Mr.Six

不思議な雲

 天気は快晴! 少し雲があるけども快晴だ。


今日は休みだし、外で散歩でもしようかな。


俺は着換えをすまして、


ポケットに携帯と財布と鍵だけを入れて、


外出をした。


「ふわぁ~、いい天気過ぎて道端で眠れそう」


俺は独り言を言いながら、歩道を歩く。


ふと空を見上げる。


雲の流れがいつもより早く、形を変えながら動いていた。


雲をじ~っと見ていると、まるで雲は恐竜の頭を形成し始める。


「うおぉ、あれは……ティラノサウルスか?」


さらに見続けると今度は鮫だ。


鮫が口を開けて、今にも襲い掛かってきそうだ。


「なんか楽しいな、次は何に変わるんだろう」


鮫の形をした雲は、少し途切れて二つになる。


鮫とコバンザメに変身だ。


仲良く、空を泳いでいる。


雲というのは不思議なもので、


まるで雲にも命が吹き込まれているかのように、


次々に姿かたちを変えていく。


このまま、立っておくのもなんだから公園で、


ベンチに座って観察するのもアリか……


俺は、自動販売機で缶コーヒーを1個だけ購入して近くの公園に向かった。


子供達は砂遊びをしたり、滑り台で遊んだりと和気あいあいしている。


なんともなごやかな気分になる。


ベンチは砂で汚れているが、


そんなの俺はお構いなし、


手で軽く払ったり、面白おかしく口で勢いよく吹いて、


できる限り綺麗な状態にしてから座った。


「まだ、温かいな」


缶コーヒーを開ける時の音は至福のひと時。


開け口からほんのり湯気が上り、


俺はそっと口に運ぶ。


缶コーヒーは好きだし、温かい飲み物は好きだが、


猫舌な俺は勢いよく飲むことができない。


ジュルっと飲んでそれだけで満足する。


しばらく、子供を見て、目を癒した後は、


さぁ、再開だ。


上を見上げて、面白そうな雲を探し始める。


どこかにないものだろうか?


木やビルで、雲が少し隠れている。


これでは楽しめないな。


子供の見ている前だが、仕方ない……


俺は缶コーヒーをベンチに置いて、勢いよく手を横に振った。


すると、雲は突然ギアを上げて、俺の目の前に無数現れる。


「来た来た……」


雲は徐々に一つの塊になり、


やがてそれは形を成していく。


さっきとはまるで違う。


最初は可愛いクマの顔になった。


まるで漫画のように可愛いく加工されている。


「現実であんなクマがいたら人気なのかな?」


俺のぼやきは止まらない。


クマの次は犬の全体像。


まさかの四本足まで再現をしている。


雲の形はそれからも次々と姿を変えて、


やがて、


ネッシーの頭に変わる。


空の湖にネッシーが現れた。


「ネッシーって実在すんのかな?」


気になって携帯でネッシーを検索。


当然いなかった。


「まぁ、そりゃそうか」


もう一度上を見上げると、


雲はハートの形を形成していた。


もしかしたら、この空を今も彼女は見ているのかもしれない。


そう思ったら、俺はこの雲を撮って送ってあげたいなと思い、


携帯を取り出し、カメラモードにしてから、


1枚だけ写真に収める。


俺は文章を決めて、


写真を添付するだけ、


ライン♪


彼女から連絡がきた。


『見て、こんな写真撮れたよ』


その写真をみて、


「はは」


俺は思わず笑った。

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Mr.Six @0710nari

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