第二章 マジカルアースの初心者神官

第40話 初心者神官ユウちゃん

 西暦二〇二五年 一二月八日 月曜日


「おばあちゃんおじいちゃんただいまー!」

 わたしは首に巻いたピンクのマフラーをゆらし、真っ白なブレザー制服の灰色のスカートとバタバタさせながら鉱山町駅こうざんちょうえきから走って帰って来た。

「おかえりなさい時子ちゃん、どうしたの走って」

 おばあちゃんが驚く。

「時子、息があがっとるぞ、大丈夫か?」

 おじいちゃんが心配する。

「大丈夫! 今日は早くご飯食べてオンラインゲゲームするの! 川南高校かわみなみこうこうゆうちゃんも来るんだ、クラスメイトなのーー! 友達なのーー!」

 わたしはおばあちゃんとおじいちゃんに嬉しそうに話た。

「じゃあ、しっかりご飯を食べて、お風呂でに入って準備しなきゃね」

 おばあちゃんが美味しそうなマーボードウフを作ってくれていた。

「うん、わたし、カバン置いて、デメちゃんと鯉さんにご飯あげてくるーーーー!」

 わたしは自分の部屋につながる古い木の家の急な階段を駆け上がる。

「ばーさんや、ワシのご飯に麻婆豆腐かけてくれ」

「またですか? おじいさん……」

 またおじいちゃんがご飯の上にオカズのっけてるみたい。

 おじいちゃんは変な食べ方をする。

 わたしもそうしようと思った。


 *


 魔法歴二〇二五年 一二月八日 第一曜日


「えっとねユウちゃん、最初はみんな初心者の職業についてね、えーと、レベル一〇なの」

 わたしは初めての冒険をするユウちゃんに説明をした。

 ユウちゃんはユウコちゃんの事、カラテちゃんが「トキコちゃんもユウコちゃんって呼んだら?」って言ってくれて、わたしは「ユウちゃんって呼びたい」って言ったらユウコちゃんが「それでいいよっ」て言ったのでユウちゃん。

 ずっと名前ちぢめて呼ぶ友達が欲しかった。

(やった!)


 名前 トキコ

 種族 人間族

 職業 精霊召喚師/魔獣使い

 レベル 二六

 ダメージ 〇パーセント

 体力 五〇ポイント

 精神力 二一〇ポイント

 筋力 二〇

 魔力 六七

 速さ 二三

 状態異常 無し

 装備 星の魔女帽子

    甘ロリマント

    甘ロリワンピース

    ラメピンクの胴鎧どうよろい

    桃の木の杖

 従者 ハラヘリキンゾクネズミ シロ

    ハラヘリキンゾクネズミ マロ


「レベル一〇から? そうなの?」

 ユウちゃんの頭にハテナがついてる。

 わたしは一週間かけて、精霊や魔獣のお友達を取り戻し、日曜日の買いのあとユウちゃんをゲームに誘った。

 ハラヘリキンゾクネズミのシロちゃんマロちゃんも

 鉄壁ダンゴムシのオダンゴちゃんも

 鏡アルマジロのよねカガミちゃんも

 ライトラビットのワゴムちゃんも

 ヘビータートルのブンチンちゃんも

 時間トカゲのトケイちゃんもちゃんと仲間にしている。

 もちろん浮き水晶のシラタマちゃんもパラボラフクロウのオサラちゃんもいるよ。

「そうなの、だから速さ補正はほとんどつかないよユウちゃん」

 わたしは偉そうに語る。

「速さ補正?」

 ユウちゃんはますますハテナ?


「おい、そんな説明でわかるかよトキコ」


 名前 タテキシ

 種族 人間族

 職業 重装甲騎士

 レベル 三一

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二九〇ポイント

 精神力 二〇ポイント

 筋力 一〇〇

 魔力 一〇

 速さ 二一

 状態異常 無し

 装備 甲羅割の戦斧

    フランキスカ

    フランキスカ

    鋼の大盾

    鋼の全身鎧

    厨二病マント


 タテキシくんはみんなとミノタウロスゾンビのミノたんを倒してミノタウロスの戦斧を手に入れたけど、アイテムボックスの中に入れたままみたい、やっぱりタテキシくんは盾持ちがいいらしい。

