第六話 補習

朝、目が覚めると横に親父が寝ていた。昨日俺は寝たのが早かったから、帰って来たのに気づかなかったのだろう。


今は……6時か……


俺は、立ち上がりながら時計を確認する。


親父、どうしよ……まぁ、まだ寝かせとくか。


親父は寝かせたまま寝室を出て、キッチンに向かい朝ごはんを作り始める。


「あ、やば。昨日、霧島さん追いかけるのに必死で今日の時間割見るの忘れてた……」


卵焼きを作るための卵を割りながら思い出し、絢斗に聞くためにスマホでLIMEを開く。『あやと〜今日の時間割なに〜?』メッセージを送信してすぐに絢斗からの返信が来る。たった、三文字で……


「えっと……『テスト』、え?えぇええええええ!!!」


朝から周りを気にせず叫んでしまった。そのせいで親父も起きてしまった……





「あやとぉぉ……」


学校につきクラスに入ってすぐに、男友達がたむろっている絢斗の席に向かう。絢斗が不思議そうにこっちを見ている。


「おぉ、太陽おはよ。どうした?」

「どうしたじゃないよ……テストならもっと早く言っといてくれよ……」

「あぁ、それか……忘れてた!ごめん!」


絢斗は目をそらしてからそう言った。


どうしよ……ずっと、病院だったから勉強できてないし……


「はぁ……」


周りにいた、友達に笑われる。笑いながら、ドンマイ!と言うやつらがほとんどだった。俺が絢斗の席で崩れ落ちてると、日和が「どうしたの?」っと言って近寄ってきた。日和の接近と同時にたむろっていた奴らは解散していく。アイツらは一度日和に近づこうとして、玉砕した奴らなので気まずいのだろう。それは、もう仕方ない。


「ひよりぃ……今日テストなら教えてよぉ……」

「あぁ……ごめん!忘れてた!」


日和はウィンクをしながらそういった。


はぁ……まじで終わったぁ……





テストの日から3日がたちテストが全て返却された日、俺は絶望していた。


「た、太陽ぉ…大丈夫か?」


絢斗と日和が恐る恐る声をかけてくる。


「暗記科目は大丈夫だった……」

「なら、」

「数学……名前書き忘れたぁぁあ」

「「アホじゃん」」


二人が声を揃えて冷静にそう言った。そういうわけで俺の補修が決まった。





テストが返された週の土曜日俺は補修を受けるために学校にきた。学校について、補修室に行く。うちの学校は学力はそれなりに高いので、補修を受ける生徒はあまりいない。


まぁ、誰もいないだろうな。


そう、思いながらドアを開けると窓側の席に見覚えのある長髪で茶髪の女の子がいた。


「霧島さん?」


俺の声に反応して霧島さんが振り向く。


「せ…太陽くん?どうして?」


お互い驚いて名前を呼び合うような状況になってしまった。


「霧島さんも補修?」

「う、うん……せ……太陽くんも?」


霧島さんは、この前言ったことを頑張って守りながら話してくれる。


でも、かなり話にくそうだな……


「霧島さん、話にくかったこの前のやつ忘れていいよ。」

「それは、だめだよ!それじゃあ……何もお礼できなくなっちゃう…」


あの、事故のことをかなり気にしてくれているようだ。


そうだ、あれについてはしっかりと話さないと。


「霧島さん、この前のほんとにごm……」

「おぉ、お前らもう来てたのか。それじゃ補修始めるぞ〜!」


礼の抱きついてしまったことをもう一度謝ろうと思い謝りかけたとき、先生が入ってきて中断されてしまった。


まぁ、これは終わってから話そうかな……


そうして、俺たち二人の補修は始まった。

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