第129話 シャルロットと・・・

「カイト様、おかえりなさいませ」


学園寮の前ではいつものように黒髪の美女=カトリーヌが待ってくれている。


カトリーヌは朝、僕と朝食を食べて、その後、洗濯物をしたり、街に買い物に出たりする。

街に出ない時は寮の食堂を借りて1人で昼食取るようだ。昼からはビアンカの様子を見にいって、時には一緒に遊ぶみたい。


夕方は僕の授業が終わるのを今日のように待っていてくれる。

そしてビアンカの話を聞いたり今日の報告や明日の予定の話をして、夕食でまた合うから僕はその時に洗って欲しいものを渡すようにしている。


カトリーヌのおかげでビアンカのことも手に取るようにわかるし彼女を寮に入れてもらえて本当に良かった。


カトリーヌも年頃だもんね。お礼にお婿さんを誰か紹介出来たら良いんだけど。

結婚しても僕の侍女は辞めないで欲しいな。



同じ寮生活のルークやリオニー達とは寮の前で別れるのだが、今日はシャルロットだけは僕の側から動かない。


「カトリーヌいつもありがとうね。今日は今からシャルロットと2人だけで話がしたいんだ。夕食まで自由にしていて良いよ」


「カイト様・・。ビアンカ様がいながら生徒に次々と手を出すのはどうかと愚考いたします」


次々って人聞きが悪い。次どころか一回も手を出してない。


「もう!カトリーヌ。僕は誰にも手を出してないよ!」


「またまた。カイト様はご冗談がうまいのですね。フフフッ。

図書館プレイしたアビー様はどうするのですか?」


「図書館でそんな関係になりません!アビーは友達だよ!」


「えっ?本当ですか?実は奥手なんて、事は・・あり得ませんね。ドレイン家ですしね」


1人で納得しないで欲しいんだけど。


「シャルロットも図書館に行ってもいいの」


「シャルロット??図書館は調べ物をしに行ってるだけだからね」


「先日ビアンカ様もカイト様に図書館に誘われたと聞いております。ビアンカ様にそんなプレイはまだ早いと申し上ておきました」


おいおい。図書館ですよ!?


「私も図書館でなら良いの・・・」


図書館は本を読む所だって!


「私もカイト様の侍女です。シャルロット様の事はビアンカ様、アビー様には黙っておきますね」


「・・・・・」


「カイト・・・図書館で話すの??」


「図書館は話すところじゃないよ。それにもう閉まる時間だから、そこのベンチで話そう」


「べ、ベンチで?・・・わかったの」


僕は人があまり来なさそうな奥まった花壇の近くのベンチに腰を下ろす。

茶色の長い髪を靡かせるシャルロットは僕の隣に座るとその可愛いつぶらな黒い瞳で僕を見つめてくる。


「カミーユの事なんだけどさ」


「うん」


「先日マチルダさんと話をしたんだ」


「うん」


「近衛騎士団はカミーユが皇女殿下を襲った犯人の一味だと考えているようなんだけど、皇帝陛下の勅命だからと捕まったカミーユの事はあまり話を聞いてくれなかったんだ。ごめんね」


「うん。いいの」


「シャルロットはカミーユと同じ孤児院だったんだよね?」


「うん。そうなの」


「カミーユは犯人の仲間だと思う?」


「・・・知らないの」


「もちろん知らないとは思うけど、シャルロットの本音が聞きたいんだ」


「わからないの・・・」


「カミーユが死刑になるかもしれないんだよ?」


「カミーユが死刑になるとしたらそれは神様がお決めになった事なの。仕方がないの」


急にシャルロットが饒舌になった気がする。


「でも、カミーユはシャルロットの友達だよね?それでいいの?」


「神様がそう決めたのなら・・・。私はカイトが側にいればいいの」


「何故、僕がいればいいのかな?ハハッ・・・」


「カイトは神に選ばれた人だからなの」


「かいかぶりすぎだよ。僕は神に選ばれた人なんかじゃないよ」


「カイトは神選ばれた人なの。だから私を自由にして良いの」


そう言うと、シャルロットはブラウスのボタンを外し始める。


「ちょちょちょ、ちょっと待って何するつもり??」


「カイトに私を自由にしてもらいたいの。女として好きになって欲しいから・・・」


「ダメだよ。ここは学園のベンチだからね。ほら、そこにも寮の生徒が歩いてるよ」


「恥ずかしいけど、カイトならいいの」


既にブラウスのボタンは全て外れて、下着のシャツがその下から覗いている。


「ダメだって。シャルロットの事は嫌いじゃない。好きだけど、ここでそんな事するなら嫌いになるかもしれないよ」


ブラウスを脱ごうとするシャルロットの指が止まった。


「それはダメなの」


「じゃあ、ブラウスのボタンを閉めて」


シャルロットの指は止まったままだ。

このままでは僕が変態と思われてしまう。


僕はシャルロットに向き合い、ブラウスのボタンに手を伸ばし、一つづつボタンを止めていく。


しかし、その時急にシャルロットが動いた。


そして、僕の唇にシャルロットの唇が重なる。

僕の心臓がドキドキと大きな音を立てている。

何か喋ろうとするが、シャルロットの唇が何も喋らせてくれない。


シャルロットはさらに、手を伸ばして僕の肩と腰を引き寄せ密着してきた。


どうしたら良いのだろう。興奮している僕の体と心と、まずいと言う冷静な気持ちとが重なる。


「んんん」


しかし興奮と好奇心が勝ってしまった。シャルロットの小さく膨らむ胸をシャツの上から触ってしまう。


柔らかい!!


僕の手が勝手に(?)シャルロットの胸の膨らみの柔らかさを味わうように揉んでいた。


そして膨らみの頂点にある小さな突起にシャツの上から触れる。


「アッ」

シャルロットが驚いたように声を上げると、体をくねらせ唇が離れてしまった。


そこで冷静な方の僕が体を取り戻した。


「シャルロット、やっぱりダメだよ。こんなところで」


「じゃあ図書館ならいいの?」


「図書館は調べ物をする神聖な所だからもっとダメ。僕は今日カミーユの事を相談しに来ただけなんだ」


「カミーユは神の御心にそって行動しただけなの」


「神の御心!?どう言う事!?」


「・・・知りたいの?」


「カミーユの事、何か知ってるの??」


「・・・カイトも神の御心に従うべきなの。御心に従ってシャルロットを自由にしていいの」


「僕には神の御心はわからないよ。カミーユの事で何か知ってることがあるのなら教えて欲しい」


「じゃあ、キスして欲しいの」


シャルロットが、また唇を重ねようとしてくる。

僕はその柔らかな唇を受け入れてしまった。僕の心が昂っていく。



*****



「今度デートしてくれたら教えてあげるの」


長いキスのあと、シャルロットが囁く。

僕の心臓がバクバクしてシャルロットの声が甘く淫美に聞こえる。


「・・・デート。・・何か知ってるんだね?カミーユを救える事?」


「カミーユはもう救われてるの」


「救われてるってどう言う事?」


「デートしたいの」


「うんわかった。じゃあデートしよう。何処に行きたい?」


「・・・教会がいい」


シャルロットがまた唇を重ねてくる。



**********

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