「冒険者は初期レベルが一〇からスタートするって言いたいのよねトキコちゃんは」

「カラテちゃんありがと」

「体力精神力とか筋力魔力とかを振り分けるためにそのくらいからスタートするの、職業も色々選べるし新規さんでも遊びやすいゲームよ」

 カラテちゃんがわかりやすく説明してくれる。


 名前 カラテ

 種族 人間族

 職業 格闘神官/双剣使い

 レベル 二八

 ダメージ 〇パーセント

 体力 一七〇ポイント

 精神力 一一〇ポイント

 筋力 六〇

 魔力 三三

 速さ 三一

 状態異常 無し

 装備 スカートヒーロースーツ

    聖なるハーフローブ    

    白金はっきんのガントレット

    白金はっきんのアーマーブーツ

    炎の小太刀

    炎のショートソード


「それで、初心者職業はスピード補正が緩やかなんだ、最初からフルで補正をかけると補正が効きすぎてゲームバランスがぐずれるらしい、まっ、レベル二〇までだけどな」

 トウケンくんがカラテちゃんの説明に付け足す。


 名前 トウケン

 種族 鬼族

 職業 鬼剣士

 レベル 二八

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二四〇ポイント

 精神力 四〇ポイント

 筋力 八〇

 魔力 二〇

 速さ 三一

 状態異常 無し

 装備 虎柄とらがら陣羽織じんばおり

    黒鉄くろがね胴鎧どうよろい

    鬼族の刀、ぶつ切り丸

    炎の魔剣、レッドマジックフランベルジュ


「トウケンくん解説ありがとう!」

 トウケンくんとカラテちゃんは結局ハラヘリキンゾクネズミのシロちゃんとマロちゃんにロングソードと玉鋼の刀狩りを食べられるルートに入ったみたい。

 カラテちゃんは魔剣を手に入れて喜んだけど、トウケンくんメッチャ怒ってた。


 *


「それで、これからどうするんのトキコちゃん」

 ユウコちゃんは大きな円鏡まるかがみ、記憶の銅鏡どうきょうの前に居た。

 わたしたちは北方にある始まりの木の町、生きた木の神殿、鏡の間にいた。

 生きた木の神殿はその名の通り、生きた木が地面から生えて神殿を作ってるとても暖かくていい匂いのする神殿だ。

 キャラクター生成を終えた別世界人は、アナザリアンの新人冒険者の冒険はここからスタートする。

「えーとねー、あのー、これから……」

 神官さんがどう冒険すればいいのか知らない、て、いうより、わたし、最初はトウケンくんとカラテちゃんに頼り切りだったから何もわからない……。

「わかんねーんだったらシャシャリ出んな!」

(タテキシくんのツッコミに優しさが足りない)

「神官だったらカラテが詳しいだろ?」

(トウケンくん助かる!)

「そうね、まず初心者神官がしなければ行けないのは神殿で契約をして神聖魔法の書をもらうことよ」

(神聖魔法の書?)

 わたしは初めての聞きました。

「あっ、私知ってます、確か神殿にはたくさんの神様がいて、神様と契約する事でいろいろな魔法が使えるんですよね」

(そうなの? ユウちゃん?)

「そうよまず最初はこの神殿で癒しの女神様と契約して回復と浄化を覚えましょう」


 *


「私は祈りを捧げます、癒やしの女神様との契約を望むと、その力をもって世界全てに癒やしを与えると、癒やしの力をお与えください、癒しの女神様、どうかココに契約を……」

 生きた木の神殿、契約の間、そこにある癒しの女神像の前にヒザを付き手のひらを合わせ指を組みユウコちゃんは静かに祈った。

 天から光がさし、ユウちゃんの前に神聖魔法の書が現れる。

 それは緑に金の細工のキレイな本。

 それは神様との契約のあかし。


 *


「良かったねユウちゃん、これで神聖魔法が使えるよ」


 名前 ユウコ

 種族 人間族

 職業 初心者神官

 レベル 一〇

 ダメージ 〇パーセント

 体力 三〇ポイント

 精神力 七〇ポイント

 筋力 一〇

 魔力 二〇

 速さ 一〇

 状態異常 無し

 装備 初心者神官の服

    初心者神官のメイス


「ありがとうございます、カラテさん」

「やったーこれでユウちゃんと冒険できるーー!」

 わたしは緑の初心者神官服を着たユウちゃんに抱きついた。

「ちょっと、トキちゃん、メイスメイス、危ないわ!」

 トキちゃんが打撃武器、初心者神官のメイスを慌てて避けてくれる。

 ユウちゃんもわたしの事をトキちゃんって名前をちぢめて呼んでくれる。

「冒険の仲間が増えたな」

 トウケンくんが笑う。

「もうトキコ、いら無くないですか?」

 タテキシくんがすごくいやらしい顔で笑い、わたしを見下す。

「タテキシくんヒドイ!」

 わたしはショックと絶望でわたしの背丈のより少しある桃の木の杖を落としかける。

「気にしちゃだめよトキコちゃん、タテキシくんはツンデレだから」

 カラテちゃんが桃の木望み杖を支え、わたしに返してくれる。

「誰がツンデレだ! 薪割まきわりみたいに斧で割ってやろうか⁉」

「キャ〜、トウケンこわ~い、助けて〜〜!」

 全然怖そうじゃないカラテちゃんがトウケンくんに抱きつく。

「カラテやめろよ、恥ずかしいだろ!」

 トウケンくん真っ赤だ。

 髪も真っ赤で赤鬼だ。

「もー、恥ずかしがることないのにねトキコちゃん」

 今度はカラテちゃんがわたしとユウちゃんにまとめて抱きつく。

 わたしは嬉しくなってカラテちゃんとユウちゃんを見上げる。

 ユウちゃんはなんかテレてた。

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