【掌編】なぞのカボチャ事件?
天城らん
なぞのカボチャ事件
朝、僕が小学校へ歩いて行く途中、道のはしのほうにカボチャがおちているのを発見した。
みどり色のドッヂボールよりすこし小さいくらいの大きさだ。
ボールを見まちがえたのかもしれない。
僕は、目をこすって、もういちどよく見たけどやっぱり、ほんもののカボチャだった。
こんなところにどうして、カボチャがおちているんだ?
ここは、普通の道路だ。
ちょっと雑草が生えているアスファルトでできた歩道。
周りに畑はない。
なのに、みどり色のカボチャがおちているのは、おかしくないか?
お金がおちていたら交番にとどけるけど、カボチャがおちていたときはどうすればいいんだろう?
僕は考えた。
……。
…………。
………………。
さっぱりわからない。
*
こんな時は『
けれど、警察は110番にかければすぐに来てくれるけれど、探偵はどこに連絡したら来てくれるのだろう?
テレビの中にはいっぱいいるのに、本物は見たことがない。
探偵は、どこにいるのかわからない。
なぞを解くのが探偵なのに、探偵は謎だらけだ。
探偵がどこにいるのかわからないなら、しょうがない。
僕が探偵になろう!
両腕を組んで、考えるポーズ。
頭脳は子供、見た目も子供。
名探偵コウジ登場☆
うん、いい感じだぞ。
*
まず、まわりにカボチャ畑はない。
カボチャ畑どころか、野菜の畑、花壇すらここにはない。
ただの車の道と、人が歩く歩道だけ。
雑草は生えているけれど、野菜が育つ土はない。
ということは、カボチャはここで育ったわけではない。
どこからか連れてこられたと考えられる。
どこから来たのか?
僕は、ふむふむと考えた。
頭の中を、新幹線がかけまわる。
近くにハトのマークのスーパーがある。
そこで買って来たものと考えるのがふつうだろう。
でも、買って来たカボチャをおとして、気づかない人なんているのだろうか?
まんまるのそれなりの大きさのカボチャだぞ?
持ち上げたらずっしりと重かった。
運んでいておとしたら、急に軽くなって気づくはずだし、おとしたらドンと大きな音がしてやっぱり気づくはず。
なぞは深まるばかり。
*
首をかしげていると、後ろからパープルのランドセルを背負った、三年二組のクラスメイトのくららちゃんがやってきた。
「こうじくん、何してるの? 学校におくれちゃうよ?」
「あ、いけない! そうだね」
しかたない、続きは学校から帰ってからにしよう。
「ねえ、くららちゃん。
さっき、カボチャがおちてるの見た?」
「うん。ちらっと見た。なんであんなところにあるの?」
「さあ?」
「顔、描いてあった?」
「顔? カボチャに顔が描いてあったらこわいじゃん」
「うん。けど、おばけカボチャなら道にあってもおかしくないかなぁって思って」
「あー。ハロウィンか~」
10月31日の子供がお菓子をもらえるお祭りだ。
たしかに、もうすぐハロウィンだ。
その準備のカボチャだったのかな?
でも、顔は描いていなかった……。
学校におくれてしまう。
僕はカボチャをそのままに、走って学校へ行った。
*
謎の人物:「あらやだ。こんなところにカボチャがおちてる」
謎の人物:「昨日、山田さんの家に台車でいっぱいお野菜を届けたときにおとしたのかしら??」
謎の人物:「まあいいわ。拾って帰りましょう。たぶん、私がおとしたやつだわ」
謎の人物:「今晩は、カボチャの煮物ね。うん。それがいいわ!」
*
帰り道。朝と同じ道を通ったが、もうカボチャの姿はどこにもなかった。
カボチャは、どこに消えたのか?
まさか、カボチャに足が生えて家に帰ったというのか?
どこに行ってしまったんだろう。
僕の名探偵。
僕のカボチャ。
僕に残ったのは大きななぞだけだった。
*
うちに帰って、宿題をして、テレビを見ていたらすぐに夕ご飯になってしまった。
夕飯のおかずは、シャケと豚汁とカボチャの煮物だった。
オレンジ色のカボチャはポクポクで、あまじょっぱくてとてもおいしかった。
「おかあさん、このカボチャおいしいね」
「おばあちゃんが、届けてくれたのよ~」
「そうなんだ」
僕の頭の中に、ふとあの道端におちていたカボチャが思い浮かんだ。
「おかあさん、このカボチャはもしかして、あの道のはしに……」
いや、確認するのはよそう。
僕の名探偵のカンはそういっている。
真実は、知らない方がいいと。
お わ り
道路にカボチャがおちていたのは本当のことです。(実話)
一週間くらいしたら、消えました。
カクヨムの名探偵さん、謎を解いてください!
・その時のカボチャの写真です(近況報告より)
https://kakuyomu.jp/users/amagi_ran/news/16817330665067150354
☆3以外も歓迎です。
気軽に評価をお願いします~。
【掌編】なぞのカボチャ事件? 天城らん @amagi_ran
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます