第7話 第2の誕生
ついに明日で誕生してから2ヶ月経つ。最初の2人組以来、人が来ることは遂に無かった。2人が言ってたことから推測すると、今は冬真っ只中のせいで外に出にくいのであろう。
「DPを使う機会が無いせいで1万DPを超えてしまったな。人が来ないのも退屈だ。」
暇な時間に氷魔法で入口の部屋以外を全て凍らせたが、それもすぐに終わってしまった。終わってからは部屋のところどころに、水魔法と氷魔法を片手ずつ使って氷の壁を作り、障害物をつくった。そのおかげで、魔法の同時使用に随分慣れたのは良い経験だった。ゴブリンの様子も時々見たが、やはり子供はできていなかった。
俺はそうこの数日を振り返る。後1分で日が変わる。
丁度日が変わった時、俺の脳内に声が響いた。
『我が子供達よ、召集の時間だ。可能な限り召集に応えよ。』
俺は承認の意を念じる。すると、ある日と同じように目の前が真っ白になり、次の瞬間にはあの大広間にいた。
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俺は広間の中央にいるようだ。周りにも同じように召集されたものがいる。あの日見たような顔もいくつかあった。さらに、俺らの周りには、品定めするような雰囲気でこちらを見ている大勢がいる。
「これで今、召集に応えられるものは全員か。」
またあの厳かな声が聞こえる。俺らを見ていた周囲の者も含め全員がその声の主に注目する。
「ここにいる46人よ、2ヶ月良く生き残った。」
もう54人も死んだのか!?と俺は驚く。
「ダンジョンとは出来たてが最も弱い物だ。人が寄り付かない場所に生まれた運の良さか、いくら寄り付いても倒し尽くす強さか、そのどちらもダンジョンマスターには大事なものだ。」
どうやら俺は運が良かったらしい。人が多く来ていたら俺は今いないのかもしれない。
「その栄誉を称え、お前達に名前と少しばかりのDPを与えよう。」
男は広間をゆっくりと歩き、俺たちの前までくる。
「面を上げよ。」
まず最初に声を掛けられたのは、蛇の姿をした者だった。
「お前の名はズークだ。」
男は隣の者に歩く。
「お前の名はイグアスだ。」
「お前の名はエムスだ。」
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その後も次々と名前は授けられ、遂に俺の番になる。
「お前の名はグラスだ。」
(俺の名前はグラス。)
初めて聞く言葉だか、心の中で唱える度に安心感と力が湧いてくる。
その後も命名式は続いていった。
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「これからは、その名前を用い、世に自分を知らしめよ。」
「そして、ここからだ本題だ。お前達には、この世の成り立ちを教えよう。」
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