第21話 どこ行く?

 西暦二〇二五年 一二月四日 木曜日


 ワールドシミュレーター・マジカルアース

 ニューゲーム

 ロードゲーム


 *


 魔法歴二〇二五年 一二月四日 第四曜日


 鬼族の村、玉鋼神殿、記憶の銅鏡の間。

「どうしたんだろトウケンくん、カラテちゃん知ってる?」

 わたしより先に帰ったはずのトウケンくんがまだログインしていない。

「ううん、トウケンも寄り道せずわたしと同じくすぐ帰ったはずよ」

 カラテちゃんはトウケンくんと家が近く、トウケンくんも早く帰ったと言う。

「めんどくせーな、メールしろよ」

 タテキシくんが話しててもしょうがないからメールしろってカラテちゃんに言った。

「だからログインしていないって言ってるでしょ!」

 ログインしてないとゲーム内のフレンド登録した人にメール出来ない。

「誰がゲームメールしろっつった! トウケンのスマホにだスマホ!」

「あっそっか! ちょっとまってて」

 そう言った瞬間、記憶の銅鏡が光、セーブしたときのように手を鏡にあてたトウケンくんが現れた、トウケンくんがログインしたのだ。

「トウケン遅いじゃない、今スマホにメールするところをだったのよ」

 カラテちゃんがトウケンくんに詰め寄る。

「ごめん、さっき運営AIエーアイからゲームのホーム画面にメール届いてて、確認してたんだ、チクタクダンジョンのバク取りが完了したらしい」

 わたしが壁抜けのバクにハマったダンジョンだった。


 *


「じゃあ、今日はそこに行くのか?」

 他の人のログインのジャマにならないように少し記憶の銅鏡から離れた場所でタテキシくんがトウケンくんに聞いた。

「そうだけど、タテキシはそれでいいか?」

「なんで俺に聞く?」

「トキコのようばかりでタテキシがやりたい事やってないから」

(そうだ、わたしばっかりだ)

「タテキシくん、やりたい事であったら言って、わたしそれでいいよ」

 わたしはタテキシくんにもゲーム楽しんでほしい。

「はぁっ? 俺はテメーでやりたい事はテメーで勝手にする、いちいち気を使うな、めんどくせー」

(そっか一人でなんだ……)

「タテキシくん、わたし一緒に行くよ、魔法でサポートするよ、ジャマしないよ」

 タテキシくんは一人が好きかもしれないけど、わたしはタテキシくんと冒険したと思った。

「……いちいちめんどくせーな、今やりたい事ねーからお前の用が先でいいんだよ」

 タテキシくんの声は少し優しい声だった。

 話すたびに思う、タテキシくんは優しい。

「俺よりレベルななも低いのに偉そうなんだよお前は、精霊とかで底上げしねーとサポート役にもならねーわ」

(でも、言葉がキツイ)

 やっぱり優しくないかも……。


 名前 タテキシ

 種族 人間族

 職業 重装甲騎士

 レベル 三〇

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二八〇ポイント

 精神力 二〇ポイント

 筋力 九〇

 魔力 一〇

 速さ 二〇

 状態異常 無し

 装備 ドワーフ職人の戦斧

    フランキスカ

    フランキスカ

    鋼の大盾

    鋼の全身鎧

    厨二病マント


 名前 トキコ

 種族 人間族

 職業 精霊召喚師/魔獣使い

 レベル 二三

 ダメージ 〇パーセント

 体力 五〇ポイント

 精神力 一八〇ポイント

 筋力 二〇

 魔力 五七

 速さ 二〇

 状態異常 無し

 装備 星の魔女帽子

    甘ロリマント

    甘ロリワンピース

    桃の木の杖

 従者 ハラヘリキンゾクネズミ シロ

    ハラヘリキンゾクネズミ マロ


 確かにレベルがななも違うとすごい差になる、わたしの魔力とタテキシくんの筋力の差が一.五倍くらいある。

 それは魔法と物理の攻撃力が同じくらい違うって事だ……。

 単純計算でわたしがシラタマちゃんのレーザー光線で一〇〇のダメージをあたえた時、タテキシくんは一五〇のダメージをあたえられるって事。

 実際は魔法は遠距離攻撃だからさらに差が出る……。

(あっ、でも速さの数値が追いついてる)

 タテキシくんは重装甲騎士だから。

 速さはレベルに応じて成れる職業によって、プラスマイナスの補正がかかるから追いついたんだ。

 コレならサポートは出来そう。

(タテキシくんのウソつき!)

「確かにトキコのレベル上げは急務だな……」

(弱くてごめんなさい)

「同じ位に始めたのになぜかしら」

(確かに!)

「たぶんコイツ、お前らといる時しかゲームしないんだ」

(みんなは違うの?)

「ああ、なるほどね」

「トキコちゃん、私達一緒じゃない時もゲームするのよ」

(え?)

「そうなの?」

「そうなんだよ、みんな自分をきたえんだよ!」

「知らなかった」

 わたしはゲームしてない時は、

 犬と遊び。

 猫と遊び。

 金魚と遊び。

 マンガ読んで。

 アニメ見て。

 チョビっとだけ勉強してた。

「まあ、チクタクダンジョンってのを攻略したら獣人の国にでも行ってくれ」

「獣人の国?」

「何があるの?」

 タテキシくんの話にトウケンくんとカラテちゃんが興味を示す。

 わたしも興味がある。

「死者のダンジョンにミノタウロスゾンビってやつがいてソイツの戦斧を狙ってるんだ」

「やりたい事あんじゃんタテキシ、いいねミノタウロスゾンビ」

「ゾンビなら私の出番ね、一応神官だし」

 トウケンくんとカラテちゃんが身を乗り出す。

 わたしもそれだ! って思った。

「タテキシくん友達だもね、みんなで助けて合わなきゃ!」

「テメー助けられてばっかだけどな!」

 タテキシくんは嘘つきで意地っ張りで口が悪くて……でも優しい人だ

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