第16話 待ちぼうけとレッドマジックメカアント

 西暦二〇二五年 一二月三日 水曜日


 ワールドシミュレーター・マジカルアース

 ニューゲーム

 ロードゲーム


 *


 魔法歴二〇二五年 一二月三日 第三曜日


「カラテちゃん! トウケンくん!」

 わたしはゴブリンの村の記録神殿、トタン神殿で、セーブ/ロードポイントである人の全身を映す大きな円鏡まるかがみ、記憶の銅鏡どうきょうの前に居た。

 チチチ。

 チュチュチュ。

 ハラヘリキンゾクネズミの全身真っ白のシロと灰に麻呂眉のマロがわたしの肩に乗ってる。

(この子たち、わたしがログアウトしてる時どこにいたんだろ?)


 名前 トキコ

 種族 人間族

 職業 精霊召喚師/魔獣使い

 レベル 二二

 ダメージ 〇パーセント

 体力 五〇ポイント

 精神力 一七〇ポイント

 筋力 二〇

 魔力 五三

 速さ 十九

 状態異常 無し

 装備 星の魔女帽子

    甘ロリマント

    甘ロリワンピース

    桃の木の杖

 従者 ハラヘリキンゾクネズミ シロ

    ハラヘリキンゾクネズミ マロ


 神殿のトタン食べながら待ってたのかな?

「トキコちゃん、やっと来た」

 カラテちゃんがわたしを抱きしめる。


 名前 カラテ

 種族 人間族

 職業 格闘神官

 レベル 二五

 ダメージ 〇パーセント

 体力 百五〇ポイント

 精神力 一〇〇ポイント

 筋力 五〇

 魔力 三三

 速さ 二八

 状態異常 無し

 装備 スカートヒーロースーツ

    聖なるハーフローブ

    銀のガントレット

    銀のアーマーブーツ


「トキコにしては遅かったな」

 トウケンくんが片手を上げるて挨拶する。


 名前 トウケン

 種族 鬼族

 職業 鬼剣士

 レベル 二五

 ダメージ 〇パーセント

 体力 二一〇ポイント

 精神力 四〇ポイント

 筋力 六三

 魔力 二〇

 速さ 二八

 状態異常 無し

 装備 虎柄とらがら陣羽織じんばおり

    黒鉄くろがね胴鎧どうよろい

    刃こぼれしたはがねのロングソード

    刃こぼれした玉鋼たまはがねの刀


「盾騎士くんは?」

 わたしは盾騎士くんを探す。

「盾騎士君は、まだ来てないよ」

「たぶんセーブポイントが離れた場所だったんだ、少し待とう?」

「そっかー」

 わたし少しうなだれる。

「トウケン、もう一度メールしてみて?」

「いいけど前の既読もついてないぞカラテ」

 トウケンくんはわたしが来る前すでに盾騎士のスマートフォンにメールをおくってたみたい。

「盾騎士、オレら三人入ったぞー、トキコもいるから早く来いよ 送信」

 マイクが広ったリアルの刀剣くんの声が聞こえる。

「トキコちゃんもいるからきっと来ると思ったんだけどなー」

 カラテちゃんがわたしがいるからとか、よくわかんない事を言ってる。

 わたしが居るとなんで盾騎士くんが来るんだ?

「やっぱりダメだ、既読もつかない」

 メールダメだったみたい。

「どうする、カラテ?」

「盾騎士君の家って遠いのかしら?」

「知らないけどバス通学だからそこまでじゃないだろ」

「来る時間聞いとけばよかったね」

「イヤ、盾騎士来ないテイで話してたから、言わんだろ、だからリアルのメール繋げたんだし」

「ホントにツンデレって困るわ」

(盾騎士君こないのかな……)

