第58話 夏合宿〜班分け

僕がこの魔法学園に入学する際、学園長には再生魔法についても報告している。


学園長からは再生魔法については使えるものが極端に少なく、さまざまな地位の人間から再生の依頼を受ける可能性があることや、誘拐の可能性も考えられるので秘密にした方が良いと言われた。


しかし、夏合宿は危険だ。

重傷者も毎年出る。下手をすれば死亡するものも出る。だから魔法学園としては僕に再生魔法の魔法具を使わせたほうがよいと考えたようだ。

夏合宿前に学園長より再生の魔法具の貸与について話があり、僕は申し出を快く受け入れた。


一応その杖で再生魔法の講義も受けた。

対象はヘビだったけど。


ただし、そうなると遅かれ早かれ合宿中に再生魔法を使うことになる。だから1年生全員に箝口令をしいた上で再生魔法の話をすることになったのだ。



生徒達の驚きの声も落ち着いた後で行動を共にする班分けが発表された。


班分けは下記の通りだった。

1年B組 第一班

同行教師:ロビン先生、レベッカ先生

カイト(貸与魔法具:火・水・再生)

ウインライト(貸与魔法具:動)

ウォルター(貸与魔法具:雷)

セレナ(貸与魔法具:動)

リオニー(貸与魔法具:雷撃)

シャルロット(貸与魔法具:水)


1年B組 第二班

同行教師:マシュー先生、トーマス先生

アビー(貸与魔法具:水)

サイモン(貸与魔法具:風)

イザベル(貸与魔法具:火)

マーガレット(貸与魔法具:水)

ルーク(貸与魔法具:火・雷)

カミーユ(貸与魔法具:風)


「では担任より班分けに従って、決められた魔法具と武器、装備、ルート地図を受け取り明日に備えなさい」


班に分かれた生徒それぞれに防具、武器(剣もしくは槍)、杖が2本かけられるリュック、雨よけのローブ、水筒、そして魔法具が渡った。


僕が持つ魔法具は2つ。火と水の魔法具だ。他の魔法も使えるけどまだまだ不器用なので今回は火と水だけにした。

リュックにも2本しか掛けられないしね。(再生魔法具はロビン先生に預けてる)


ウインライトは銀髪の半狼人族で動魔法の使い手だ。

「速」ルーンの指導もすでに受けているそうで、「速」ルーン付きの動魔法具を装備している。関係ないけど容姿はBクラスNo.1のイケメンだ(僕認定)。15歳なのに大人っぽいしね。


ウォルターは金よりの明るい茶色の男の子で、雷の魔法具持つ。ちょっと子供っぽいところがあるが、サルバン家は槍術で有名な家で槍を練習している前衛を任せられる。

前衛なので盾装備も考えたみたいだが、盾と槍を持つと魔法が使えない事や、ロビン先生には鬱蒼とした森を歩き回る事を考えると重い盾はやめた方が良いと助言されて諦めたようだ。


カイトが入学した時にノートを貸してくれたり色々面倒を見てくれたのが、薄い金色の髪が美しいセレナだ。

セレナは成長すればクラスNo1の動の魔法の使い手になれる素養があり、さらには光と闇という大変重要な魔法も使えるのだが、それは2年生になってから発覚するラノベの裏情報だ。


リオニーは灰色の髪と尻尾、そして関西弁がキュートな女の子だ。

マーガレットと共にクラスの盛り上げ役でもある。

クラスNo.1の雷魔法の使い手で、なんと、すでに遠距離攻撃が出来る「雷撃」の魔法具が支給されている。

遠距離雷魔法である「雷撃」は雷魔法と動の魔法に加えて「導」というルーンが必要になる複合魔法なのだが・・。既に使えるレベルに達しているとは恐るべしリオニー!!


雷魔法の利点は発現してから回避できない事だ。プラズマだからね。


ただ、雷魔法は万能ではなく鉄のヘルメットと鉄の胸当てなどを一緒に装備されているとそちらに通電してしまって威力が半減するらしい。


全身の鎧が一体に近いフルプレートアーマーは最も相性が悪い。相手の装備に合わせた戦い方が必要なのは武器でも魔法具でも同じだ。


とはいえ鉄のヘルメットを装備してない人間の頭に当たれば確実に一撃で葬れるそうな。考えるだけで恐ろしい。


ちなみにリオニーもヒロイン枠なので隠れ魔法を持っている。転移だ。これまたとんでもない魔法だがこれは3年生までわからないはず。



そして大人しくて可愛い系のシャルロットは焦茶のロング髪が特徴的な女の子だ。

水魔法の魔法具を装備しているので、水に弱い敵がいれば活躍できるかもしれない。


うーん。


水の魔法は1年生ではまだまだ戦闘で使えるレベルにはならない。いや、3年生でも複合で活かせなければあまり戦闘向きではないのかもしれない。


しかしサバイバルでは水は貴重だ。

人は食わなくても水があれば生き延びれたりする。逆に水がなければ人はすぐ死んでしまう。

合宿でも飲み水に、調理に、洗い物に、と大活躍するだろうね。


話し合いの結果、メンバーの特性を考慮して行動フォーメーションが決められた。

先頭はカイトが進み、ウォルターは槍を装備し後ろから即座に前に出られるようにする。要はカイトとウォルターが前衛になるという事だ。


リオニーは遠距離からの雷魔法で相手を攻撃。

セレナは動魔法で石やシャルロットの水魔法を加速して相手にぶつける。(ちょっとしょぼいけど仕方がない)

ウインライトは後衛で後ろからの攻撃に備える。動魔法でセレナと協力することもできる。



「よ!カイト!違う班になっちまったな。カイトの魔法が見たかったのにな。

あっ!そうそう再生魔法って!どういうことよ?」


「そうよ、私も聞いてないわよ。観念して全部教えなさい」


話し合いが終わったところでルークとアビーがお揃いでやってきた。


「使えるんだよ。再生魔法。学園長先生からは公にしない方がいいって言われたから黙ってたんだけど・・。」


「基本の5属性全て使える上に再生魔法って超人すぎない??

もしかして神が地上に使わせた最初で最高の使徒様である英雄アーノルドに匹敵するんじゃない?」


「そんな大袈裟なー。」

「大袈裟じゃないよ!」


「だって火魔法を使っても、ゲイルやイザベルには遠く及ばないし、水や風や雷だってそうだよ。まだ全然だめだからね。」


「今は器用貧乏かもしれないけど、まだ1年生だからだよ。」

「そうかなあ?」


「俺も3属性もちって浮かれてたな。カイトの事を聞けば聞くほど凄いやつだわ・・・

俺は他人に嫉妬なんてしないと思ってたけど・・・内心結構嫉妬してるな。」


「ルークは剣も上達早いし、火も雷も使えてきてる。すっごく強くなると僕が保証するよ」


「そうだな俺は強くなって、皇国の騎士団に入りたいんだ。お前には負けないぜ」


「二人とも破格の才能の持ち主なんだから、頑張ってね」



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