第2話 『Unknown World』

『Unknown World』。

 数多あるフルダイブ型ゲームの中でもコアなファンが存在する中堅よりのMMORPGだ。拠点となる世界を中心に12に枝別れする世界にて、倒すべき巨悪も無ければ大いなる目的も無い、ただ異世界を楽しむゲームだ。


 そんなどこにでもありそうなこのゲームの何が面白いのか?それはこのゲームが『自由度の高いクソゲー』と呼ばれるからに他ならない。


 『剣も魔法もあるこの世界には夢が無い』と評されるほどにゲームがユーザーにやさしくない。いろいろと問題点はあるが、『ステータスはランダムに決定し、滅多なことでは上昇しない』、『キャラクリエイトが出来ず、ランダムな背格好のまま変更できない』などがあげられる。


「異世界もまた世界、夢の国ではありません。ユーザーの中にも格差が出来るのは当たり前」というのが運営の姿勢だ。


 そんな散々なゲームなのに一定以上のユーザーをとらえて離さないのは何故か。

 決まっている。もうみんな遊戯では心が癒されないのだ。ご都合主義な英雄を操作することに飽いたのだ。等身大の自分の分身、否、自分自身が現世の柵から抜け出た異世界で暮らしたいのだ。


ほら、今日もまた現世に疲れた新しい住民が・・・。

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