第26話
スマホで他の探索者がどこまで行けているのか廣谷は確認する。一緒に探索行けるか? ではなく、まだここまで降りてくるな。の思考でスマホでダンジョンのタグで検索する。
目についたのは16階に到着したという話。そして謎のアプリから武器がもらえた! と喜ぶ投稿。拡散されまくっているその投稿を見て、廣谷は17階と検索を入れてみる。だが17階に行ったという投稿はどこにもなく、16階か……と安堵のため息を吐いた。
廣谷は自分のペースを乱される事を嫌った。元々一人で何かをするのが好きだった為、ダンジョン探索と一人での配信が相性がよかった。
能力が発現しないと馬鹿にされていじめられていた事もあったが、廣谷は宣言の能力の使い方を大体は分かっていた為、いじめは無視して生活した。
だがある日、階段から突き落とされた時、廣谷はぶち切れた。能力で傷を癒した後、能力で力を上げた後、主犯もろとも気絶するまで殴りに殴った。
その後止めに来た教員に廣谷は一言だけ言った。
「次同じ事やったら殺すと伝えて」
その日から廣谷は誰にも近づかれないようになった。廣谷はそれに満足した気分になり、一人の時間を楽しむようになった。ペースを乱されない、必要最低限の会話だけで済む。廣谷のストレスは日に日に抜けていった。
その後廣谷にいじめをした主犯やそれに携わった生徒は皆廣谷に怯えて過ごす事になった。
面倒な探索者に絡まらなければいいな。と思いつつ廣谷は投稿を見て呟く。
「15階に気軽にいけなさそうだな……」
シロの親の事を思い出し廣谷は呟く。そして次に早く30階までは到達するか……。と思った。
「シロ、行くか」
「わん!」
『うん! 行く!』
シロにそう伝えてから廣谷は20階の道に進んだ。
道中はモンスターを倒していた為楽に進めた。そうして22階まで降りて、またモンスターを倒しながら進む。
青っぽいモンスターを倒しながら落ちた小銭をカードにしてを繰り返し先に進む。
分かれ道を進んで色々行ったりと廣谷はダンジョン内を探索する。
「配信いつするか……」
ポツリと最近してない配信の事を思い出す。だがすぐに後で考えればいいか、時間はたっぷりあるし……。と思考を切り替えた。
そうして先に進むとボス部屋に到着する。辺りにはスライムの群れ。中に入るとスライム達が一点に群がる。
ぽにょん、ぽにょん。と音を鳴りながらスライムはくっつき、その姿は次第に大きくなっていった。そして現れたのは巨大なスライム。
「これでボス? 何かやってくるのか?」
銃で試し打ちをしてみる。だがスライムの体力が減っている様子はない。そしてスライムは攻撃された事で飛んで廣谷に向かってくる。
それを躱し廣谷は一度刀で斬りつける。攻撃が通った感覚はなくぽにょん。と音を立てて刀を弾いた。
「無効化? 参ったな、これじゃ先に進めない」
うーんと悩みながら跳ねるスライムから攻撃を躱す。遠くから攻撃しているシロが『柔らかすぎて噛めないよー!』と鳴いていた。
「物理無効の敵って、たいてい魔法が弱点とかあるよな」
躱しながらそう思いつき、廣谷は宣言する。
「『宣言。君の体は炎に包まれる』魔法判定だといいが」
その言葉の直後、スライムの体は燃え上がる。
そして段々とスライムの体が溶けていくのを廣谷は確認する。よかった。効いた。廣谷は安心するが警戒は解かず、スライムが最後にどう攻撃してくるのかじっと見た。
だがスライムは何の抵抗もなく溶けて消え、その場には大量の小銭と何かが落ちていた。
「なんだこれ」
落ちているのは一個のボール。それを拾うと頭の中に説明が流れた。
『スライム召喚ボール。一度使うと永久的にスライムを使役できる。マスコットアイテム』
「マスコットアイテム」
最後の言葉に本当になんだこれ。と廣谷は思った。
そしてじっとボールを見ているとカッとボールが光った。
「うわっ…………は?」
思わず目を閉じ次に目を開けると、そこには王冠をつけた小さなスライムがいた
スライムはぴょんぴょんと跳ね、廣谷の周りを飛び跳ねる。
「なんだこれ……」
スライムに可愛さと困惑になりながら廣谷はスライムをつつく。むにゅんと指が沈み、もちもちとしていた。
動くスクイーズだこれ。廣谷はそう確信し、少しの間スライムの体をもちもちした。
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