第38話 剣と魔法
入学二日目の2限目は剣術だった。
剣術の授業は必須授業なので1Bの生徒全員参加である。
教師はマシュー先生が担当してくれる。
このマシュー先生、剣術、槍術、弓術・・火と水の魔法を教えることができるオールマイティなおじさんですごい。元皇国北方騎士団のお偉いさんらしい・・
授業が行われるグラウンドの片隅に打ち込み用の木に藁が巻かれた木偶が10体あり、グラウンドの走り込みのあと、木剣の素振りを繰り返し、最後に木偶への切り付けをして終わった。
僕は素振りだけはアクセルに鍛えられていたので、同じクラスのウインライトと同じくらいうまいと褒められてしまったので大満足ではある。
子供の時からやってきた貴族のウインライトやウォルターは腕が立つようで、ルークとサイモンはまだこれからと言ったところだ。サイモンも男爵家の息子だけども・・。
僕が来たからかわからないが、次回からは木の剣を使った手合わせも行なっていくらしい。楽しみだ。
******
そして昼4限は待ちに待った火の魔法の実習である。
火の魔法実習にはあのゲイルがいるのだ。
ゲイルはモブには目もくれないのはよくわかっているので、まずはゲイルが得意とする火の魔法で実力を見せつけたいと思っている。
ライターの火しか出せないのに何を言ってるんだって??これから特大の火魔法が出せるように練習するんじゃないか。
学園生活は3年もある。・・・3年生時になにかどえらい事が起こる可能性は高いのだが。
とにかく慌てる必要はない。
そうそう。この学園にも異世界学園もの定番の夏合宿や学園祭などのイベントがある。
学園祭は、豊穣を神に感謝する皇都の秋祭りの一環で行われるため、同じ期間中には皇帝陛下主催の奉納剣術大会も催され毎年何人か学園からも参加しているのだ。
転生ゲイルもこの大会で活躍しているし、この世界でも出場することは間違いないだろう。
ゲイルと剣で友好を深めることができるかもしれない。勝てないとは思うけど。
要するにイベントは色々あってゲイルはもちろん女の子達ともこれから仲良くするチャンスは沢山あるのである。
***
僕はルーク、イザベルと一緒に火魔法の実習を受講するため、南棟の最上階である4階にある実習教室にやってきた。
ちなみに水魔法の教室の隣だ。
イザベルは昨日のホームルームの時に挨拶してから何度か言葉を交わしているけど、長めの黒髪が特徴のこれまた美女である。なぜだか魔法学園は美女だらけだ。当然ラノベ作者が美女好きだからだろう。
もちろん僕も美女好きなので大歓迎である。
魔法実習の教室は天井がかなり高い。
その高い天井が少し煤汚れているのはここが火の魔法を使う実習教室だからかな?
室内で火の魔法実習をする意味は少しわからなけど・・火魔法は風がない室内の方が安全なのかもしれない。
そして壁側には的らしき鉄の板と木の板が交互に並んでいて、教室の隅には水桶がいくつも並んでいる。
水道はなくてもそこは魔法学園。水魔法があるので補充は簡単なはずだ。
「火」魔法実習に参加しているのは、
A組はゲイル、イルバート アレッシオ
B組はカイト、ルーク、イザベル
ゲイルはその長身とビジュアル系?の綺麗な顔立ちの超イケメンで、部屋に入ってくる動作も様になっている。
僕はまるで女の子のファンの一人か?という目でゲイルを見ているのだが、しかし、ゲイルは僕のことは視界にもいれたくないのか見向きもしてくれない。
「ゲイルお兄様!よろしくお願いします。」
「ふん。お前か。」
それだけである。ひどい。
「ゲイルは本当にあなたのお兄さんなの??」
イザベルの声が不審そうだ。
「なんか嫌われてるみたいだな・・」(ルーク)
「はははっ そのはずなんだけど・・。認めてくれていないみたい」
「顔も似てないしね・・・。顔がイケてないって意味じゃないわよ」
「いや・・兄と比べられると・・・残念ながら」
「俺は顔も魔法も負けてない。そう思ってる」
ルークは自分に相当自信があるらしい。
「ゲイルは魔法もすごいから。火魔法も私より上だし・・彼と比べる必要はないわよ」
「お兄様はすごいですからね。ファイアボールも使えたはず」
「ファイアぼおる?」
ルークはよくわかってないようだ。
「ファイアボール・・まだ授業では習ってはないけど・・火と風魔法の融合魔法ね。
私には風の適性がないから・・。
カイトは何故そんなこと知っているの?昨日学園に来たばかりじゃない。」
「ああ・・ゲイルお兄様に聞いて・・いや、お父様から聞いたのかな? ハハハッ・・・」
ちなみにドレイン方伯も魔法の発現者ではある。「動」魔法しか使えないけど。
「まあ良いわ。私は火の魔法でゲイルに勝ちたい。それだけよ。」
学園にある真聖教会の鐘撞塔から鐘の音が響き渡った。
2回鳴る時は授業の開始時刻を表している。
**************
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます