第22話 ビアンカ
「ただいまーーパパ寂しかった?」
ビアンカはそういうとアクセルに駆け寄り抱きつく。
「こらっ!どこ行ってたんだ!宿にいろと言ってただろ」
アルフレッドの護衛の仕事が終わり先に帰ってきていたアクセルはビアンカがカイトに連れ出されと聞いて激昂していた。
「ごめんなさい パパ愛してる」
テヘペロ♪
ビアンカはパパに可愛い笑顔を見せれば怒られないとわかっていた。
「カイトの奴!勝手に愛娘を連れ出しやがって!!」
アクセルは優しくビアンカを撫でるが、その顔は勝手に連れ出したカイトへの怒りで歪んだままだ。
「でね。今日は大聖堂へ行ったんだ。
大聖堂ってデッカくて薄暗くてちょっと怖かった。」
「大聖堂って聖アウグスト大聖堂のことか?奴はなんでそんなところに行ったんだ?」
「でねでね、ビアンカは魔法を使えるんだっ!すごいでしょ」
!?!?!?
「魔法っ!? 魔法!?!?ビアンカがか?」
「ビアンカ天才だね♪」
「魔法ってお貴族様か坊主(聖職者の呼称)しか使えねぇんじゃないのか? ビアンカが魔法なんて使えるわけないだろー。霊感商法にでも引っかかったんじゃないのか?」
不審な顔をするアクセル。
「そうそう!カイトも魔法が使えるんだよ。」
「やっぱりカイトか!? 変なイカサマ杖を買わされてないだろうな?? カイトは部屋か?!」
***********
「カイトっ!!」
アクセルさんがノックもせずに部屋に飛び込んで来る。
「あっアクセルさん。聞いてくださいよ!!僕魔法が使えるんです!」
「そのイカサマ杖はどこだ!?」
「イカサマ杖??」
「お前が買わされた魔法が使えると言う杖だよ!!!」
??????
「そんな杖ありませんよ」
「ないのにどうやってお前は魔法を使えると思ったんだっ!」
「魔法具の杖を使ったからですが・・・」
「じゃあその杖を出せ!!」
「ここにはありませんよ教会にありますので」
「買った杖をそのエセ教会に置いてきたって言うのか!?バカヤロウ!騙されやがって!!!いくら払ったんだ!!」
「10000セルほど」
「お前はアホか!!初めて来る右も左もわからないこの街でそんな大金を気前よくだす奴がいるか??? お前はアホだー!!」
ようやくカイトは事態が飲み込めた。アクセルは怪しい霊感商法に騙されて杖を買わされたと思っているのだと。
「待ってください。本当に魔法具の杖を買ってませんし、本物の魔法具が10000セルでは買えない事くらいよくわかっています。」
「じゃあ10000セルってなんの金だ」
「寄付です」
「やっぱり騙されてるじゃないかよ!」
「騙されてないです。聖アウグスト大聖堂に寄付してきました」
「何故だ?」
アクセルは少し落ち着きを取り戻す。
「魔法の適正を調べてもらうためです」
「寄付をすれば調べてくれると言うことか」
「はい。そして僕には魔法の適正がありした。ビアンカにも。。」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「ビアンカは本当に魔法が使えるのか?」
「はい」
「ビアンカはどうなる」
アクセルは神妙な顔つきになった。
「この国では道は二つあります。真聖教会の修道院に入って聖職者を目指すか、皇立魔法学園に入って貴族になるかです。それ以外の道はありません。」
「なぜビアンカを巻き込んだ」
「なぜ・・・。」
「ビアンカには魔法なんて必要ないだろ。」
アクセルはカイトに近づき胸ぐらを掴む
「すみませんでした・・・。
でも魔法が使えれば、ビアンカの将来は安泰です。」
「ビアンカの為だって言うのか?」
アクセルは胸ぐらを引き寄せる
「すみませんでした。」
「・・・」
少し考え込み掴んでいた手を離すアクセル。
「魔法学園ではお前がビアンカの面倒みるって言うのか?」
「いえ、歳が離れているので同じ時期に入学する事はないでしょう。
魔法学園は成人が入学する所ですので、成人にならない庶民の児童が魔法を発現させた場合は修道院に入るか、魔法学園に併設されている付属児童学校に入って読み書きや教養を身につける寮生活する事になるかと。」
「クソっ!!」
アクセルは悲しそうな顔でカイトの部屋から去っていった。
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