第86話 海水浴3 ゲイル一行

インストスの街で宿泊する宿の部屋は男部屋と女部屋に別けて取っている。


と、言ってもビアンカは僕と一緒の部屋が良いって駄々こねたから、僕たちの部屋に泊まる事になったんだけど、ウインライトとビアンカは見た目が兄弟みたいなのだ。

相性抜群すぎないかい?

僕が愛人3号に格下げされないか心配だ。


部屋に荷物を置いて着替えたら食事をするためにビアンカとウインライトと一緒に1階に降りる。


今日は久々に夏の日差しの中で大はしゃぎしたからお腹が減って仕方がない。


リオニーが素手で捕まえたという鯛もどきは今日の夕食に付け加えてくれるように宿の人に頼んでおいたので、『豪華な夕食になるといいな♪』と、夕食に胸をときめかせて階段を降りていくと食堂から宿泊客らのワイワイガヤガヤと楽しそうに飲んで食べてをしている声が聞こえてきた。


食事をしているのは宿泊客だけではないのだろう。飲み屋のような騒がしさだ。


今日はエールも飲んじゃおう。海の後のエールは格別だろうしね。

レストランで店の人に案内されてテーブルに行くと、、。


「あれ?」


案内されたテーブルの隣のテーブルに見知った顔が4人いる。セレナ、アリーチェ、ヨハンナ、そしてゲイルの4人が僕たちの隣のテーブルで食事をしていたのだ。


「セレナ!えっ、どういうことなんだ?ゲイル達と一緒だなんて」


ウインライトが驚いた声をあげる。


「ウインライトくん?? カイトくんも。どうしてここに??」


「セレナ!?

あっ、お兄様奇遇ですね。こんなところでお会いできるなんて」


僕は冷静を装ってゲイルお兄様に声をかける。

まさかこんなところでゲイル兄さんと出会うとは!しかもセレナも一緒とか、いつのまにか近しくなってるんだ!?

と内心驚いているんだけどね。


「カイトか。それはこっちのセリフだ。なぜこんなところにいる?」


「海水浴ですよ。今日、近くで泳いできました」


「海水浴??そうか、、。私達も海水浴だ。お前も同じことを考えるとはな」


「僕はお兄様の弟ですからね。思考が似ているのかもしれません」


「お前は弟ではない。だが、海水浴をするとはな…。まあいい。好きにしろ」


「で、セレナはどうしてゲイル達と一緒にいるんだ?」


ウインライトがセレナに話を戻した。

僕もセレナの事は気になっている。もしかしてもうゲイル兄さんに奪われてしまったのか!?


「えっと・・。夏合宿でゲイルくんに話かけて、、一緒にご飯を食べてたら、ヨハンナさんに海に誘われたんだよ・・。」


「僕が誘ったんだよ。可愛い子だったからね。ね、ゲイル。」


ヨハンナはそう言うとゲイルをチラッとみる。


「ああ、その時、ちょうど海に行く話をしていたからな。」


「みんなでワイワイしたいもんね。

海で泳ぐなんて初めてだけど明日の海、楽しみです。ゲイル様!」


アリーチェはゲイルに対して相変わらずの様呼びのようだ。


「そ、そうか。まああれだ。俺も海を楽しめたし、セレナも楽しめればいいな。」


「ウインライト君達は明日も海いくよね?

一緒に泳ごうよ。ゲイルくんいいよね?」


「・・。ああ、構わないが・・。」


「よっしゃ!そうこなくっちゃ!みんなで泳ぐか!」


それを聞いたウインライトが元気になる。

ウインライトはみんなで仲良く騒ぎたい派なのだろう。僕も一緒に泳げるならその方が嬉しいしね。


「あれ?セレナ??」


そんな会話をしているとアビーが食堂にやってきた。


「アビー。こ、これはゲイルくんやヨハンナちゃんに誘われて、、。奇遇だね。」


「ふーん。私も海に誘ったのにな。」

「ごめん。ゲイルくんにも誘われてたから、、。同じ日になるとは思ってなかったけど。」


「セレナ、あなた今日ゲイルと一緒の部屋じゃないわよね??」


アビーがセレナに鋭いツッコミをする。そこは僕もとっても気になっていたんだ。


「えっ・・。一緒になんて寝ないよ。同じ部屋だけど・・。」


同じ部屋で寝るのかい〜。うらやましすぎるぞお兄様!


