第43話 ヨハンナ2
次の日も私は自然とヨハンナと昼に食事をする事になった。
自分の好みで作り上げたと言える少女を口説き落とせる。それはとても感慨深いものがある。
私はヨハンナとの日常を楽しむことにした。
さらにその次の日・・
「ヨハンナ、昼食に行こう」
「もうおなかペコペコだよ。ゲイルは今日は何食べる??僕はチキンローストにしようと思っているんだけど」
「ゲイル様〜。まってください。私もご一緒します。」
「ああ。そうだな。すまない」
「あれ、今日はアリーチェも一緒??」
「そうだ。彼女が今朝馬車を降りた時に声をかけてくれたからな。昼食に誘った」
「へえ。ゲイルって意外と人とコミュニケーションとれるんだね。」
「意外と・・。私をなんだと思っているんだ。」
「ハハハッ 拗ねたところがまた意外。」
「ヘヘヘッ ゲイル様に置いていかれるかと思っちゃいました。」
「慌てなくても置いて行ったりしない。安心しろ。」
「アリーチェ 一緒に行こう! 3人で一緒に食べるのも楽しそうだね。」
アリーチェもまた重要なキャラクターの1人だ。ヨハンナと共に私の仲間を増やしてく事は私の行動計画の一つと言える。
ヨハンナは他の女性との関係も非常に上手い子だ。アリーチェとも上手くやってくれると良いのだが。
〜〜〜
「僕はチキンローストにしようかと思ってるけど、アリーチェは何にするの?」
「えーと。ゲイル様と同じのでいいかな〜。」
「ええ〜。じゃあゲイルもチキンローストにしておくよ。」
「いや、私はチキンは・・ まあ・それでいい。ヨハンナに任せる。」
「じゃあ僕が3人分一緒に注文してくるね!」
「ヨハンナさんかわいいな。」
「そうだな。皇国中を探してもヨハンナより可愛い子はいないだろうな」
「ええっ そんなに・・・ですか」
「フフッ・・そうだな。・・アリーチェも十分可愛いと思うがな」
「ええっ!? やった。ゲイル様に褒められた!」
「なぜ私に「様」をつける?」
「へへっ それは内緒だよ。恥ずかしいから」
「秘密は好きじゃないな。まあいい乙女の秘密を勘ぐるほど野暮ではない」
「注文してきたよ! ・・アリーチェの顔が赤いんだけど・・。
僕がいない間になにを話してたのさ」
「たわいもない話だ」
「ヨハンナさんが「かわいい」ってことかな♪」
「嘘はよくないなあ。それじゃあアリーチェの顔が赤い理由にならないよ」
「本当だ。ヨハンナは可愛いからな」
「こらこら!食堂はナンパするところじゃないんだからね。」
「私もゲイル様にナンパされちゃったのかな?」
「こら〜ゲイル。どういうことだよ??」
「食堂で一緒に食べようと誘ったのは私だが・・・ナンパではないぞ」
アリーチェは私がヨハンナと親密そうに話していても気にせず輪に入ってくれるのである意味扱いやすい。
ヨハンナとも相性は悪くなさそうなのでこのまま良い関係を築けそうだ。
****
しかし、その後に事は起こった。
***
5限の風魔法実習の授業を終えた私はいったんAクラスに戻る。
教室にカバンを置いている事もあるが、最近はヨハンナと5限終わりにAクラス教室前で待ち合わせして馬車停留場まで一緒に帰っていたからだ。
Aクラスの教室に着いてカバンを手にした時、隣の空き教室からヨハンナの声が聞こえた気がした。
Aクラスの教室を出て隣の教室に近づく。
「やめろよ!」・・・「離せよ!」・・・
!!!
