第24話

「げほっげほごほっ……」

「わふ……」

『廣谷、大丈夫……?』


 激しく咳き込む廣谷に、シロは心配の声をかける。

 喉の痛みが治まらない。と廣谷は数日たってもまだ喉の痛みに参っていた。喉の痛みは最初と比べるとマシにはなっていたが、まだ治る様子はなかった。


「だ、い、じょ、う、ぶ」


 ゆっくりと声を出し、シロに無事な事を伝える。風邪を引いてる様子はなく、ただ喉が痛いだけ。と廣谷は体温計で平熱だったのを思い出す。

 ご飯を食べる時も喉が痛む為、廣谷のストレスは溜まりに溜まっていた。

 探索に行こうにも能力を使う可能性を考えると中々探索に行けなかった。廣谷はどうしようかと思い天井を見上げる。


「わんっ」

『廣谷、回復の湖に行ってみない? 痛いの治るかも!』

「げほっ……そ、うだ、な」


 シロの言葉に廣谷は確かに。と思いベッドから起き上がる。簡易的な探索準備をしてから、シロを連れて10階の扉を開けてシロの上に乗る。

 乗ったのを確認したシロは落とさないスピードで回復の湖がある13階まで走る。そしてゴーレムの部屋に到着し、そのまま湖がある道まで進んだ。

 

「わん!」

『着いたよ!』

「あり、がと、う」


 シロから降り、廣谷は水を飲む。その途端、喉の痛みがなくなり廣谷はえっ。と声を出した。


「なおっ……た? ……声が出る」


 喉を抑え喋る。声が出る事に廣谷は驚く。


「……今後はここを使う事になりそうだな」

「わんっ!」

『廣谷、治ってよかった!』


 シロが嬉しそうに鳴く。廣谷はシロに感謝を伝えてから部屋に戻るように言った。

 そうして部屋に戻って廣谷は探索の準備を始める。


「ストレス溜まってるから発散しに行こう」


 20階の扉を開けシロの上に乗り先に進む。出てきたモンスターを撃っていく楽しさに廣谷のストレスは解消していく。

 

「ははっ、楽しい……!」


 時にはシロから降り刀で斬りに行ったりと銃と刀を使い分けた。道中カチリと罠の音が鳴ったりしたが、先に能力で無効化していたので罠が作動しなかった。

 そうして22階に到着する。廣谷は伸びをしてシロにゆっくり行こうと指示する。出てくるモンスターを撃ち、盾で塞ぎながら先へと進んでいく。


「モンスターだけに集中すればいいから、安心ではあるな」


 そうポツリと呟き刀でモンスターを倒していく。シロも噛みついたりと攻撃をしてモンスターを倒していき、まる猫からはシロの嬉しい声が流れてくる。


「わふー!」

『楽しいー!』

「よかった。今日は行ける所まで行くか」

「わん!」

『やったー! 行く!』


 そう話しながら二人で先に進んだ。

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る