第85話 海水浴2
海辺ではすでにリオニーとビアンカが服を脱ぎ捨てて波打ち際でバシャバシャと水を掛け合っている。
「すごい水が生きているみたい!!押し寄せてくるよ!!」
「ビアンカちゃんこれは波って言うんやで。こういうところは波打ち際っていうんや」
「波打ち際、楽しい!!」
「ビアンカ、水こわくないかい?」
「うん!全然こわくない。海って楽しいね!!」
僕はビアンカに駆け寄って声をかけるとビアンカは天使のような笑顔で答えてくれる。海に連れてきてほんと良かった。こんな笑顔が見れるなら毎年来ないとね。
今回ビアンカにはカトリーヌの作った青黒い生地のワンピースタイプの水着を着てもらった。まだ子供なのに露出が多いのは僕が嫌だったからなのだ。
その代わりではないけど、リオニーはセパレートの露出の多い赤いシルクの水着着ていて、灰色の髪と尻尾とのコントラストがとても色っぽい。しかも照りつける日差しで髪や尻尾も銀のように輝いていている。
リオニーは身長も僕より少し低いくらいで、出るところは出てもスラリとしている。
要するにスタイル抜群で水着がよく似合うのだ。
「カイトー!泳ぎたい!」
リオニーに目を奪われているとビアンカが抱きついてくる。
「カイト…私も泳ぎたいの」
シャルロットも僕の腕を掴んで、なんだか色っぽい目で見つめてきている。気がする。
恐らく夏の陽気と色っぽい水着のせいで僕の脳が勝手にそう勘違いしているのだろう。
「よ、よし、じゃあ泳ぎ方教室を始めるぞ!!」
「やったーカイト大好き!!」
「わ、私も•••」
*********
「カイト〜〜!!お魚さんがたくさんいるよ!!」
ビアンカは最初は水の中に顔をつけるのを少し怖がっていたけど、僕と泳ぎの練習をしているうちにすぐになれて、もう水の中で目が開けられるようになっていた。
ここの海の水は本当に綺麗で、潜れば沢山の小魚が泳いでいるのがわかる。
この世界でスキューバダイビングをすれば美しい海中を堪能できるんだろうなあ。
海中で呼吸が出来る魔法!そんな魔法ないかな〜。
まあ、僕は日本でもスキューバとかした事ないのだけど。
「ビアンカちゃん!私と一緒に泳ぎましょ〜」
オレンジ色の水着がこれまた似合うマーガレットがビアンカを目指してやってきた。
「うん!マーガレット、手を引っ張って〜」
マーガレットがでれっとした顔でビアンカの腕をとると、ビアンカがバタ足の練習を始めて水飛沫が上がる。
マーガレットの手に捕まりながら足をバタバタさせるビアンカはとても可愛らしい。
「お魚さん追いかけても良いけど、遠くには行ったらだめだよ!」
とりあえずビアンカはマーガレットに任せておこうかな?
「僕たちも泳ごうか」
「うん。じゃああそこまで競争ね。」
アビーは少し離れた場所で泳ぐリオニーとウインライトを指す。
「おっけ。じゃあ行くよ」
僕は軽快にクロールで泳ぎ出す。アビーにいいところを見せないとね。
僕はクロールは25mプールで2往復くらいは泳げるのさ!日本の高校生の時の話だけど。
軽快なクロールを披露した後、アビーが来ているか確認しようと泳ぎをやめたが、もう足は届かないようだ。えっ。これまずいんじゃない?
と、思うもののアビーは平泳がなかなかうまく僕を追い抜いて行ってしまった。これは負けられない。
そう思って僕の本気のクロールを見せつけることにした。が、なかなかアビーに追いつけない。
日本の記憶ではもう少しうまく泳げるはずだったんだけど、それは日本の記憶であってこっちのカイト君は泳いだ事などないのだ。
心と体がついてこないと言う状態だろうか?
結局、全力を出したのにも関わらずアビーとほぼ同時にリオニーやウインライトのところに辿り着いた。
「アビーにカイト!やるなあお前ら!」
「魚めっちゃいっぱいおるでェ」
そう2人に話しかけられたが、僕は水面から顔を出すために足をバタバタ、手をカキカキするのに必死で返事ができない。
そうこうしているうちに先ほどクロールで頑張りすぎたからか、限界に近い体力をさらに急速に消耗してしまった。
「魚、絶対捕まえたるねん!大物さん待っといてや!」
そう言ってリオニーは大きく息を吸ってドボン!と潜り込んでいく。
皆んな楽しそうだ。しかし僕はもうダメだ。
限界がやってきた!やばい。僕は岸に向けて引き返そうとするが、、ぶくぶくぶく。
力尽きた。息ができない。
本当にやばい!
