第25話

「楽しい……」


 モンスターを倒しながら二人は進む。廣谷は数日振りの探索に胸が躍り、うきうきとした気分で先に進んだ。

 その様子を見てシロは、ご機嫌? と首を傾げた。


「わんっ」

『廣谷、乗らないの?』

「今日は歩きたい気分なんだ」

「わふ……」

『そっかあ。分かった』


 廣谷は、そろそろ配信をしないとまた何か騒がれそうだな。と考えつつ、とりあえず探索に集中した。

 刀を振り、モンスターを倒しながら22階の階段まで行く。

 そこで一度休憩として水分補給や、手軽に食べれるご飯を二人で食べる。

 食べ終わった二人はすぐに22階に降りる。

 未だ変わらない水のエリア。廣谷は10階ごとにエリアが変わるタイプか? なら飽きずに探索できそうだ。と考えた。

 水のエリアは変わらず静かな印象を二人に与えた。そして時々カチリとボタンの音がすることに廣谷は、このエリアは罠だらけだな……。そして、これだけ罠があるんだから反動来ても仕方ない。とうんうんと頷いた。

 

「あ、そうだ」


 そこで廣谷は先程の湖の事を思い返す。水を飲んだだけで喉の痛みが治るなら、ペットボトルとかに水を入れておいて使うのはありかもしれない。と。


「シロ、回復の湖まで戻りたいんだがいいか?」

「わん?」

『いいよ? 何するの?』

「水を入れて、いつでも持ち歩く事が出るようにする」


 そう言って廣谷はシロの上に乗る。乗ったのを確認したシロは20階まで走って戻った。そして10階の道に進み、ゴーレムに部屋まで向かう。

 ゴーレムの部屋に向かっていると、声が聞こえた。騒がしい声。配信者か? と廣谷は思った。

 

「『宣言。僕達の姿は見えなくなる』」


 面倒事を避けるため、能力を使う。そしてゴーレムの部屋に入ると、数人の探索者が先に進む姿が見えた。ちらりと見た程度では、カメラは見つからず、ただの探索者だと廣谷は思った。

 そのまま回復の湖まで向かい、廣谷はペットボトルを6本能力で作る。


「いつ見ても綺麗だな……」


 そう呟き一つ一つペットボトルの中に水を入れる。

 水を入れた後、持っていた鞄にペットボトルを入れる。


「おっっも……流石に6本は馬鹿だったか」


 この重さで探索に行くか、一度部屋に戻るか……と廣谷は考えながら時間を確認する。まだ一日リセットにはまだ時間があり、廣谷はとりあえず一回部屋に4本置いていこうと思った。

 シロにそう伝え、シロは部屋まで走って戻った。

 その間、能力で先程かけた透明化を解除した。

 

「騒がしいのは嫌いだ……自分のペースを乱されるのも嫌いだ……」


 先程の騒がしかった探索者と以前助けた探索者を思い返しながら、廣谷はポツリと呟いた。


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