大いなる意志のヒの下に
PERNOG
序章
第1話 プレイゲーム
飽きそうなほど長いロードが終わり、やっとゲームが始められると思ったらムービーが始まってしまった。
スポットライトに照らされた舞台には、顔を包帯で覆い隠した道化が一人佇んでいる。
―『思考の限界こそ世界の限界だ』誰が言った言葉でしょうか―
道化は謡うように語りだした。
―世界は隅々にまで探索し尽され、未知であったものは既知となり、ボタン一つでどんな情報も簡単に手に入るようになった。技術の躍進はおそろしく早く、しばし人の手に余るものもありますが、非常に便利な世になったものです―
道化は大げさなほど身振り手振りをしながら、ひょうひょうと謡う。
―しかし『未知』はどこまでも付きまとう。知れば知るほど『未知』は鎌首をもたげる様にその力を増し、己の無知を突き付けるでしょう―
―『この世の事象はすべて説明がつくものである』と考えるが故に、わからないはおそろしい。だからこそ、わからないはおもしろい。人は未知を求める。怖いもの見たさか探求心かわからないが求道者のように貪欲さをみせる―
舞台の上をくるくる回っていた道化は空を搔き抱く様に両手を広げる。
―そんな未知に満ち満ちた箱庭を観に逝きましょう。希望と若さを燃料に後悔と挫折を手に入れよう。大仰な軌跡などなく、唐突にあなたの居場所は無くなるのだから―
道化が恭しくお辞儀をするとライトが消え暗闇に声だけが響く。
―ようこそ!『Unknown World』へ!望まれないあなたは今、産声を上げるのです!-
『Welcome to Unknown World!!!』
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