第22話 チクタクダンジョン

 魔法歴二〇二五年 一二月四日 第四曜日


「タテキシくん、ひさしぶりに来たねチクタクダンジョン」


 名前 トキコ

 種族 人間族

 職業 精霊召喚師/魔獣使い

 レベル 二三

 ダメージ 〇パーセント

 体力 五〇ポイント

 精神力 一八〇ポイント

 筋力 二〇

 魔力 五七

 速さ 二〇

 状態異常 無し

 装備 星の魔女帽子

    甘ロリマント

    甘ロリワンピース

    桃の木の杖

 従者 ハラヘリキンゾクネズミ シロ

    ハラヘリキンゾクネズミ マロ


「トキコ、トカゲ見ても追いかけるなよ」


 名前 トウケン

 種族 鬼族

 職業 鬼剣士

 レベル 二六

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二二〇ポイント

 精神力 四〇ポイント

 筋力 六七

 魔力 二〇

 速さ 二十九

 状態異常 無し

 装備 虎柄とらがら陣羽織じんばおり

    黒鉄くろがね胴鎧どうよろい

    鬼族の刀、ぶつ切り丸

    炎の魔剣、レッドマジックフランベルジュ


 トウケンくんが心配してくれる。

「大丈夫! トウケンくん言ってくれてバクなくなったんでしょ?」

「追いかける気満々か? トカゲハンターですか? 安全な公園ででもやってろ」


 名前 タテキシ

 種族 人間族

 職業 重装甲騎士

 レベル 三〇

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二八〇ポイント

 精神力 二〇ポイント

 筋力 九〇

 魔力 一〇

 速さ 二〇

 状態異常 無し

 装備 ドワーフ職人の戦斧

    フランキスカ

    フランキスカ

    鋼の大盾

    鋼の全身鎧

    厨二病マント


「公園トカゲいるのタテキシくん?」

 ワクワク!

「知らねーよ! 自分で確かめろ‼」

 タテキシくんは優しさが分かりづらい。

「やめてよタテキシ君、本当に行きそうだから」

 バンッ!


 名前 カラテ

 種族 人間族

 職業 格闘神官/双剣使い

 レベル 二六

 ダメージ 〇パーセント

 体力 一五〇ポイント

 精神力 一一〇ポイント

 筋力 五七

 魔力 三〇

 速さ 二九

 状態異常 無し

 装備 スカートヒーロースーツ

    聖なるハーフローブ    

    銀のガントレット

    銀のアーマーブーツ

    炎の小太刀

    炎のショートソード


 カラテちゃんがガントレットの手のひらでタテキシくんのカブトをはたく。

「いってーな何しやがる暴力ですか? 法廷に訴えますが!」

(法廷……)

 はたき返さないのが優しい。

 時の迷宮、チクタクダンジョン、几帳面に正確に規則正しくカミソリの刃入らないほどに積み重られた石壁のダンジョンには永遠と火を灯す無限ロウソク規則的に並べられ、その奥には加速の精霊ライトラビット、鈍足の精霊ヘビータートルが二体一対にたいいっついでいるとされていた。

 わたしはこのダンジョンに帰って来たのだ。


 *


「いいかテメーら、加速の精霊ライトラビットと鈍速の精霊ヘビータートルは二匹で現れて最初真っ先にライトラビットがヘビータートルに加速の魔法、アクセラレーションをかけてヘビータートルがコッチに鈍速の魔法、スロースピードをかける、そしてそれが延々と積み重ねられてコッチは積むって感じの戦法をとってくる、だからコッチは奴らが加速しきる前に、コッチが動きを止められる前に物量攻撃でなんとかするしかねー」

 タテキシくんはなんだかイライラしながらそう話した。

 規則正しい通路を歩きながらタテキシくんが詳しくはなしてくれた。

「詳しいなタテキシ」

「まるで見てきたようね」

 カラテちゃんとトウケンくんトカゲがいないか気にしながら歩く。

「……見て来たんだよ! そして体験した、アイツら、コッチが身動き取らなくなるまでアクセルとスローかましてきやがって、それでゆっくりじわじわ攻撃してきやがるんだ!」

