第48話 花街

皇都には花街がある。


帝都の市民・貴族の憩い?の場所である花街は、低俗な売春宿があるエリア、貴族などが利用する高級なエリアなど通りによって特色がある。


ラノベのゲイルが女の子達を連れて通った時のことがラノベで描写されていたことを思い出し、低俗な売春宿がある通りを進むことにした。


この辺りでは安物のドレスを着た女性が建物の前でたっているが、呼び込みをしている様子はない。

理由は帝都では売春のルールが明確にきまっているからだ。


まず売春婦は行政への登録制である。

売春は廃止されたはずの奴隷やマフィアと密接に関わりがある。実際裏社会では奴隷がまだ存在していて、売春婦として買われる奴隷も多いと言う。


だからと言って売春を禁止すると違法な売春が横行し結局反社会勢力の肥やしになる。そう言うことで元老院が法をつくり合法的に売春の管理、徴税に乗り出したわけだ。

そのルールでは強引な呼び込みも禁止。だから表立っては呼び込みはできないのだ。


とはいえ、低俗な売春エリアではそもそもそのルールは形骸化してしまっていて、人を選んで呼び込みをしているらしい。もちろんノベル知識だ。


貴族のような格好をした7人組の若い男女を呼び込むバカはいない。


「カイト様、何故こんなところに?そんなに溜まっていらっしゃるのですか?」(小声)

なんかカトリーヌが下品な発言をしたような・・。


「ここに来たのはたまたま。近道だったからだよ。」


「ホッ。 そうですか。安心しました。」

胸を撫で下ろすカトリーヌ。


「なんだかあの女性達は淫靡な雰囲気を醸し出してるねぇ」

マーガレットは興味津々のようで、顔がワクワクしている。

好きそうよね〜こういう所。


「俺にも金があればなあ」

ルークがボソッと言う。


「えっ?ルークはお金があれば娼婦を買うの?? そんなの最低だよ。」

アビーが凄く嫌そうな顔をする


「いやいや。男のロマン・・・?! じゃなく!! 俺は愛した人しか抱かないぜ」

いやいやじゃないよ。それじゃ信用なくないか?


「男ばっかりずるいよね」

とはマーガレットの言


「ルークは愛した人を守るって事に男のロマンを感じるってことだよね?」

少々苦しいが僕がまとめてやる。ルークの信用を少しでも回復しなければ。


「しょうふを買うの??」

ビアンカがまた振り出しに戻した。


「ルークくんはお金ためないとね?」

セレナナイス!

いやナイスでは無いな。


「カイト様」

カトリーヌが近寄ってきて小声で僕に話しかける


「何?」

「類は友を呼ぶとは言いますが、ご友人は選ばれた方がよいかと進言いたします。」

ルークはそこまで変なこと言った訳ではないぞ。(男性意見)




アビーの雰囲気が悪くなったところで高級花街の通りへ行くことにした。


「こっちは女性が立ってたりしないのね。」

「こっちは建物が立派だな」

なんだかんだ言ってもアビーとルークは横に並んで息はぴったりだ。


「こっちは単に娼婦を買うなんてところじゃ無いんだよ。贅沢に女性と飲んだり話したり。そんなところ。そのあとは男女の関係と金次第だろうね」


「カイトは良くそんなこと知ってるね」

アビーは何故そんな事をしっているのか?と、不思議な顔をしている。

ラノベでゲイルが言ってたとは言えない・・。


「うちの母親は娼婦ではないけど、父に連れられてこのあたりでは良く遊んだって聞いたんだ」

口から出まかせを言う。我ながら詐欺師になれるかもしれないな。

いや既に詐欺師なのでは??・・。ちょっと自己嫌悪・・しないな。


カイトは詐欺師の才能があった。


「そっか。なんか悪い事きいちゃったかな?」

「そんな事ないよ。母の事を思い出させてくれてよかった。大劇場がある表通りに出てみようか。」


東西に走る小道を西に向かって歩くと馬車が何台も走る大きな通りに出てくる。

ここが皇立大劇場があるシアターストリートだ。


この通りは皇立大劇場だけでなく、真聖教の聖堂や仕立て屋、レストランなどが軒を連ねていてちょっとしたファッションセンターのような場所になっている。

当然歩く人の数も昼間の花街なんかよりずっと多い。


小路から出てきた場所から、少し南に歩くと皇国中の貴族に名を馳せる皇立大劇場だ。




皇立大劇場の前には大きな石畳の広場があり、多くの馬車が止まっている。


広場の奥に見える大劇場は巨大な建物で、その建材も城のような重厚な石が使われ見るものを圧倒する。


その反面、その重厚な石の壁には美しい細工が施され、縦長の大きく華やかなガラス窓が何十枚も整列している。

間近で見ると迫力の中にも優雅さを兼ね備えていて皇国が誇る大劇場に相応しい佇まいであった。



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