第45話
先に進み44階に辿り着く。この階も今までと同じように影のモンスターしか出ず、廣谷は精神を攻撃されないようにヘッドフォンを外さず倒していく。
時々モンスターと目があいそうになるが、その度に視線を逸らしたり、目を閉じたりして目を合わせないようにした。
先に進めば進む程モンスターの数は増えて来て廣谷とシロの体力は削られていく。時折体回復の湖で取ってきた水を飲んだりして二人は体力を回復する。
廣谷はこれだけの為に水を消費するの勿体ないな。と感じつつ、水を補充しにいかないと。と思いながら先を進んだ。
「せめてエレベーターは動かしたい……」
45階にあるエレベーターを考えながら廣谷は先に進む。部屋に戻りたいが、その前にエレベーターを動かしたかった。だが同時に、あまり使わないのにエレベーターを動かす必要はあるのか? と思ったが、区切りのいい所ではある為まぁいいか。となった。
「湖にすぐいける道でも作ろうかな。そうすればいつでも水を取りに行ける」
うーんうーんと呟きながらモンスターの倒し廣谷は歩く。先に進み45階の階段を見つけ躊躇なく降りる。
「まだボス部屋が出てきてない。いつ出るんだ。早く出てくるとありがたいのに」
「わんっ」
『出ないって思わないんだね』
「今までの傾向上一回は出る。出なかったら不安になる。何かあるんじゃないかって」
「わふぅ」
『なるほどー』
シロと話しながら廣谷は進みモンスターを倒す。何度も倒してくると安全に倒せるようになってきて、廣谷は最初の苦戦とは違って楽に倒せるようになってきていた。モンスターの数は進めば進むほど増えていくが、それでも安定して倒せた。
廣谷が激しく動けば動くほど腰につけたランタンはかしゃんかしゃんと揺れる。揺れと重さで留め具から外れるんじゃ? と廣谷は思ったが、現状外れる様子も割れる様子もないため廣谷は壊れるか壊れないかの妙なドキドキ感を味わっていた。
「自分達の音しかないって、不気味だな」
立ち止まって呟く。立ち止まると周囲の音が完全になくなり、静寂だけが残った。だが歩くとスライムの音や靴、ランタンの音などが鳴り、音が戻ってくる。
今までのエリアは何かしら音があった。最初のエリアはモンスターや歩く音、緑のエリアは羽音や草を踏みしめる音、水のエリアは水が流れる音、きのこエリアはいつもと違ったモンスターの音。
暗闇エリアはモンスターが影だからか音がなかった。モンスターの居場所を確認するのは目視することのみ。
今までより警戒をしてしまうのは音がないせいだった。
「エレベーターはどこだ? 早く見つけて帰りたい」
水の残りを見てから言う。
そろそろ水の残りが少なく、廣谷は帰還したかった。早く帰還したい気持ちで進むと、分かれ道を見つける。そこには見慣れた看板。エレベーターのマークと大きい四角の中に黒い丸が描いてあるマークだった。
見たことがないマークに廣谷は首を傾げたが、エレベーターのマークがあったため一先ずエレベーター方向の道に進んでいった。
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