祈りは所詮心の中で

神崎秋夜

ただ、「許されない」 それだけならば

「戦争反対と心で願い、生きる。そんな貴方の心はとても清い。ただ見えませんね? 行動に示さなければ内側が清いだけです。『戦争反対』と声にしなければ何も変わらないでしょう。皆さん、思いは言葉や行動にして初めて力を持つのですよ」


そうおばあさんは語った。


(それならばきっと、戦争に反対さえしない自分は、内面も暗く濁っているのだろうな)


制服を纏った生徒達が、黙って皆がおばあさんの話を聞く。ある高校の2年生が修学旅行に来たのだ。自分もその1人だ。しかし自分は知っている。


(攻撃された時、反撃するのは許されると思っている生徒が、この学年には5割もいるんだよなぁ)


以前、総合探求で、武力行使についてのアンケートを取ったことがある。その時の結果だった。まずアンケートを返さない人が半分、そしてアンケートを返した残り半分の人の中で5割の人が、反撃を良しとしている。更に言えば、「やられる前にやる」を肯定する人は3割もいる。


(こんな自分達が日本を支えて行くわけか)


だとしたらきっと……


歴史は繰り返さないが、韻を踏む。

History does not repeat itself, but it rhymes.

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祈りは所詮心の中で 神崎秋夜 @kanzakishuya

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