第6話 進化
俺は中途半端に完成された氷像を砕きながら考えた。
「今の俺に足りないのは殺傷力だな。それかまともな攻撃手段を持ったモンスターか。」
「鑑定」
ゴブリンの強さを再度確かめるためゴブリンに対し、鑑定を使用した。
-ゴブリン-
「強さは10歳の人間に相当し、戦闘を生業としていない大の男でも素手で勝てることが出来る。弱い故に、様々な環境に合う個体に進化でき、高い生殖能力も持ち合わせている。」
「コアで見た時とは説明が増えているな。」
俺は自分自身にも鑑定をかけてみる。
すると水魔法と鑑定のLvが2になっていた。
「これのおかげで情報が増えたのか。」
俺は得心しながらも、ゴブリンについて考えた。
「この氷張りの部屋の環境にも適応して生きていけるのか?」
物は試しと、戦いで生き残った2体のゴブリンを部屋に留め、ダンジョンコアの元へと帰っていった。
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コアに触れてみる。どうやら、2人を殺したことでDPが600増えたようだ。総量は4500程になった。
「まず、魔法の使い方を考えよう。」
水と氷の合わせ技は強かった。そのような強力な組み合わせがないかと睡眠を適宜挟みながらも日夜試行していった。
1月後...
「出来るようになったのは、水を霧状に噴射したのを凍らせて雪や雹をつくること。それを風魔法で少し飛ばすことか。後は、氷塊を作って投げるのもなかなか実用的だな。それに、強度は不安だが剣士の剣を真似て氷剣をつくることもできた。」
また、氷魔法のLvは7に、水と風は5に上がった。
Lvが上がってイメージに実力が追いついたことにより、水魔法は水球を、風魔法は鎌鼬を使えるようになった。
そして、ゴブリンの様子を見に行くと、なんと体が震えていなく氷の上を踏みしめて歩くことができていた。
「驚異的な適応能力だな。もしかしてもう進化できるんじゃないか?」
試してみようと、目の前の2体のゴブリンに対しモンスター進化を選択すると、
-アイスゴブリン- 20DP
という選択肢が出た。
迷いもせず進化をさせる。今は少しでも強いモンスターが欲しいからだ。
進化させるとゴブリンは青い光に包まれ、5秒ほど経つと肌が青いゴブリンに生まれ変わった。
「鑑定」
-アイスゴブリン-
「寒く凍った場所で戦うのに適応したゴブリン種。
氷上を滑ることなく走ることができ、ある程度の寒さならものともしない。平地での強さは通常族と変わらない。」
2体だけでは心許なく思い、通常族ゴブリンを召喚しようとした。すると、選択肢にアイスゴブリンの選択肢が追加されていることに気が付いた。
「1度生成できたモンスターは次からは召喚できるのか?」
俺は40DPのアイスゴブリンを6体追加した。
「進化後を召喚するのには40DPかかるのか。通常族を進化させるのは20DPだから、時間を考えなければ最初から育てた方がいいのか。」
「後は生殖関連を考えないとな。今のダンジョンじゃあ、住処もなければ食料もないしな。そういえば、俺もゴブリンも飯を必要としないぞ。今まで疑問に思ってなかったがどうしてだ?」
俺は不思議に思ったが今は特に不利益もなく、ゴブリンの住処を造るスペースがないので問題を見送った。
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