第34話

 スライムを連れて廣谷は先に進む。モンスタースライムの攻撃は自爆するもので、廣谷はモンスターを寄せ付けないように銃で対処する。

 シロと行っていた時に分かったことだが、この階層は火の銃が有効だという事が分かった。火の弾がスライムに当たるとその場で爆発する為、廣谷は楽々先に進めた。

 マスクは念入りに着け、胞子を吸わないようにする。

 廣谷はスライムが胞子を吸わないのかちらりと様子を見るが、色が濁っている様子はなく、ぴょんぴょん飛び跳ねてついてきていた。


「31階到着と……。さて、ここからどんなモンスターが出るのか……」


 念の為刀を鞘から出して、警戒しながら廣谷は先に進む。

 先に進んでいると何かの姿が見え、廣谷は警戒をしてその場に立ち止まる。

 てててて。と音が複数聞こえ、出てきたのは爆弾を持った膝までの大きさのきのこだった。


「爆弾!? このエリアは爆破関係か!!」


 廣谷はすぐさま引き金を引いて爆弾を撃つ。するとスッときのこが弾丸からずれ、廣谷に向かってくる。

 その様子を見て焦り、もう一度引き金を引く。がまた避けられる。


「くそっ……! 『宣言! 爆弾が爆破する!』」


 その言葉と共に爆弾は爆発し、爆風がダンジョン内に蔓延する。


「げほっ……げほっ……」


 煙が当たり廣谷は思わず目を瞑って咳き込む。煙は辺りに充満し、そして壁の隙間に入り込んでゆっくりと消えていく。

 煙が晴れた頃に廣谷は目を開けると、そこには小銭が何か所かにまとまっていた。


「能力で探索しろって事か? はぁ、上手く調整しないと」


 ため息を吐き、小銭をカードにしてから先に進む。

 先に進み次に現れたのは飛行型のモンスター。緑のエリアと同種なんだろうな。と廣谷は思うが、それ以上にそのモンスターが持っている爆弾に冷や汗をかいた。


「くそ……、面倒なエリアだな!」


 やけくそ気味に廣谷はモンスターを撃ち落とす。爆弾が手元から落ち、地面で爆発する。煙が辺りに充満し、廣谷はせき込む。


「あーーーー面倒、本当に面倒」


 廣谷は探索の面倒さに愚痴を溢しながら廣谷は先に進む。

 煙に胞子。視界の悪さと呼吸のしずらさに廣谷は速く40階まで行こう。と意気込んだ。だが、シロが居ない為、体力配分やらで中々先に進めずにいた。

 廣谷はため息を吐き、決意する。


「『宣言。僕は疲れない、素早さが上がる』さっさと行こう」


 廣谷は自分に能力をかけ、早くなった足でダンジョン内を進んだ。

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