「一緒の部屋なの?! ゲイル!セレナに手を出さないでね!」


「そんな事を君に言われる筋合いは無いと思うが?」


「僕がいるんだから大丈夫だよ。ゲイルはそんな男じゃないよ」


ヨハンナが自信を持って答える。


「ヨハンナがそう言うなら信用するけど・・」


アビーがツッコミどころを失ってしまったようだ。

セレナがゲイルと同じ部屋で寝るって所は気になるが、とりあえず場を収めなくては。


「お兄様と一緒に泳げるなんてとっても嬉しいです!!

明日一緒に海に行きましょう!!」



結局その後もマーガレットがゲイル一行を見て大騒ぎしたのだが、マーガレットはとても嬉しそうだったのでなんか嫉妬しちゃうなあ。


でも、夜はビアンカが「カイトと一緒に寝る!」と笑顔で俺のベットに潜り込んできて、可愛い寝顔を見せてくれたから良しとするかな!


ビアンカはウインライトととも本当に兄弟みたいに楽しげにしてたし、ビアンカをこの部屋にして大成功だった。


*********



次の日、ゲイル兄様の馬車を最後尾に3台の馬車で浜辺に向かった。


到着すると僕たちは昨日と同じように天幕や木の棒を皆んなで持って馬車を降りるが、ゲイル一行は侍女がゲイルの私物を持つ以外は手ぶらでいくようだ。


「セレナ 昨日は大丈夫だった?」


「う、うん。アビーが思うようなことは何もないよ。楽しくお話しして楽しく寝ただけ。」


「楽しく寝た!?」

「1人で寝たんだよ。」


「ふーん。ゲイルのどこがいいのよ。」

「素敵だから。かっこよくて、優しいところ。かな?」


「まあ何も無かったならいいわ。あなたとヨハンナがそれでいいなら口を挟むことではないけどね」


「う、うん。ヨハンナも素敵な女の子だよ」



「なるほど、ここがグローリオンから1番近い砂浜か。思ったよりずっと綺麗な眺めだな」


砂浜が見えるところにまで来るとゲイルが感慨深げに言う。

自分たちが設定した砂浜が実際にはどのようなところなのかを見て驚いたのかもしれない。


「すっごい綺麗な海!ゲイル早く泳ごうよ!」

「あ、ああ」


ゲイルは僕たちが天幕を張っているのを不思議そうに見ながら、ヨハンナ、アリーチェ、セレナを連れて海へ歩いて行った。


アビー「あの子たちはあの格好で泳ぐのかしら??」

僕「水浴び程度なら普通の服でも出来ると思うよ。」


アビー「そっか、じゃあ今日も水魔法勝負よ!」

ウインライト「よっしゃ!」


そう言うと、アビーは服を脱いで、見事なプロポーションを僕に披露してくれる。


アビーの美しい赤茶色の髪と赤茶色の美しい瞳、そして美しいバディ。すらっとした足!

そして2本の紐で縛られ強調されたアビーの美しい胸!いや、水着ですよ!


僕はまた視線が釘付けだ。もうアビーの体から目が離せない。


「カイト様、その下品な顔をお仕舞いください」

「こら!カイトもウインライトもいやらしい顔しすぎやデェ!!」


「あっ、ごめんごめん。ってリオニーも赤い水着がめっちゃ素敵だね!」


「俺としたことが!我を失うとは。ここは天国か?!」


「バカなこと言ってないで行きましょ!!」

「あれビアンカは?」


「もうマーガレットと行っちゃったわよ。ほら。」


マーガレットとビアンカはすでに波打ち際で水を掛け合っていた。



それを先に海に浸かっていたゲイルが真剣な眼差しで見つめている。


「マーガレット、、だったか。その服はなんだ」


ゲイルの視線がマーガレットの紐で強調された大きめの双丘に注がれている。いや、オレンジ色の水着を見ているのかもしれない。


「水着って言うんだよ。カトリーヌが作ってくれたんだ!」


ゲイルの質問に先に答えたのはワンピース水着が可愛いビアンカだった。


「あっ、えっ、そ、、そう!私の水着は私の家で作ったんだ••よ。」


何故が動揺を見せるマーガレット。


ゲイルの上半身の裸体と髪は濡れていて、海水を滴らせていた。

文字通り水も滴るいい男のゲイルの裸体にマーガレットの視線が釘付けになっているのだ。


「ゲイルどうしたの。水の中は気持ちいいよ!!」

「ゲイル様〜〜。泳がないんですか〜?」


そんな二人を見たヨハンナやアリーチェが騒いでいる。


「ああ、すぐ行く。

水着・・・。それはカトリーヌが考えたのか?」


「カイトが考えたのかな?海で泳ぐには水着が必要だって。」

「カイトすごいんだよー」


「そうか・・・。」


ヨハンナ「えっ!! 何その格好!! すっごい色っぽいんだけど。」


セレナ「みんな、すごい!露出度高いね。」


アリーチェ「ゲイル様〜。ってえええっ!!」


水に浸かってずぶ濡れになったヨハンナとセレナ、アリーチェもブラウスから下着が透けて見えていてとても色っぽいのだが、そんな自分たちのことは意にも介さずマーガレットのナイスバディを見て驚愕している。