 わたしは盾騎士くんに来てほしかった。


 *


「トキコ、鉄壁ダンゴムシ召喚しろ、使い方なれとけ!」

 わたしたちの目の前にマジックメカアント・レッド、通称レッドアントが三体あらわれていた。

 わたしたちは鬼族の村に向かっていた。

「お友達に使い方とか言わないで」

「じゃなんて言うんだ!」

「お願い? とか?」

「とりあえず仲良くなっとけ!」

「それだ、オダンゴちゃんとなかよしになる!」


「物理防御の精霊よ、契約に従い我の元へ来たれ! 我が名はトキコ、そなたはオダンゴ!」


 物理防御の精霊、オダンゴちゃんがあらわれる。

 オダンゴちゃんは中に浮かび、そのリベットどめの硬い背中をそらせてたくさんの足をパキパキといわせた。

 エフェクトかっこいい! 怪獣映画みたい‼

「オダンゴちゃん、丸まって攻撃、マルマリ回転アタック!」

 オダンゴちゃんが黒いメカアント通常型の色違いモンスター、赤いマジックメカアントに物理攻撃をかける。

 ボフッ‼

 マジックメカアントAにオダンゴちゃんのマルマリ回転アタックが命中する。

 レッドマジックメカアントAがオダンゴちゃんに魔法攻撃をかける。

 マジックメカアントはその色によっていくつかの魔法石魔法を使う、レッドマジックメカアントは胸のコハク色の動力魔法石とは別に頭に赤い炎の魔法石を埋め込んでいて、その魔法石で炎の魔法石魔法を使って来る。

 レッドマジックメカアントの炎の魔法玉攻撃。

 オダンゴちゃんに大ダメージ!

「あーーん! オダンゴちゃーーーーん‼」

「トウケンダメ! 鉄壁ダンゴムシ魔法耐性がなさすぎる‼」

「カラテ、オレたちでやるぞ、物理攻撃で押しまくれ!」

「わかったトウケン!」

 トウケンくんがまだ修理の済んでないロングソードと玉鋼の刀を、カラテちゃんが肩幅ほどに足を開き銀のガントレットをかまえる。

「トウケンくんわたしはー?」

 わたしは自身は物理攻撃苦手でオロオロする。

「浮き水晶のレーザー! オレたちが攻撃するスキを作る感じて‼」

「わかったトウケンくん」


「光の精霊よ、浮き水晶よ、契約に従い我の元へ来たれ! 我が名はトキコ、そなたはシラタマ!」


 わたしはトウケンくんに言われて慌てて光の精霊さん、シラタマちゃんを召喚した。

「シラタマちゃん! 真ん中の子にレーザー光線!」

 光の精霊シラタマちゃんが自身が発する光を集束しゅうそくさせひとすじの光をレッドマジックメカアントBに放つ。

「喰らえ!」

 トウケンくんのロングソード攻撃。

 レッドマジックメカアントBの胴体をななめに斬りつける。

 トウケンくんは刃こぼれしたロングソードでもレッドメカアントを軽々と仕留める。

「チッ、やっぱりなんか引っかかる!」

 トウケンくんが構え直した剣先を見てつぶやく。

 いつもはバターみたいにモンスター斬るとか言ってる。

「シラタマちゃん! 今度は右の子にレーザー光線‼」

 わたしはレッドマジックメカアントCにレーザー攻撃。

「トキコありがと!」

 カラテちゃんがレッドマジックメカアントがレーザー攻撃でひるんだスキにレッドマジックメカアントの側面に回り込み横から足の生えてるアリの胸部側面に一撃。

 カラテちゃんのガントレットの攻撃には魔力がこもっていて、レッドマジックメカアントが一瞬ビクリと硬直してそのまま崩れ落ちる。

「シラタマちゃん! 今度は左の子に……」

「オレの刀を喰らえ! レッドアント‼」

「ジャンプからのーー、カ・ラ・テ、キーーーーク‼」

 レッドマジックメカアントCはわたしがシラタマちゃんで攻撃する前にカラテちゃんとトウケンくんに倒されました。


 *


「おっ、頭の魔法石が無事だ、魔法剣とか作れるかも?」

「それあたしもほしい、トキコちゃんは」

 戦利品は炎の魔法石三つ、体にあったコハクの動力魔法石は砕けちゃったみたい。

「あたし、シラタマちゃんいるから、カラテちゃん使って」

「いいのトキコちゃん?」

「うん、カラテちゃんにもっと強くなってほしい!」

「ありがとうトキコちゃん」

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