いじめの発覚と二種類の入院(1/6)

 脳内で再生された小説は、僕の心癒してくれなかった。

 昔の思い出よりは今の方が辛くないとさっきまで思っていた。ただ、父親の死を除けば今の方が辛いと思う。昔は精神がやられた。今はそれに加え、物理的な暴力まで加わっている。心は耐えても、崩れそうなのには変わりない

「……何があっても無料でやらせないからな」

 静まり返っていた教室に力を振り絞り告げる。

「っ……」

 あのいじめっこは自分がやってしまった事の重大さを、僕の声を聞いて自覚したようだった。流石にここまでの大惨事を巻き起こすことは今までやっていなかったそうで、相当焦っている。

 現に今、僕は気を失いかけている。中学生になった自分の力を理解していなかったであろう加害者の方は顔が真っ青になっている。加えて僕は体重も軽いし、圧倒的に暴力を振るわれたら終わってしまうような体をしている。


 また静まり返っていた教室に音が生じた。

 ガラガラガラと、教室の扉が開く音が聞こえた。

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