6話 優しい魔族

 そんなことがあってギルド会議がある場所に馬車で向かっていて会議室の中なわけだが、やっぱり僕は会議には出たくわけでして、抜け出そうとしても他のメンバーが常時ピッタリと僕の近くにいるわけで………しかも他のメンバーからご褒美券を使われては拒否できないわけで………


 そういうことで拗ねているのだ。拗すぎてスネちゃまになっている。



 最初は心やさしいアリエルが気を使って色々と話しかけてくれるのだが生憎今の僕はスネちゃまなので全く聞く耳を持たない。しまいには、ネガティブなアリエルは泣き出してしまったのだ。


「うぅ〜マスターごめんね、少し頑張ればいいだけだからいてほしいな」


――うん、やっぱりアリエルは今日もいい子だな


 アリエルは魔族。青白い肌で赤い目、髪の毛も灰色で普段から地雷系ゴスロリファッションみたいな服装をしている。


 この世界は大昔に魔族と人類との対戦があったようで魔族のイメージが今でも悪い。アリエルは孤児で魔族だったゆえに差別を受け、酷い環境で暮らしていた。


 しかし、それも暫くは続かず、奴隷にされ、酷い目にあっていたのを僕の知り合いが見かねて連れて来た元奴隷だった。



 魔族ではあるけれど、別にそれが問題あるとは思えない。だって、彼女はとても優秀で素晴らしい人材だったから。ここに来た時点でスキルを開花させ成長して今じゃギルドの中堅的な立ち位置だ。でも、世間はそれを魔族って理由だけで認めてくれなかったらしい。しかも、アリエルの赤い目は魔族の中でも珍しいらしくより一層そういった差別に拍車がかかった。



 ギルドに来て暫くは、みんなと同じご飯や寝床を与えると『ここここここここわい……! ワタシ、何されるのぉおおお!? 邪神の生贄ぇええ!?』と震えていた頃が懐かしい。



 毎日毎日褒め倒して自己肯定感を上げ続ける日々。



 そして、トラウマを乗り越え彼女は今となっては、自信にあふれている。


 ――泣き虫なのは変わらないが……

 

 そういった経緯がありアリエルはとても優しい女性で人を見た目では判断せずに誰彼かまわず困っている人がいたら助けに行く心やさしい女性になった。


 ――まぁ人助けをして定例のギルドの会議に遅れてくるのはちょっとどうかな〜とは思うが。



 他のリミと天鼓テンコは一応口ではそういうが外の景色をみたり髪の毛をいじったりと各々の好きなことをしていてあんまり気にしてないみたいだ。



「まあまあギルマス〜。もうついちゃうから〜文句はなしだよ〜」




「むー、こんなの拗ねるに決まって——ん?」




「相変わらず見せつけくれるなー、おい」




 僕たちのところにニヤニヤとした笑みを浮かべた人がやってきた。




「よぉ、久々だな!」



 なんか変なのに絡まれた

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