21.愛の管理人
これは一体どういう繋がりなんだろう。美知子は考えを巡らせていた。これは今まで自分が知らなかった世界、今まで聞いたこともない言葉が飛び交い、見たことの無い光景が繰り広げられている。
タカシは彼女たちを保護者と言っていたが、確かに全員年上でお姉さんみたいな感じだ。今まで全員で仲良くやって来たと言うのも一目でわかるし、自分が波風立ててしまったことも自覚していて聞かずにはいられない。
「あの…… 今話してるのってウチのことについてなの?
なんかケンカ? してるみたいだけどウチが原因ならごめんなさい。
ウチとしてはタカシと一緒にいられればいいから独り占めとか考えてないよ?
他の人のことはまだ知らないけど美咲ちゃん優しいしね」
「おう、みんな優しいしいいとこばっかだぞ。
リリ子は最初にオレの面倒見てくれて家から出してくれたんだ。
桃花はいっつも服選んでくれる。
美咲ちゃんはどんな時でも相談乗ってくれるし料理上手。
桜子はオレのこと甘やかしすぎないけどアクセはなんでも買ってくれるんだぜ?
爽ちゃんはなんかいい匂いでオレのことも同じので洗ってくれて落ち着く。
みくるはケーキバイキングが好きでよく連れてってくれる。
智ちんは病んでるけどその分オレがちゃんとすることの意味をおしえてくれる。
萌はやたら甘えてくるからお兄ちゃん気分味わえるだろ?
ちよは優しいからオレのこといつも褒めてばかりで自信持たせてくれるんだ。
真帆はちょっと醒めた感じがお姉ちゃんっぽくてかわいい。
麗子はすんごい色々なこと知ってて勉強見てくれるんだよね。
梅子は良く泣いてるんだけどそれがまた妹っぽくてかわいいんだ。
だからさ――」
「だから?」
「みんなが悲しくないようにしてほしい。
ミチも譲れるところは譲ってあげてくれないかな」
「うん、いいよ、だってね、タカシはウチだけのものじゃないんだもん。
もちろんものじゃないってのはもちろん、言葉のあやだからね。
言ってみれば王様みたいな? あ、王子様かなー
うふふ、ウチの暗闇から引き上げてくれた王子様だよ」
「おいおい、王子様ってさぁ、なんか子供っぽ過ぎない?
女子って結構そういうの好きだよね」
「そんなこと言うウチのこと嫌いになっちゃう?」
「んなわけないわ、大好きに決まってるっての。
これからもズッとな」
二人の世界に入りかけている高波と美知子は、この状況下で堂々とキスをした。しかも美咲が現実へ引き戻さなければどこまでイってしまったかわからない勢いだ。
「ちょっと待ちなさい、ここは中華料理屋だってこと忘れてるでしょ!
ほっといたらパンツ脱ぎそうで焦っちゃうわ。
じゃあさ、アタシから提案するわよ?
この子たちの様子を見てるとなんていうか付け入る隙が無いっての?
なんか対抗馬にすら立ててない、同じ土俵に立ってないって感じじゃない?」
「わかる、今もだけどなんか蚊帳の外って感じだもんね。
桜子くらい達観できれば動じなくて済むかもだけど、私だって心中穏やかじゃないわ」
「智代はタカちゃんにどっぷりだもんねぇ。
キャバはどうなの? ちゃんと稼げてる?」
「まあまあかな、貢いでも振り向くわけじゃないから程々にしてるの。
でもこれで完全に目が無くなったって感じでガッカリよ。
これからは弟と妹を愛でる気持ちに切り替えなくちゃだわ」
「そっかぁ、みんなお姉ちゃんみたいなもんなんだね。
ウチ家族いないからなんか嬉しいなー
お姉ちゃんたちなら妹のを貸すのも当たりなのかなって思うよ?」
「ホントこの子ったら危ういわね。
カウンセリング受けた方がいいかもしれないから一回連れていくわよ?
タカちゃん、彼女預けてもらっていいかしら?
それに過度なダイエットしてるわけじゃなくても栄養失調気味だわね。
しばらくは美咲ちゃんが面倒見てあげるんでしょ?」
「うん、それじゃ精神面は桃花さんが担当してくれるってことね。
栄養面は任せておいて、タカシのタンパク質だけってことにはしないから」
「うわぁ、その表現引くわぁ。
美咲さんって結構エログロ的で生々しい表現好むよね」
「そりゃこんなグロいの股間にくっつけて生きてるんだから仕方ないわよ。
一回でいいから鏡に映しながらシてみたらわかるっての。
なんで男はこんなの好きなのかなって思うからさ」
「それを自分でそう言いきるところがヤバイんだってば。
第一みくるのはピンクできれいだもん」
「そうだったかなぁ、別にそんなこと無かった気もするけど?
もう一つはちっちゃくてキュッとしててキレイだったけどね」
「ちょっ! そういうとこー!」
こうして話はまとまったんだかまとまらないんだかわからないままに
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