第36話

「なんだったんだ……」


 廣谷は先程の喋るきのこの事を思い出し、ちらりと来た道を振り返ってから呟いた。

 友好的には見えなかったな……? というかボケた爺さん? 廣谷はそう考えながら、きのこの勢いに少し疲れていた。

 そうして36階まで辿り着き、廣谷は伸びをする。


「あと4階降りれば40階。長いな……」


 ぽつりと呟き、先に進む。

 歩きながら先程の喋るきのこの言葉を思い返す。


――お前さん、ここがどこだと思ってきとるんじゃあ?


「あの言葉、やっぱり気になるな……」


 ダンジョンがここに現れ事と何か繋がっているのか? と廣谷は思考する。


「このダンジョンは元々は別の世界にあったけど、なにかしらのことが起きてこの世界にダンジョンが出現……が可能性としては高い、か?」


 それだったら、なにかしらの原因が気になる所だが……と廣谷は立ち止まって顎に手を当てる。

 このダンジョンに何かがある? だからこの世界に転移した? それとも、最初からダンジョンはこの世界にあって、何かの拍子で姿を現した?

 廣谷はうーんうーんと考え込む。


「まぁ、今考えなくてもいいか? 考えるのは後でもできるし、今は何かが起きてる訳でもないしな」


 うんうんと考えることをやめて、廣谷は先に進む。

 道中35階のエレベーターを起動して1階に戻って、タイツクで解放した事を投稿した。

 そして35階に戻り、出てくる爆弾持ちモンスターを撃ったり、能力を使って倒したりをして先に進む。


「げほっ」


 38階まで来て能力を使った時、廣谷は咳をした。ここで能力の反動がきたか。と廣谷はペットボトルを取り出し中の水を飲む。

 すると喉の痛みはなくなり廣谷はふぅとため息を吐いた。


「これぐらいならうまく扱える」

 

 能力が強い割に、長く使用できるのはありがたい。と廣谷は喜んだ。

 そうして39階に降りて先に進むと、40階の階段を見つける。

 階段を降りると真っ暗な道が続いていた。


「灯りなしか。ならこのエリアは暗闇エリアか。その前に……」


 廣谷は壁に向かって部屋までの道を作る。作ったのを確認してから廣谷はタイツクに暗闇エリアを書き込んだ。


「能力解除したらどっと疲れがくるんだろうな。まぁ、仕方ない」


 廣谷は部屋に戻る。シロの出迎えがない事に廣谷は、寝てるのか? と思う。

 そして予想通り、シロはベッドで眠っていた。


「シロ、ただいま」


 廣谷はシロを撫でて言った後、寝る支度をする。


「『宣言。僕に付与されてる効果の解除』」


 そう言うと、どっと疲れが廣谷に襲いかかる。

 

「明日、筋肉痛になってるかもな……」


 そう呟き、眠りについた。

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