第31話 二週目鉄壁ダンゴムシとハラヘリキンゾクネズミのシロとマロ

 魔法歴二〇二五年 一二月四日 第四曜日


 鉄壁ダンゴムシとハラヘリキンゾクネズミ。

 その子達はチクタクタウンの南、ガレキ村にあるガレキマウンテン、そのダンジョンの奥深くに生息している。

 ガレキ村には千年前文明が遺した金属系のゴミの山、ガレキマウンテンがあり、チクタクタウンの時計やこの魔法世界にもある多くの機械製品に材料を提供していた。

 そしてそのガレキマウンテンの西のスキマには大切な物理防御の精霊、オダンゴちゃんとハラヘリキンゾクネズミのシロちゃんとマロちゃんがいるのだ。

(待っててオダンゴちゃん、シロちゃん、マロちゃん!)


 *


「ここか時子?」

 タテキシくんが人が通れるほどのガレキのスキマを覗き込む。


 名前 タテキシ

 種族 人間族

 職業 重装甲騎士

 レベル 二九

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二七〇ポイント

 精神力 二〇ポイント

 筋力 八七

 魔力 一〇

 速さ 十九

 状態異常 無し

 装備 甲羅割の戦斧

    鋼の大盾

    鋼の全身鎧

    厨二病マント


「オダンゴちゃんとシロちゃんとマロちゃんがココにいるの」

 わたしは大切なお友達がココにいるとタテキシくんに伝えた。


 名前 トキコ

 種族 人間族

 職業 精霊召喚師

 レベル 二一

 ダメージ 〇パーセント

 体力 五〇ポイント

 精神力 一六〇ポイント

 筋力 二〇

 魔力 五〇

 速さ 十八

 状態異常 無し

 装備 星の魔女帽子

    甘ロリマント

    甘ロリワンピース

    ラメピンクの胴鎧どうよろい

    桃の木の杖

 

 ガレキのスキマは少し下に傾斜していて深くもぐっている。


 *


「時子、結構深いぞ?」

 タテキシくんがドンドンと下へと下がガレキのスキマに不安な声を上げる。

 ガレキのスキマは部品の青い光がもれて金属の部品にその光がにぶく反射して結構明るい。

「こんなの序の口、ここは結構明るいし、それにこのあと下に落っこちるから!」

 シロちゃんとマロちゃんを捕まえた時点で下のガレキが崩れるはず。

「マジか……」

「刀剣くん言ってた、元々深い渓谷があってガレキで埋まって山が出来たんだって」

 わたしにとっては二回目のガレキマウンテンだ、事前準備バンタンだ!

 わたしはタテキシくんも意外とビビリだなって思った。

「動いてる⁉ シロちゃん! マロちゃん!」

 わたしは金属が積み重なった金属の壁のアイダに動くハラヘリキンゾクネズミのカゲを見つけた。

 わたしはちゅうちょなくガレキの奥に手を突っ込んでシロちゃんを引っ張り出した。

 シロちゃんは体に生えている針金みたいにチクチクする真っ白なネズミだ。

 わたしは前みたいにシロちゃんの手足を人差し指と中指、薬指と小指を使い起用にはさんで握った。

 シロちゃんは身動きが取れない。

 ちっちゃい耳がピクピク動き、長いシッポがクルクルまわってる。

「かわいい!」

「気をつけろよ、今度はオマエの鎧も金属だぞ」

(確かに!)