 どうやらタテキシくんはウサちゃんとカメちゃんにひどい目に合わされたらしい。

 そしてトカゲさんはどこだろう、お目々が時計のトカゲさん。

 わたしはかわいいトカゲさんを諦めていなかった。

 チチチ。

 チュチュチュ。

「シロちゃん、マロちゃん、お友達ほしい?」

 わたしは肩のハラヘリキンゾクネズミのシロちゃんとマロちゃんに話しかける。

「トカゲの事は忘れろ! 集中力皆無かよ‼」

(集中力、知らない言葉だ……)

 ホントは知ってるけど。

「そうよ今回は戦闘が始まったら一気に叩くしかないんだから」

「タテキシ、ヘビータートルを先に狙うんだよな」

「ああそうだ、ライトラビットは回避能力が高くて、攻撃が運ゲーなんだ、その点ヘビータートルなら甲羅こうらこそか硬いが、確実に攻撃が当たる、鬼野郎おにやろう鬼嫁おによめは炎の魔剣、レッドマジックフランベルジュと炎の小太刀、炎のショートソードでヘビータートルを攻撃、俺はライトライトの引き付け役とトロ子のガードだ、今回は魔剣様が役に立つぜ」

「わかったわタテキシ君、嫁でも彼女でもないけどね」

「そうなのかスマン」

 タテキシくんはカラテちゃんとトウケンくんが付き合ってるって思ってたんだ。

 そして素直にあやまれる。

「わたしはトロ子じゃない!」

(私だって自分の意見はハッキリ言う)

「テメーはトロ子だ」

(ヒドイ!)

「んでそのトロ子、テメーは魔法攻撃だ、気に食わねーが今回のヘビータートルには魔法が特に効きやがる、全力でぶちかまして、できるだけ早く攻撃をまわせ!」

(わたし期待されてる!)

「わたしガンバル‼」

「ああ、頑張れや!」

 タテキシくんがわたしを見て笑う。

(でもトロ子は謝れ!)

「扉が見える、あれかタテキシ?」

「ああ楽しい楽しいゲームの始まりだぜ」

 タテキシくんが長方形の鋼の大盾の裏から投げ斧、フランキスカを取り出して右手に持ち、左手の鋼の大盾を石の扉にピタリとつけた。

 二枚扉の左手側を押し開くみたい。

 わたしは桃の木の杖をギュッと握った。

「まるでRTAアールティーエー、リアル・タイム・アタックね」

「ある意味な、さあ扉を開けるぜ!」

 カラテちゃんとトウケンくんが炎の小太刀、炎のショートソード、炎の魔剣、レッドマジックフランベルジュを抜き、タテキシくんが扉を開けた。


 *


「喰らえ‼」

 最初タテキシくんはライトラビットに投げ斧、フランキスカを投げた。

 フランキスカは回転しながらライトラビットに向かう。

 ライトラビットはそれを当然のように回避する。

 でもコレは予定通り、回避に気を取られたライトラビットは加速の魔法、アクセラレーションを唱える事が出来なかった。

 タテキシくんはそのまま鋼の大盾を前にヘビータートルに走り込み衝突。

 その陰からトウケンくんとカラテちゃんが左右にまわりこみ、炎の魔剣が防御体制を取れていないヘビータートルに命中、炎の追加効果でヘビータートルにダメージを与える。


「光の精霊よ、浮き水晶よ、契約に従い我の元へ来たれ! 我が名はトキコ、そなたはシラタマ!」


 光の精霊、浮き水晶のシラタマちゃんが桃の木の杖のまわりを回りながら現れる。

 シラタマちゃんへのわたしの指示は簡潔。

「シラタマちゃん! カメさんにレーザー光線うちまくって‼」

 シラタマちゃんが光輝きその光を集束しゅうそくして放つ。

「おっとウサギ野郎、トロ子に攻撃はさせんぜ」

 カメさんへの攻撃に集中してるわたしにうさちゃんが迫る。

 ライトラビットとアクセラレーションが間に合わないと判断してまず孤立して弱そうなわたしを狙ったらしい。

 バン‼

 目の前に盾が転がりながら来て、ウサちゃんを弾く!

