第3話 薄氷を踏ませる

俺は思い付いたアイデアを忘れない内に行動に移した。それは、地面を凍らせ相手の足元を不自由にさせることだ。その周辺に落とし穴でも置いとけば、なお良いだろう。ようするに、相手を危険な状況に臨ませるのだ。


「今、ゴブリンは2つ目の部屋に居るはずだし、3つ目の部屋にでもこれを仕込むか。」

俺はその部屋まで歩き、まずは地面を凍らせてみた。

大半を凍らせ終わると、次は落とし穴を造ろうとした。しかし、コアが近くにないので今は造れないことに気づいた。

「一々コアのある場所にまで戻るのは大変面倒だぞ。」

俺はそう呟き、いろいろと思考を巡らせていると唐突に目の前にいつものスライドが浮かんできた。


ーーーモンスター召喚ーーー

ーーーモンスター強化ーーー

ーーーダンジョン改装ーーー

ーーー マスター強化 ーーー 4000DP


「別にコアを媒介とする必要はないのか?」

俺はそう思ったが、落とし穴を設置している間に発見したことがあった。

「スライドを出すのに結構集中力を使う必要があるな。それにDPを吸われている時は氷魔法を使えないぞ。」

「自分が戦闘中に、トラップを追加したりモンスターを出したりとかはやりにくいな。」


考え事を挟みながらも落とし穴を3個設置した。どうやら凍ってる床に落とし穴を設置したら、氷は溶けてしまうようだ。

「落とし穴の上を凍らせたら誰も気付けないと思ったが、そう上手くはいかないもんだな。」

俺は当初の予定をやや修正し、地面を所々凍らせ、凍ってる場所と凍ってない場所の境に落とし穴を追加で7個設置し、合計10個の落とし穴を100DPで部屋に造った。

「落とし穴とゴブリンの価値は同じか。」

ちなみに、この落とし穴は縁の色が少し異なるので注意を払っていれば気付けるが、滑っていると気づくことはないだろう。もっとも、深さは2m程なので、余程打ち所が悪くなければ直接殺すことはできないが。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

コア部屋に戻り...


「そういえば落とし穴を設置する時にチラッと見えたが、DPが少し増えてるな。」


ーーーモンスター召喚ーーー

ーーーモンスター強化ーーー

ーーーダンジョン改装ーーー

ーーー マスター強化 ーーー 3900DP


「落とし穴を作る前に使ったのは、通路を掘る1000DPとゴブリン1匹の10DP。そこから2時間程、魔法の検証をしていたから・・・・

計算すると2時間に10DP増えているのか?」


「これはダンジョンの規模が大きくなったら共に増えていくよな。ずっと変わらなかったら少なすぎだぞ...」


未来への少しばかりの不安を感じながらも、今はそのことばかり考えても仕方ないと判断し、男は次なるDPの使い方について考えだした。


「やはりゴブリン1匹じゃあ、殺傷力にかけるしもう少しモンスターを増やしてみるか。」

俺はそう言い、モンスター召喚を始めた。


─ゴブリン─ 10DP


「モンスターの種類を増やすのはどうすればいいんだ? まあ、今はゴブリンだけで満足するか。」

男はそう言い、ゴブリンを9匹召喚した。その時、コアルームに大量に召喚されても困ると思い、2つ目の部屋に召喚されないかと意識を向けながら召喚すると、全員そこに召喚することに成功した。

「いちいち部屋から移動させる手間が省けて楽だな。

生まれてからほとんど頭を動かしっぱなしで疲れたな。少し寝るか。」


ダンジョンマスターとしての能力の確認も粗方終わり、とりあえずの防衛機構もできたことから、男は初めての眠りについた。



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