「あっ、マロちゃん!」

 わたしはシロちゃんを心配して出て来たマロちゃんも捕まえる。

 マロちゃんは体が灰色に顔に麻呂眉まろまゆみたいな白い模様のある。

 わたしは右手と左手にしっかりとシロちゃんとマロちゃんの手足をはさんで確保した。

「マロちゃんもかわいい!」

 友達絶対逃さないマンのトキコは、かわいいシロちゃんとかわいいマロちゃんを絶対逃さないのだ。

「んっ? なんか足元少しづつ沈んでないか時子」

「予定通りです‼」

 わたしもタテキシくんも足元の違和感に気づく。

 わたしはタテキシくんにかわいいシロちゃんとマロちゃんを見せて、ニコっと笑った。

「これ、本当に予定道理でいいんだよなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼」

「大丈夫ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼」

 わたしたちはガレキとともにガレキのダンジョン奥深くに沈みこんでいった。


 *


「おい、トキコ、大丈夫か?」

 ガレキと共にわたしと落っこちた盾騎士くんが声をかける。

「はーい美味しいでチュね~美味しいでチュね~!」

 ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ。

 ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ。

 わたしはガレキのスキマから味しそうな金属をみつくろってシロちゃんとマロちゃんに与えていた。

 わたしはまたガレキの地ベタに寝そべってシロちゃんとマロちゃんを懐かしそうに見つめる。

「シロちゃんは相変わらずボルトがだいちゅきなんでチュね〜、マロちゃんはまた銅線でチュか〜?」

 わたしは食べるのに夢中なシロちゃんとマロちゃんの鼻をまた人差し指でトントンって撫でる。

 わたしは大切なお友達を取り戻したんだ。


 *


「シロちゃん、マロちゃん、また会えて良かった!」

 シロちゃんとマロちゃんはまたわたしを気に入ってくれてマントの内側に潜り込み右肩と左肩の定位置に乗っかった。

 チュー、チュー、チュー。

 チッ、チッ、チッ。

 シロちゃんとマロちゃんが両肩で鳴き、わたしの顔を手でしきりにペチペチする。

(きたなオダンゴちゃん!)

 わたしは後ろを振り返える。

「トキコ、ヤルぞ!」

 そこには懐かしくも中に浮くダンゴムシがその沢山の足をウニウニと動かしていた。

 防御系特化、物理防御の精霊、鉄壁ダンゴムシ、オダンゴちゃんのご登場だ。


 *


 今度のわたしは先制攻撃を許さない。


「光の精霊よ、浮き水晶よ、契約に従い我の元へ来たれ! 我が名はトキコ、そなたはシラタマ!」


 オダンゴちゃんが丸まり、回転しながらすごい勢いでわたしに飛んで来るやさき、すでに呪文の演唱を終え、光の精霊、シラタマちゃんを召喚していた。

「時子! ノックバック! このリベットダンゴムシを弾き返すぞ‼」

 ガンッ‼

 タテキシくんがオダンゴちゃんを鋼の大盾で思いっきり弾き飛ばす。

「シラタマちゃん! レーザー光線‼」

 光の精霊シラタマちゃんが自身が発する光を集約させひとすじの光を放つ。

 光はノックバックで弾かれ、一瞬動きを止めたオダンゴちゃんに当たり、鉄にビョウを打ったようなリベット装甲がビカビカと反応する。

 オダンゴちゃんのリベット装甲はドンドン赤くなってオダンゴちゃんにダメージをあたえる。

「もっかいだーーーーーーーーーーーーーーーーシラタマちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん‼」

 光の精霊シラタマちゃんはわたしの想いにこたえるように、光を強くしてくれた。

 オダンゴちゃんは青い光の粒になり飛散した。

 わたしとタテキシくん連携の勝利である。


 *


 カチャカチャと足音をたてまたオダンゴちゃんがわたしの目の前にまたあらわれる。

 戦うためではない、また友達になってくれる為にだ。

 わたしは契約を交わす。


「物理防御の精霊、鉄壁ダンゴムシ、我と解約せよ、我とともに生きよ、我とともに世界のことわりを護れ、我が名はトキコ、そなたの名はオダンゴ」


 わたしはオダンゴちゃんとまた契約を交わした。

 物理防御の精霊、オダンゴちゃんが仲間になった。

「よくやったぜ時子……」

「うん!」

 チチチ、チーーーー!

 チュチュチュ、チューーーー!

 シロちゃんもマロちゃんも嬉しそう!


 *


「でもこれどうやって帰るんだ時子?」

「前はカラテちゃんのダンジョンエスケープで帰ったから…………あっ」

「崩れたガレキ……のぼるのか……」

「うん……」

 今日の冒険はまだ終わらない。

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