※きりしずく　かわすくろかみ　はらりゆれ

｢……あ、雨かと思った｣

霧の中の、一滴。

雨に濡れたかと、君は、雫を躱そうとしていた。

その一瞬。

君の黒い髪が、揺れて。

｢雨じゃなかったよ。……どうしたの？｣

｢……何でもないよ｣

そう、何でもないよ。

揺れた、君の黒い髪。

見慣れているはずなのに。

……どうしよう。

どうすれば、いいの？

※霧雫は、秋の霧から濡れてできる雫のことです。

かわす、に交わす、と　躱すを掛けております。

友達との、ふとした一瞬。

何かが、変わるのかも知れません。

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