と思ったら暖かい手が僕をつかむ。
「カイト!!大丈夫!!? ジタバタせずそのまま逆さを向くのよ」
アビーは僕を後ろから抱きしめて逆さにするとそのまま泳いで運んでくれるらしい。
「はあ、はあ、はあ」
アビーの胸が僕の背中に当たってるから興奮しているわけではない。息があがっているのだ。
そして僕はそのまま足がつくところまで運ばれたのであった。助かったーー。
「はあ、アビーありがとう。」
「もう!無理はダメだよ。海で泳ぎたいって言うから泳ぎが上手だと思ってたのに。」
泳ぎはもう少し出来るはずだったんだが、日本人の記憶が仇になったかな。
でも海で泳ぎたいのは水着のアビーが見たからなんだけどね。もちろん言わないけど。
「はははっ、アビーは泳ぐの上手だね。どこで覚えたの??」
「子供の頃、夏によく川に連れて行ってもらって泳いでたのよ。言わなかったかしら?」
「あ〜海、超楽しいな!!カイト大丈夫か??」
ウインライトが心配して戻ってきてくれたらしい。
「なんとか。。アビーに助けてもらったから大丈夫だよ。」
「海では全力を出したらダメだぞ。いつも持久できる泳ぎをしないとな。
足がつかないところも冷静に浮き沈みしていれば1時間でも体力維持できるんだぞ。」
「そうなんだ。ウインライトは海で泳いだ事あるんだね。」
「うちの家は昔は海辺の街の管理をしてたからな。パンツ一丁でよく泳いだぜ。
そうだ、力尽きても大の字に寝そべればそれなりに浮いてられるぞ。」
「そういえば、ウインライトの家は役人だったね。みんな僕より泳ぐのが上手いとは・・。」
ちょっと自信喪失してしまう。
「リオニーが見えないけど大丈夫かしら?」
「あいつは俺よりも泳ぎが上手い。潜って魚を追いかけてるぞ。そのうち頭を出すって。」
「素手で魚を捕まえるつもりかな?」
「あいつなら出来る!!」
いや、無理でしょ。。サメじゃあるまいし。
そうだアビーにプレゼントがあるんだ。
天幕まで来てくれない?
「私にプレゼント!?どうしたの?急に。」
「俺にはプレゼントないのかよ!?」
「ウインライトは僕の水着のパンツをプレゼントしただろ?」
「そうだった。もらってたわ。ありがとな。」
———
「カイト様、お持ちしました。」
カトリーヌが天幕にあるカバンから先日買った水魔法の魔法具が入った箱を取り出して差し出してくれる。
「これだよ。アビーには必要だと思って」
「えっ。先日買った魔法具じゃない。いいの??もらって」
「水の魔法具は二つ買ったからね。一つはアビーにあげようと思って」
「2つも買うから、誰かにあげるのかと思ってたけど、、私が??!…
ありがとう!カイト!!」
アビーの顔が満面の笑みになる。
すっごく喜んでくれてるみたい。買って良かった。
「じゃあこのコップに水入れてくれる??」
「あっ!もう使うのね?いいわよ」
アビーが僕の差し出したコップに杖を向けると、杖から勢いよく水が飛び出し、コップに当たった水が周辺に撒き散らされる。
「うわ! もう少し勢いを緩めて〜」
「やってみるわ!」
アビーが杖に意識を集中すると、次第に勢いが弱くなり、ちゃんとコップに水が溜まった。
ゴクゴクゴク!
「アビーのお水美味しいね!!」
「カイト様、いやらしい発言は謹んでください。」
えっ!?いやらしくないよね!?
「俺もアビーの出した水が飲みたいぜ!!」
カトリーヌに指摘されると、ウインライトの言い方もいやらしく感じてしまう。
「うめえ!!アビーの水はうめえや!」
「カイトやウインばっかりズルい!私も飲みたい!」
「喉乾いた〜」
「水飲みたいの…」
ライトを省略したビアンカが、マーガレットとシャルロットと一緒に帰ってきて水をせがみ始めた。
アビーの魔法の水は大盛況だ。この暑さだからね。水の魔法具買ってて良かったよ。
みんながアビー水を飲んでいる間に僕は自分のカバンからもう一本の水魔法の杖を取り出す。そして、フフフッと、とても悪い事考えたとあるアニメのゲンドウのような顔になる。
全ては計画通りなのだ!
「おりゃ!!」
振り翳した杖から勢い良く水が飛び出すと、水柱となってウインライトの体に直撃する。
「うわあ!!冷てぇ!!!」
水柱を当てられたウインライトはその水から逃れるために逃げ惑う。
フフフッ。逃げろ逃げろ。僕の顔はどんどん悪い顔になっている事だろう。
「こら!やりやがったな!!卑怯だぞ魔法具なんて!」
「全ては計画のうちだよ。
さあアビーとマーガレットはウインライト陣営ね!
水辺で水の掛け合い合戦するぞ!!」
「そう言う事か!!やるぜアビー、マーガレット!!」
「カイト!負けないわよ!」
「カイト…私も水魔法の杖欲しいの」
そう言うわけで、みんなで楽しい水合戦が始まった。
———-
夕方、みんな疲れて天幕の片付けをしていると、リオニーが三度目の出陣から帰ってきた。しかも手にはタイのような魚を持って。
「みんな見てや〜〜〜!!今日の成果や!!!」
ウインライト「おおお!!!リオニー。俺は信じてたぜ!!」
アビー「素手で捕まえたの???」
「やったー!今日はお魚食べられるね!」
もちろん宿で食事はあるのだが、この魚も焼いてもらおう。
それにしても魚を素手で捕まえるとか、どうやったら出来るのか。。
***************
※※登場人物が一気に喋るのでがわからなくなってますね。。
わかりにくくてすみません。
もう少し文才があれば、、。
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