第16話

ベイカー「やっと起きやがったか」

聞き慣れた声が心に響く。どうやら二人とも無事…ではなかったようだ。

ゼノ「どうしたんだ二人とも」

ベイカーは腕を吊り、レインは頭に包帯を巻いている。

ベイカー「起きたらこんな感じだよ。レインは比較的軽症だったみたいだけどな」

レイン「大丈夫?」

ゼノ「ああ、なんとかな」

ベイカー「それよりここの飯食ってみろよ。めっちゃ美味いぞ」

ゼノ「マジか」

ゼノ「確かに美味いな」

ベイカー「だろう?」

ゼノ「それにしても…覚えているか?」

ベイカー「何のことだ?」

ゼノ「五頭の怪物だよ」

ベイカー「ああ…」

レイン「…」

ゼノ「あんなのに手も足も出なかった」

ベイカー「実は余波で二人とも気を失っていたんだ。俺は背を、レインは頭を打って記憶が曖昧なんだ」

ゼノ「そうなのか…」

レイン「ごめん」

ゼノ「しょうがないさ」

ベイカー「グローさんに話を聞いたからある程度は把握しているが、五頭は無理だっただろうな。三頭でもあんなザマだったからな…」

『…』

「あれ、ゼノくんかい?」

ゼノ「グローさん…?」

グロー「いやー、起きないって聞いたからびっくりしたよー。死んじゃったかと思ったじゃないか!あはは」

ゼノ「縁起でもない…」

グロー「嘘じゃないよ。五頭を超えると特殊個体が生まれる。毒を生成したり、炎を吐いたりなんてね」

ベイカー「嘘じゃなかったんだな」

グロー「普段見ることはないだろうからね。二頭三頭なんて可愛いもんさ。一頭に比べてね」

ゼノ「一頭…?」

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