5話 会議は苦手…

 「むー」



 だだ今僕は激おこプンプン丸である。もうプンップンである。



 ――一方その横では



「ふ、ふえ〜ん、マスターに何も出来ない私ゴミムシ……」



「ギルマス〜もうそんな怒らないでよ〜、言わなかった私達も悪かったからね。ねね、コンちゃんもなんか言ってあげてよ〜」



 「もう、うちはコンちゃんやあらへんよ、そんな名前で呼びはったらあかんやん………マスターももうちょいで目的地に着きはるから機嫌直しはってや〜」



 申し訳ないという意思は伝えてくれてるのは分かるんだが、ふざけてない? って聞いてみたくなる感じだった。



 そもそも僕が怒っている原因を作った今朝の出来事を思い出す


◇◇◇


「え! 今回のギルド会議僕が出るの! 約束したよね? ヴィーナが代わりにギルド会議に出るって」


「あら?そうなこといいましたか?」



 金髪美少女…ヴィーナは涼しい顔をして言う。

 ヴィーナは僕が家を追放されギルドを立ち上げて苦労している時に出会った。とても優秀でこのギルドをの副ギルドマスターもやっている、正直彼女がいてくれるお陰でここまでギルドが大きくなったと言える。しかも僕は表に出ることがあまりなく代わりにヴィーナに出てもらうことが多々ある。そのせいで彼女がギルドマスターと勘違いする人が意外と多い。



 ――クソ〜、なんで今日は代わってくれないんだよ



 今日は月に一度の各ギルドの代表が集まるギルド会議の日。僕は転生前ははブラック会社のサラリーマン、転生後は貴族だが家からほぼ出ていなかったそんな状態だからこそ人に会いたくない。



「言った、絶対絶対〜言ったよ」



 言ったもん。ちゃんと聞いたもん。


 

「今回は未踏破のダンジョンクリアということで私ではなくギルドマスター本人が来て欲しいという本部からの要請があってですね、なので……諦めてください」



「い、い、い」



「マスター?」



「い、いやだ〜!!! 嫌だ〜い゙ぎだぐな゙い〜」



 僕みたいなコミュ障があんな各ギルドの代表達の前で喋られないよ。むしろなにそれ公開処刑なの?

 僕は3歳児のように駄々をこねる。



「もう、こうなった貴方は梃子てこでも動かないですよねふぅ、なら仕方ないですね」



「いやだぁぁ!い………え、やっぱり行かなくていいの?」



 お? これは行かなくてもワンチャン良くなったか? やっぱり駄々をこねてみるものだな…

 

 ブラック会社で養われた(?)プライドの無さが功を奏したか?

 僕の期待とは裏腹にヴィーナは薄っすら微笑んでした。――あ、これはなにかを企んでる時の顔だ。この顔をした時のヴィーナは大概僕にとって大変面倒なことを言ってくる。


 「リミ、天鼓テンコ、アリエルの3名が前回のダンジョン踏破で獲得したご褒美券を使用したいとのことです。ご褒美内容はギルドマスターと一緒に丸一日王都を回りたいとのことです。たしか、3名はまず最初にギルド会議に出てみたいと言ってましたよ?」


 ――クソッ、ご褒美券か……まずいそれを出されてしまっては聞くしかないじゃないか!



 ご褒美券とはギルド創設して少したった後に出来たものでギルドにあまり資金がなかった時に賃金がだせ無い代わりにメンバーにギルドマスターである僕がワガママを聞くというものだった。

 この入手方法はいくつかあり一定期間日々ギルドの運営に関わり維持をしたら渡したり、ギルドにとって大きな成果になるもの…ヴィーナが言っていた今回であれば未知のダンジョンの踏破がそれにあたる。成果1つにつき1枚ご褒美券が与えられて1枚消費することで僕がワガママを聞くという感じだ。


 ――そういえば、この制度を導入したタイミングとギルドの業績が鰻登りに上がっていたのが同じなのは気の所為かな?



「そういうわけでマスター行ってくださいね」


 そう言ってヴィーナはニコッと僕に微笑んだ。

 

 ヴィーナはとても美人なので前世が非モテ彼女なしサラリーマンだったのでその時の僕だったら飛び上がるほど嬉しがっていたのだろう。

 

 ――ただそれほどまでに行きたくないんです


 しかしご褒美券まで使われてはこちらも従わざるおえないなんたってこれは僕自身が決めたルールであるしみんなもそれだけ日々頑張ってくれているからね。 


 「うぅ…分かりました、行きます………」


 

 「ふふっ。今回は私の方が正しいようですね」



 僕の反応を面白がるように口に手を当てヴィーナは小さく笑う。



「う、今回だけだからね!」



 こうして僕は渋々ギルド会議に参加する羽目になった

 

 


 

 

 


 



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