第27話

 スライムを少しの間触ってから満足した廣谷は先に進む。後ろからぴょんぴょんとついてくるスライムに廣谷の頬が緩む。

 シロはスライムが気になるのか時たまちらっちらっとスライムに視線を向ける。

 

「わふ」

『ぴょんぴょんしてる。かわいいね』

「敵のスライムも攻撃さえしなければかわいいのにな」

「わん」

『だねー』


 シロと会話をしながら廣谷は先に進む。シロと廣谷の足音に、気の抜けるスライムの飛び跳ねる音に廣谷は笑いそうになる。

 スライムが被っている王冠は落ちる事無く、スライムの頭でゆらゆらと揺れる。

 廣谷は仲間が増えてく感じがするな。と思った。だが人間ではないので特に苦痛を感じない為、廣谷は一人の時間を確保できると嬉しい気持ちになった。

 シロはそこまで廣谷に干渉する事はなく、自由に部屋で遊んだりしている為、廣谷は何も思わず過ごせた。そして今回増えた小さなスライムは喋らない。マスコットアイテムの名の通りマスコットなので、廣谷の心は癒された。

 そうして三人は歩き23階の階段を見つけ降りる。


「25階でエレベーターが解放されるはず……」


 この間見つけたエレベーターの事を思い出す。あそこには25階以下のボタンがあったのを思い出す。ただ45階以降の階は少し窪みが出来ているだけで、何階まであるか分からなかった。ただ何個か窪みがあった事を思い出し、最低でも50階以下はあるんだろうな。と廣谷は思った。

 そう考えながら出てきたモンスターを撃ったり、斬ったりする。何回も探索しているおかげで廣谷の反応や、攻撃のタイミング等がスムーズになっていた。最初に右往左往していた時とは違い、落ち着いてきていた。

 命の危機をそこまで感じなくなってきている事に廣谷は、楽に探索出来てるからって、行動には気をつけないと……。と心に刻んだ。

 

 そうして24階、25階と降りていく。25階に着いた時廣谷はエレベーターを探し始める。色んな道を歩き、エレベーターを見つける。

 エレベーターのボタンを押すと少ししてからチーンと音がなり、扉が開く。そのまま乗り込み、1階のボタンを押す。エレベーターは閉じ、上昇する。チーンと音がなり扉が開く。それを確認した廣谷はまた25階のボタンを押す。

 その間、廣谷はタイツクにエレベーター25階に行けるようになった事を投稿する。それは瞬く間に拡散され、廣谷はうわ……と声を漏らした。

 25階に戻って、廣谷はスライムを持ってシロの上に乗る。


「戻ろう」

「わん!」

『分かった!』


 シロは元来た道を戻っていく。廣谷は乗りながらスライムを見る。プリンみたいにぷるんぷるんと揺れるスライムに廣谷は笑う。

 

「っ……。それは、卑怯だ」


 物凄い勢いで揺れるスライムに廣谷はツボる。

 そして20階に戻る頃には、廣谷はひぃひぃと笑いで蹲っていた。


「わふ」

『廣谷、大丈夫? 凄く笑ってたけど』

「だい、じょうぶ……」


 シロの言葉に廣谷はゆっくりと降りる。続けてスライムもおり、ぴょんぴょんと廣谷のあとをついて行く。

 そして廣谷はシロを子犬サイズにしてから三人は部屋に戻った。

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