第35話
「爆弾持ち多くないか……! これじゃ、きのこエリアじゃなくて、爆弾エリアだぞ……!」
廣谷は先に進みながら愚痴をこぼす。先程か出てくるモンスター全てが爆弾を持っていて、廣谷はその事に愚痴を吐いた。
難易度が上がっているからか、倒した後に貰える小銭は多くなっていたが、それ以上にモンスターの動きに苦労していた。
今までは攻撃を避ける暇もなく倒せるモンスターが多かったのに対して、この階層からは攻撃を避けるモンスターが多くなっていた。
その為、廣谷は苦戦を強いられていた。
「今何回能力使った……? くそ、また喉が痛くなる」
舌打ちをしながら廣谷は先に進む。現在35階にいる廣谷は、これまでに何度か能力を使っていた。
胞子で見にくい視界を改善したり、胞子を吸わないようにしたり、モンスターへの即死攻撃など。
その為、いつ反動が来るか不安になっていた。
念の為に回復の湖で手に入れた水は持ってきていが、廣谷は積極的にそれを使う気になれなかった。
それを頼りで探索を進めるのは少し嫌だったから、だった。
そうして先に進み、明らかにボス部屋である空間に辿り着く。
「いつもの。何か変化が起きればいいんだけどな」
そう呟いて廣谷は中に入る。
少し先に進んで後ろを見る。柵は降りていなかった。
いつもなら閉まるはずなのに。廣谷は首を傾げる。
そして先に進むと地面が揺れ始める。その揺れに廣谷は立っていられなくなり、その場に倒れ込む。
それと同時に地面からぴょこんときのこのかさらしき部分が現れた。
それを見た廣谷はは? と頭に疑問符が沢山流れ始めた。
そして、かさの部分から声が聞こえた。
「ふっうぅ。誰じゃあ。誰じゃあ」
「は、え」
「なんじゃあお前。見た事ない姿してるなあ」
かさの部分に目と口が現れた。
廣谷はそれを見てツッコみたくなった。なんで、そこに顔が生えるんだ!!!!! その下はなんなんだ! と。
「喋れんのかあ? お前さんには口ついとるやろうがあ」
「あ、ごめんなさい……?」
「喋れるじゃないかあ。ならさっさと話さんかぁい」
ゆったりとした口調できのこは話す。それを聞きながら廣谷は思考を安定させようとする。
「お前さん、ここがどこだと思ってきとるんじゃあ? ここは〜〜〜……」
「……ダンジョンじゃないのか?」
「ここは〜〜〜〜〜〜〜〜なんじゃったかな」
「――は?」
きのこが溜に溜て吐き出した言葉に廣谷はイラっとした。
「物忘れが激しくてなあ。まあいいわい。お前さんもういけ。お前さんに興味はない! わしゃあもう寝る!!」
そう言ってきのこは地面に潜っていった。そのばには穴だけ。廣谷は立ち上がりきのこが沈んでった下を見る。
「は?」
訳がわからず、そう呟くしかなかった。
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