「すごいでしょ。シルクでできた水着だよ。みんなも欲しかったらうちの店に来てね」


「君のその服は店に行ったら作ってくれるの?!素敵だよ。僕も着てみたい!!ゲイル!今度この子の店に行こうよ」


「ゲイル様、私も一緒にお店にいっていいですか!?」

「・・。負けてられない。マーガレット!私も作って!!」


「まいどあり!!採寸して生地の色とかを決めたら作れるからね。セレナは一度来てくれたよね。アリーチェやヨハンナも連れて一緒に来てよ。」



「なんや、皆んなマーガレットの体に見惚れてるんか〜〜。うちにも見惚れてええんやで〜」


リオニーや僕たちが水辺に着くと、マーガレットの姿に呆然とするゲイル達の姿があった。


「カイト様、やはりこの格好は破廉恥すぎたのではないでしょうか?」

「そんなことないよ。カトリーヌもすっごく綺麗だよ。」


僕はカトリーヌの美しい全身を眺める。やはりポイントは胸の水着だろうか?


「カイト様、お褒めいただきありがとうございます。視線が少しイヤラシイですが・・。」


だってカトリーヌもスタイルが抜群なのだから仕方がない。君のせいだよ。



「カイト、君がこの水着とやらを考えたのか??」


ゲイルお兄様が僕に話しかけて来てくれた。


それにカトリーヌがいち早く反応する。

「ゲイル様申し訳ありません。カイト様はかなりの変質者的趣味をお持ちでして」


「お前に聞いていない。黙ってろカトリーヌ」

「は、はい」


「カイト、お前が考えたのか?」

「そ、そうですね。海で泳ぐ時に女の子が裸になるわけにはいかないと思ったので。」


「そうか。理由はそれだけか?」

「カトリーヌに色々と試してもらったらこのスタイルが良いってことになったんです」


「・・・。そうか。わかった」


ゲイルが踵を返し波打ち際から海に入っていくと、後を追うように3人娘も海に入っていった。




アビー「ちょっと感じ悪いわね。カトリーヌはカイトの侍女なのに」


ビアンカ「ちょっと感じ悪いね」


アビーもビアンカもちょっと怒ってくれている。


リオニー「感じ悪いゲイルもカッコええわー」

マーガレット「水も滴るいい男だね。。」


ちょっとイケメンチートなゲイルに腹が立ってきたな。


「カトリーヌごめんね。ゲイル兄様はちょっと短気なところがあるのかな?」


「いえ、ゲイル様の話に口を挟んだ私が悪かったのです。申し訳ございません」


カトリーヌは失敗したという顔をして少し気を落としている。


ここはカトリーヌを元気付けないといけない!僕は良い事を思いついた。


「じゃあみんなで水の掛け合いやるぞお!

とりゃ!」


僕が杖をかざすと宝石が強く輝き水が放出される。

しかしなぜか今回の水魔法は特別強力だった。すごい勢いで水が飛び出る。


シュバーーーーー!!!!


「あっ!」

カトリーヌは水を避けようと反射的に横を向いたのだが、ちょうど脇に当たった水柱が、水着を捲り上げる。

カトリーヌの胸が一瞬露わになる。


「きゃ! カイト様お許しを!」

そう言ってカトリーヌは素早く胸を隠した。


「・・・・。」

見てしまった?いや僕はみていない!・・事にしよう。


「えっっ!、カイト!あなたってそんな破廉恥な事する人だったの??

侍女だからといってやって良いことと悪いことがあるのよ!」


アビーが怒った表情でカトリーヌの前に立ちはだかった。


「カトリーヌごめん!そんな気はなかったんだ。ちょっと水の勢いが強よすぎたね。

僕こんなに水魔法得意じゃなかったんだけどな・・おかしいな」


「カイト様、大丈夫です。カイト様がイヤラシい事をしてくるのは想定内ですので。」


みんなの視線がカイトに集中する・・・。

「わざとじゃないんだって〜!!!」



***************


※※作者です。

さらに登場人物が増えてわけがわからんことに。うーん。

12人いますからね(;^_^A

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