第二話 お隣さん
俺は見知らぬ白い天井を見ながら、目を覚ます。
ここは……病院か…俺、生きてんだ……良かった…
体中が痛い。なんとか動かすことはできるが非常に痛い。体を少し起こし横を見ると、俺のベットのよりかかりながら眠る父がいた。
「お、親父?」
驚いて、大きな声を出してしまった
親父は今海外で仕事をしている。たまに、日本に帰ってくるが最近フランスに行ったばかりだ。
俺が親父に問いかけるとゆっくりと目を覚まし、俺のことを見つめる。
どうやら、寝ぼけているらしい。
「うっ…うぅ…た、たいよぉおお」
目が完全に覚めると俺の顔を見ながら、泣き崩れた。
「ちょ、親父。泣くなよ…」
「おぉ、お前、何日、目……さ、覚まさなかったとぉぉ…思ってるんだ…」
泣きながら話す親父を横目に近くにあった電子時計を見て、日付を確認する。
今日は……5月20日AM5時か…俺が轢かれたのは、確か5月6日だから…
「俺、二週間も意識なかったんだ…」
「あぁ、お前はずっと昏睡状態だったんだ。轢かれたかれた日に
ズズッと鼻水を吸いながら親父が答える。
「そっか、心配かけてごめんな。親父」
「何いってんだ。お前が無事で良かった……本当に」
親父がそう言いながら俺のことを抱きしめる。
「イタいイタい、親父、痛いって」
「おぉ、スマンスマン。」
この後、たくさん親父と俺の昏睡状態のときの話をした。
「あ、そうだ親父!」
「な、なんだ?急に」
「霧島さんは?」
俺は、霧島さんのことを思い出した。
俺、あの人のこと守ったんだよな……無事だよな?
俺がこんなに重症なら霧島さんも重症を負っていてもおかしくない。
「霧島……あぁ!あの茶髪の娘か?」
「そう!無事なの?」
「あぁ、あの娘は無事だ。太陽が守ったらしいな。」
「よ、良かったぁぁ……無事でぇ……」
無事なことを聞くと体から力が抜けた。
本当に無事で良かった……
「何度もお前の見舞いに来てくれてたぞ。」
「そう…なんだ…」
思っていた以上に力抜け俺はまた、眠りにつく。
◯
俺は、久々に病院の外の日光をしっかりと浴びた。
俺が目覚めてからさらに、三週間がたちやっと退院できるようになった。俺の回復力は凄まじかったらしく、本来ならもう三週間かかるらしい。
にしても、この三週間は大変だったな……リハビリと、絢斗と
病院での出来事を振り返っていると、俺の家…アパートについた。
今は…四時半か…
スマホを取り出し、時間を確認する。
絢斗たちは…部活か…
退院したから会いに行きたかったけど、夜で良いか。
そんなことを考えながら、家に入ろうと鍵を取り出していると、左に人が来た。お隣さんも帰ってきたみたいだ。
……
それなら挨拶しようと思い横を見ると、お隣さんと目が合う。
「「……え?」」
そこには、つい最近までお見舞いに来てくれていた同級生、霧島さんがいた。
「こ、こんニチワ。」
動揺しながらも、挨拶をする。
「ご、ごめんなさい!!」
――バンッ
「え、えぇ……なんでぇ?」
謝罪と同時に勢い良く部屋に飛び込んでいってしまった。
俺、嫌われてるのかな?……なんで?
◯
部屋に入り、机の上を見ると紙が置かれていた。
「親父からか…『ハンバーグ、よろ♡』…ッチ、まためんどくさいの言いやがって…食材は…」
冷蔵庫を開けるとそこには、丁寧にハンバーグの食材がたんまりと入っていた。
多すぎだろ……何人前あんだよ、これ……まぁ、とりあえず二人前作るか。
親父は基本この家にはいないので俺はほとんど一人暮らしみたいなものだ。だから、全然料理もできる。
慣れた手付きで、ハンバーグの種を作り、焼き、ソースを作る。
にしても……霧島さん、いつから隣の部屋に来たんだろう…まぁ、少なくとも1ヶ月以内ではあるか…
今、隣の部屋に霧島さんが…怖。生活音大丈夫かな……気をつけないと。何がとは言わないけど色々気をつけないと……
そんなことを考えながらやっていると、美味しそうなハンバーグが完成した。大量の積み上がるハンバーグが……
「……どうしよ。これ、六人前はあるぞ…とても食いきれん。」
絢斗たちにおすそ分けにでも行くかぁ……
そうして大量のハンバーグを持って家を出た
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