第14話

言葉も出ない。

これが恐怖というものなんだろうか。

身体に何かがへばり付き、押しつぶされるようなプレッシャー。

動けない。目線も外せない。

外した瞬間殺される。

勝てるはずがない。

一つ、二つ、三つ、四つ、五つ…五頭。四頭でも一般兵器100人以上が必要と呼ばれる。

勝てるはずがない。

こんな理不尽なことがあり得るのだろうか。

圧倒的弱者と圧倒的強者。この差は数秒でひっくり返ることは絶対にないだろう。

一つの口が大きく口を開け、こちらに寄ってくる。

動け!動け!

恐怖で震え上がる、足に剣を刺し、痛みで上書きする。

体を捩らせ、口撃をぎりぎり避ける。

掠れた涎で服が溶ける。

ドリルでも開かない戦闘服が溶けてしまう。ただひたすらに逃げる。

後を振り返ってはいけない気がする。

「失敗だな」

何だ?何が起こったんだ?

五頭のモンスターが細切れになっている。

五頭のいた場所に一人、立っている人がいる。

助かったのか。レイン、ベイカーの姿が見えない。

一人がこちらへ歩いてくる。

「悪かったな。こちらのミスで五頭を逃してしまった」

何を言っているのかわからない。逃してしまった?こんな奴らがゴロゴロといるのか?

「どうした?気でも食われたか?」

ゼノ「あなたは一体…」

「ああ、俺は七大兵器の一つ。拳岩のグロー」

ゼノ「七大兵器…?」

「連れも拾えたみたいだ。3人だろ?」

ゼノ「はぁ…」

「さて、それじゃ君も行こうか。新東京にようこそ」

ゼノ「無事ついたのか…」

目の前が真っ暗になった。

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