明らかにヨハンナ声だ。
ゲイルはすぐさまその教室の扉を開け放ち教室に駆け込むと、
そこには教室の机に覆いかぶさるような姿をしたアレッシオがいた。
そしてその陰から茶色がかった金の髪が見える。ヨハンナの髪である。
アレッシオがヨハンナを押し倒しているのだ。
ゲイルの心に怒りが溢れ出る。
アレッシオは教室の扉が開け放なたれた音を聞くと、ヨハンナから手を離して振り向きニヤッと笑った。
「ヨハンナはいい女だよな。お前もやりたいのか?」
「ああそうかもな」
「だったら後で回してやるから大人しく教室から立ち去れよ」
「ほう、何を回すのだ」
そう言うとゲイルは冷静にアレッシオとヨハンナの方に歩き始める。
「ゲイル!!!!! こ、こいつ剣を持ってるから気をつけて!」
ヨハンナが声を上げる。
「なんだ、俺とやろーってか?」
アレッシオは近づいてくるゲイルに対して剣を鞘から抜く
しかしアレッシオが剣を抜いてもゲイルの冷静な表情は変わらない。腰に差した剣に手をかけると全く怯まずに歩を進める。
アレッシオはそのゲイルの雰囲気に気負けしたのだろう。言い訳をはじめた。
「待て待て、俺の女になれば将来は大司教の妻だぜ。美味しい話を持ちかけてただけじゃねーか」
「言い訳はそれで終わりか?」
ゲイルはその言い訳を無視してそのまま剣が届きそうな間合いまでやってきた。
「待てよ待てよ。学園で切り合いはまずいだろ・・・」
瞬間、ゲイルの抜き放った剣がアレッシオの持つ剣を弾く。
アレッシオは剣が大きく弾かれたことで剣を持つ腕と一緒に体が右に崩れ、
ドスっ!!!
その巨体にゲイルの剣の腹がぶち当たった。
剣の腹の強烈な一撃をまともに受けたアレッシオはその巨大を維持できずに倒れ込み咽び声をあげる。
「ゲホッ!ゲホッ! ウウ・・・ ウウ・・・」
「ヨハンナ。大丈夫か?」
ゲイルは倒れたアレッシオには目もくれずヨハンナに歩きよって肩を持ち顔を近づける。
ヨハンナの服は乱れていたが、無事だったのはその輝く瞳でわかった。
「ゲイル!!怖かったよ・・」
涙を浮かべながら抱きついてくるヨハンナ。
「ありがとう。ゲイル・・ありがとう・・」
腕の中でヨハンナは涙を滲ませそう呟く。
「なんて事はない。さあ帰ろうか」
ヨハンナの肩を抱くとアレッシオを一瞥して教室の扉へ向かった。
「ま、まてよ。こんなことをしてタダで済むと思ってるのか・・。俺の父・・。大司教を敵に回すつもりか。。」
倒れ込むアレッシオが苦しそうにしながらもゲイルにそう問いかける。
「私にそんな口を聞く余裕があるなら自分の心配をするんだな」
*********
その夜。ゲイルは寝室で今日のアレッシオの暴挙の事を考えていた。
アレッシオのパオロ大司教の権威を傘に着る発言・・・。
それは奴が大司教の意思によって学園に送り込まれたが、ドレイン家と大司教の力関係と蜜月を理解していないバカだと言う事を表している。
私へ敵対的な振る舞いからもパオロから私の懐柔命令も受けていない事は明らかだ。
パオロからの命令は私の監視程度なのかもしれない。あとは学園生徒を「神の呼び声」に取り込めとの命令くらいだろうか?
奴が生徒を取り込めるとすれば、暴力による支配しかない。ヨハンナに対する行動はそう考えれば納得がいく。
大司教といえば、今月になって1Bに入学してきた3人も気になっていた。
シャルロットとカミーユ。そしてカイト。
シャルロットとカミーユ。2人は農村出身の幼馴染だと言う事は噂に聞いた。
だが、シャルロットはパオロ大司教の側使えで同じ名前の女性がいたはずだ。
明確には覚えてはいないのはゲームには登場しないからだが、企画時には名前があった気がするのだ。
カミーユはゲームにも企画にも全く出たこともない少年だが、シャルロットが大司教の差金であるとすれば、カミーユも同じく大司教の駒であろう。
そうなると・・恐らくカイトもパオロ大司教の意図により学園に送り込まれたと考えるべきなのかもしれない。
カイトについては父からの手紙にて事前に知らされてはいた。しかし私の弟というのが怪しすぎる。
ゲームではそんな人物は存在しないのだから。
父(ドレイン方伯)と何か裏で取り決めがあり、パオロの息がかかったものをドレイン家の子息として入学させたのだろうか?
どちらにせよゲームよりパオロ大司教の動きが学園において活発化しているのは間違いない。今後はさらに慎重に行動していく必要があるだろう。
**
ゲイルはベッドから立ち上がり、ガウンを羽織る。
「ゲイル・・・・どうしたの?」
茶色がかった金の髪が揺れ、ヨハンナが立ち上がったゲイルに声をかける。
ヨハンナはその美しい裸体をシーツから覗かせている。
ゲイルはヨハンナに近づくと、軽く口づけをする。そして、
「タバコだ。」
そう言ってタバコ入れからパイプタバコを取り出して蝋燭で火をつけるとベランダに出る。
プハ〜〜。
最愛のものを手に入れた充実感が私の心を満たしている。
事の後はやはりコレが欲しくなるな。
***************
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます