジョンマスターにも世界を創造して欲しい。別にそれが美しくなくても構わない。人間を殺すことに重きを置くのも良い。お前達の世界を見せてくれ。」
いつもの雰囲気とは異なり、感傷と期待を抱いた様子で言う。
「召喚できるモンスターはその環境によって影響される。陸に海のモンスターは召喚できないみたいにだ。よってモンスターの種類はダンジョンの種類毎に異なる。多種多様なモンスターを楽しみにしているぞ。」
「次は何事も無かったら1年後に召集を掛ける。」
雰囲気が終わりに差し掛かる。
「最後に忠告だ。」
先程とは空気が変わる。
「人間を余り舐めてかかるな。今日此処に来れたのは人間の本当の驚異を知らないからと思え。」
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俺は自分のダンジョンへと帰還した。
「随分と壮大な話を聞かされたな。」
先程までの事を振り返りながら呟く。そして、魔神の想いが籠った言葉を忘れない内に行動に移す。
「まずは第二階層を創ろう。ずばり雪原のゴブリンの集落だ。」
俺はコアへと触れるとDPが5万増えてることに気づいた。
「これなら色々試せるかな?」
俺は心の中で魔神に感謝し、ダンジョン改装から階層追加を5000DPで選択する。すると一瞬で周りにはなにも無くなった。
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「これが創造前の世界か。まずは大地を創るとこからだな。」
最初は高さが均一になるように土を敷いた。どんどんと土を敷いていると途中で透明な壁に当たったように進めなくなった。どうやらここで大地を広げるのは限界らしい。その後もいろいろな方向に土を敷き、大地は創り終わった。
「500m×500mくらいが最大の広さか。次は天井を創るか。今回のイメージは雪原だから天井は空にしよう。それで装飾の環境から雪を振らせるか。」
-雪- 10㎡/10DP
部屋全体に雪を降らせる。どれくらいの頻度で振らせるか設定することができる。
俺は50000DPで雪を降らせるようにした。高いが雪が無いと話にならないからしょうがない。すると青空だったものは次第に灰色に染まり、雪がパラパラと降ってきた。
「DPが低いと思ったがこれじゃあ納得だな。この雪じゃあ戦いには関係ないな。大雪を選択したらもっと変わるのか?」
大雪の説明文も見てみる。
-大雪- 10㎡/100DP
部屋全体に大量の雪を降らせる。どれくらいの頻度で振らせるか設定することができる。
どれくらいの量か確かめるために一区間だけ大雪に設定してみた。
「遠くが見えにくいぐらいは降ってるな。DPと同じで10倍ぐらい降ってるのか?」
一区間だけ大雪なのは変なのでDPは勿体無いが雪に戻しといた。
「これで雪原のベースはできたな。それじゃあ集落を創る場所を決めるか。」
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集落③
集落②
集落①
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入口
考えた結果、この配置で集落を置くことに決めた。
「集落といえば、近くに川があったほうがいいよな。左上の隅から集落③、②の南側を通って集落①の北側を通る川を掘るか。横幅は10m、深さは中央が3mぐらいにしとこう。」
穴を掘り終えたら、川の開始地点に水源を設置する。
ちなみに穴を掘る時は別にDPを使わないで掘削できた。土は俺が敷いたからなのか、まだ第二階層は製作途中だからなのか分からないが嬉しいことだ。
「そうしたら川の開始地点に水源を置こう。」
-巨大な水源-
広い湖や川をも満たせる水を出すことができる。必要DPは水を出す環境によって変化する。
「環境って言うのはさっき俺が創った川とかのことか?確かに、地面の上とかにいきなり水源があっても変だもんな。」
俺は5000DPで巨大な水源を設置した。
「水が川の流れに沿ってどんどん流れていくぞ!」
自分が創った川が正常に機能したのを見て達成感が湧き、テンションが上がった。
「この調子で次はゴブリンの住処を作るか...その前に木とか植物を植えないとな。一面銀世界じゃあ殺風景すぎる。」
俺はそう言い、装飾から植物を選択する。
-ランダム生成- 10㎡1DP
環境に合った植物をランダムで生成する。
-群生地-
環境に合った植物の中から、1つ選びその群生地を生成する。DPは選んだ種類により変わる。
「今回はランダム生成の方でいいな。
植物を植えない場所を作ってそこを道みたいにするか!人間がそれに従うか分かんないけどやってみよう。」
俺はランダム生成を選択し、集落3つを繋げるようにそこだけ空間を開けて植物を植えた。
「縦に真っ直ぐな木がたくさんだな。それに食べられそうな実や植物も生えてる。これならゴブリンも食べられそうだ。」
俺は、ちゃんと道になっているか確認するために入口から植物に沿って歩き出した。集落①まで到達し、②に行こうとすると川に道を塞がれた。
「俯瞰視点から観てたから橋が必要なことに気付かなかったな。」
俺はそう言い、木の橋を1DPで生成した。
-木製の橋-
なんの変哲もないただの木の橋。DPは長さにより変わる。
生成し終わるといつのまにか雪が止んでおり、橙と青のグラデーションに染まった空の向こうから夕陽が顔を覗かせていた。橋の上から周囲をみると川が穏やかに流れ、川の周りには木や草が生えている。それらには雪が覆い被さっており夕陽の光で少し輝いている。
銀世界にチラリと浮かぶ常磐色と鏡面のように周囲を反射する川の景色に俺は心を奪われた。
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https://www.bing.com/images/create/the-photo-that-river-flows-in-the-snow-field-and-c/652fa30940e64d46ad2e2fa666a0763d?id=9yMTOcpdsCIe7qf6hWewwA%3d%3d&view=detailv2&idpp=genimg&FORM=GCRIDP
AI画像で、最後の景色を出力しました。
イメージのお供にしてください。
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