第21話 大司教
『火、水、雷、風、動の基本5属性を全てだと!? いったいこの子は何者なんだ??』
司祭ベネデッタは驚きを通り越し困惑していた。
その他の魔法も色々試したいが、その前に大司教に相談すべきだろう。
カイトは超特大の当たりくじだ。大司教様に報告すれば必ず自分の手元に置こうとするだろう。
「君は凄い才能の持ち主だな。他の高度な魔法具も試してみたいが、それには大司教様の許可をもらわねばならない。
とりあえず今日は一旦ここまでとしよう。
後日使者を出すのであらためて来てくれるかな?」
「わかりました。皇都に行く予定なので、数日以内なら大丈夫です。」
「カイトすごいね。いっぱい魔法使えるんだね。ビアンカびっくりしたよ。」
「つぎは、そこの貴女ですね。まずは火の魔法具から」
ベネデッタはカイトからビアンカに目を向ける。
魔法具を受け取ったビアンカは赤い宝石が先端についた杖を遠くの壁に向けると、赤い宝石が輝く。
ボウッ!
松明のような火が杖の先端から上がった。
「おおおおおおおおおーっ」
助司祭と修道士からひと際大きな歓声が上がる。
「えっ!ビアンカも魔法の才能あったの!?しかも僕より火が大きいっ!!」
「すっ!すごいねこの杖!!火が出る!」
「すごいよビアンカ!!ビアンカは天才少女かもしれない!」
「へへっ。ビアンカすごいでしょ。」
「2人とも魔法を発現させるとは。」
助司祭が驚きを通り越して呆然とする。
「すごいな・・・・。 次をっ!水の魔法具」
司祭は呆然とする助司祭に命令する
「おおおおおおおーーーーーっ!」
また歓声が上がった。
*************
コンコン。
ドアをノックする音の後、ドアが少し開き白装束の男性が一歩中に入ってくる。
「ベネデッタ司祭がお見えです。」
「通せ」
ベネデッタは大きな机の前に腰をかける白装束の太った金髪の男性の前に進む。
「大司教様、報告にあがりました」
「どうした。そんな顔をして」
「実は、先ほど基本の5属性を全て発現させた若い男と、2属性を発現させた女児を見つけました。」
「5属性全てだと!? それはほんとうか!? お前が確認したのか!?」
「はい先程私が直に確認しました。とんでもない逸材かと」
今この国で5属性全てを発現させられる者はいない。
「それで、そのものはどこに!?」
「はっ!基本属性以外の適正を調べる前に大司教様に報告にと思いまして、いったん帰らせました。
さらなる適正を探るため明日か明後日にでも再度呼び出しをいたします。」
「どこぞの貴族の子息か?」
「いや、それが本人は貴族の子息だと申しておりますが、誰かまでは理由があって話せないと・・・」
「女児の方はどうなのだ」
「女児はクラークスの商人の護衛の娘だとの事です。」
「平民か・・。」
大司教は少し考え込む。
「わかった。この件はあまり公にはするな。報告は密せよ。」
「かしこまりました。」
**********
「およびでしょうか?」
助司祭のアベルが先ほどのパオロ大司教が待つ執務室に入ってくる。
「5属性持ちが現れたそうじゃな」
「司祭から報告がありましたか・・。」
「ああ、先程な。信じられん話だが・・。」
「私もこの目で発現を見ましたので・・。5属性を全て発現させたのは本当です。
しかもこれで全てではない可能性もあります。もしかすると再生や転移・・、いや我々のもっとも欲する神のルーンの適正を持っている可能性さえあります。
それを知る術はありませんが。」
「そうだな・・。その可能性もありえるの。
どちらにしろ異様なギフトだ。その者を我が教会、いや最終的には『神の呼び声』に引き入れるのが望ましい。
今晩『神の呼び声』メンバーを集めろ。神の御心に触れる時が来たのかもしれんぞ」
「かしこまりました。すぐに召集いたします」
**********
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