第27話 二週目の迷子のトキコちゃん

 魔法歴二〇二五年 一二月一日 月曜日


「カラテちゃん! トウケンくん! タテキシくん! わたし壁の中だよ‼ 壁の中‼」

 わたしはまっ暗くらな壁の中にいた。

 光の精霊、シラタマちゃんのおかげて自分の事は見える。


 名前 トキコ

 種族 人間族

 職業 精霊召喚師

 レベル 二一

 ダメージ 〇パーセント

 体力 五〇ポイント

 精神力 一六〇ポイント

 筋力 二〇

 魔力 五〇

 速さ 十九

 状態異常 無し

 装備 星の魔女帽子

    甘ロリマント

    甘ロリワンピース

    桃の木の杖


「何やってんだよトキコ‼ なんで壁の向こうにいるんだ⁉」

 ドン‼

 トウケンくんが壁をたたく!

(結構厚い壁のはずなのにスゴイ音)


 名前 トウケン

 種族 鬼族

 職業 鬼剣士

 レベル 二四

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二〇〇ポイント

 精神力 四〇ポイント

 筋力 六〇

 魔力 二〇

 速さ 二七

 状態異常 無し

 装備 虎柄とらがら陣羽織じんばおり

    黒鉄くろがね胴鎧どうよろい

    はがねのロングソード

    玉鋼たまはがねの刀


「トキコちゃんどうして壁の中なんかに居るの⁉」

 カラテちゃんは壁にピタリとくっつくように話してるみたい。


 名前 カラテ

 種族 人間族

 職業 格闘神官

 レベル 二四

 ダメージ 〇パーセント

 体力 一五〇ポイント

 精神力 九〇ポイント

 筋力 五〇

 魔力 三〇

 速さ 二七

 状態異常 無し

 装備 スカートヒーロースーツ

    聖なるハーフローブ

    銀のガントレット

    銀のアーマーブーツ


「わたし目が時計になってるトカゲ追いかけてたら突然壁がスッポ抜けて壁ん中入っちゃった‼」

 わたしは間の抜けた声で話す。


「トキコ、テメーは何の反省もないのか‼」

 タテキシくんがメチャクチャ怒ってる。

 当然だ、タテキシくんはこれが二回目だって知ってる。


 名前 タテキシ

 種族 人間族

 職業 重装甲騎士

 レベル 二九

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二七〇ポイント

 精神力 二〇ポイント

 筋力 八七

 魔力 一〇

 速さ 十九

 状態異常 無し

 装備 バイキングの戦斧

    鉄の円盾まるたて

    鉄の全身鎧


「入る前に捕まえてよーー」

 きっといると、思って探してた、そして飛びついてしまった。


「俺はオマエのベビーシッターじゃねーー‼」

 壁の外でタテキシくんも壁を叩く。


「盾役さんは魔法使いを守るもんだよー!」 

(甘えたいお年頃なの)


「タンクは敵から守るの! 壁抜けするバクおんななんて守りきれるか!」

 ひどいよタテキシくん!


「とりあえずどうするんだこれ?」

 トウケンくんはやる気なし。

「タテキシ君がどうにかするでしょ仲良しさんだし」

 カラテちゃんは少しタテキシくんにヤキモチ。

 二人ともタテキシくんがいると、わたしの事はタテキシくんに任せっきり!

(もっとかまって、心配して!)

 わたしはかまってちゃんを発動。

「どうすんだよトキコよー!」

 タテキシくんは方法を知らない。


「大丈夫、タダのバクだからログアウトすれば直る! データ消えちゃうけどーー!」


「今日はここまでだな」

「トウケン、一応、運営AIエーアイにバク報告しておいて」

「わかったカラテ、それじゃあトキコ、一度戻れるか試してフレンドメールよこせ」 


「わかった、ダメだったらスマホにメールするねーー!」

 わたしはマジックウインドウを開いてログアウトを選択した。


 *


 西暦二〇二五年 一二月一日 月曜日


 トキコ:戻れた。

 トウケン:オレたちもカラテの『ダンジョンエスケープ』の魔法でこのダンジョンぬける。

 カラテ:トキコちゃんまた明日学校で会いましょう。

 トキコ:タテキシくん、明日も迎えに行くからね。

 タテキシ:わざわざ来なくていい!

 トキコ:絶対行くから!

 トウケン:仲良しだなタテキシ(笑)

 カラテ:仲良しねトキコちゃん(怒)


 わたしは相変わらず切り損なうパッツン前髪のオデコで眉毛を垂れさせゲーム内メール、ゲームメールを送った。

 思わず口がほころぶ。

 空手ちゃんのマネして伸ばした髪を三つ編みにして、わたしは胸の前に垂らす。

 古い山間の田舎の家の窓からは冬のんだ空気の中、街灯の小さな明かりが見ていた。

 わたしの高校生活は楽しい。

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