「させねーよ!」

 タテキシくんが投げた鋼の大盾を拾い上げ、ご自慢のドワーフ職人の戦斧を構えわたしの目の前に立ちふさがる。 見事な盾役、タンクの真髄だった。

「カメさんは?」

 シラタマちゃんが高くてダンジョン広間に浮き上がりヘビータートルの周りをまわりながらレーザー光線を打ち続ける。

 カラテちゃんとトウケンくんはその回転のスキを狙い炎の魔剣攻撃をする。

「炎の魔法石よ輝け、ファイヤーボール!」

「炎魔法石よ敵を包め、ファイヤーウォール!」

 ヘビータートルはすでに瀕死、ライトラビットはアクセラレーションとスロースピードのコンボがハマらず思考がフリーズしている。

「ヘビータートル、やったぞ!」

「コッチは削りきったわ、ライトラビットを!」

 ヘビータートルが光の粒となり飛散する。

「こっからは運ゲーだ! 数うって当てんぞ!」

「トキコ気を抜くな!」

「トキコちゃん、ダンゴムシでガードしてて!」

 わたしはタテキシくんを前衛に出すため自分を護る精霊を召喚する。


「物理防御の精霊よ、契約に従い我の元へ来たれ! 我が名はトキコ、そなたはオダンゴ!」


 物理防御の精霊、オダンゴちゃんがあらわれる。

「オダンゴちゃんわたしを守って!」

 オダンゴちゃんがわたしの前の空中で丸くなり、わたしを護る。

「シラタマちゃんありがとう、帰って!」

 わたしは魔力をオダンゴちゃんに集中するため、シラタマちゃんを帰す。

「さあ行くぞ当たれや戦斧ーーーー‼」

 タテキシくんの鋼の大盾の押し込みとドワーフ職人の戦斧の攻撃。

「鬼族の剣技の速さ舐めんな!」

 トウケンくんの鬼族の刀、ぶつ切り丸と炎の魔剣、レッドマジックフランベルジュの二刀流。

「当たるまで続けるわよ!」

 カラテちゃんの長距離のファイヤーボールとファイヤーウォール、中、近距離の炎の小太刀炎のショートソードの二刀流、超近距離の銀のガントレット攻撃。

 そして時折はさまれるタテキシくんが拾ってわ投げる投げ斧、フランキスカ。

 ライトラビットがどんなに速く逃げても、無限に続くような三人の攻撃に反撃の余地も呪文を唱える余地もなかった。

「トウケン今‼」


鬼居合おにいあい術、カミナリのあゆみ‼」


 トウケンくんが瞬間サヤへとおさめた鬼族の刀、ぶつ切り丸が直線神速の駆け抜け居合い斬りを放ち、ライトラビットを斬り抜いた!

(みんなすごい……)

 ライトラビットが光の粒となって消える……。


 *


 ライトラビットがヘビータートルにお前先に行けよとせかし、ヘビータートルがイヤイヤコッチにやって来る。


「鈍速の精霊、ヘビータートル、我と解約せよ、我とともに生きよ、我とともに世界のことわりを護れ、我が名はトキコ、そなたの名はブンチン」


「加速の精霊、ライトラビット、我と解約せよ、我とともに生きよ、我とともに世界のことわりを護れ、我が名はトキコ、そなたの名はワゴム」


 わたしは二匹にブンチンちゃんとワゴムちゃんと名付けた。

 二匹は少しテレながら光となり帰って精霊世界に帰って行った。

「やったな、トキコ」

「がんばったねトキコちゃん」

 トウケンくんとカラテちゃんがほめてくれた。

「イヤイヤ、頑張ったの俺らだろ?」

(確かに!)

 タテキシくんがカラテちゃんとトウケンくんの後ろから声をかける。

 タテキシくんは正直者です………。

「まあ、新しい精霊でこれから活躍すればいいんじゃねーの?」

 タテキシくんは素直じゃないけど優しい。

 チチチ

 チュチュチュ

 ローブの中に隠れていたハラヘリキンゾクネズミのシロとマロが嬉しそうに……。

「ん? どこ見てるの?」

(アッ!)

「トカゲさん‼」

 後ろを振り返るとあの時計目玉のトカゲさんが壁をはっていた。

「トキコダメだ‼」

「トキコちゃん⁉」

「バカッ! 二人ともどけ‼」

 …………わたしは壁の中に入って行った。

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